①グローバル開発チームを作ろう (モチベーション編)
はじめに
自身は3年ほど前からフルリモート海外人材との共同プロジェクトを常に行なっているが、今の所目立った失敗はなく、誰がやってもほぼうまく行く感覚である。バーチャルオフィスSaaS VoicePingや事業撤退したVRゲームアプリが短時間で開発できたのは優秀な海外エンジニアの協業がキーになっている。オンライン上でそのナレッジに関して掘り下げて質問されることも多い。
ここで云うグローバル開発チームは、”国外に居住している、東アジア(主にインド、中国、ベトナム)や欧米やラテンアメリカの個人もしくは法人”と英語をコミュニケーション言語としてプロジェクトベース動く組織である。始めるまでのハードルがかなり高く、ハマりポイントもかなり多い。ネット上には参考になるナレッジ共有記事があまり多くないので、自身の経験を共有しようと思った。いずれは社内資料として、グローバル開発チーム作りを任せる場合に参照する資料にする予定である。採用のノウハウは給与や雇用形態等センシティブな話に関わるので、中々表立って情報がでないという気もする。一方で、日本人正社員採用・雇用というのは当たり前だが昭和、平成からやり尽くされているのでノウハウは残業代未払い等含め訴訟問題も含めて巷にありふれている。 国内フリーランス・業務委託の活用はまだ成熟しておらず、今後も増えていくだろう。
ノーコードSaaSが流行り、簡単なWEBアプリ作成が今だと苦労なくできるので1人でMVPプロダクト作ってマーケ・営業もありえるが、すぐに限界を迎えるだろう。1人で出来ることは圧倒的に少ないのでチーム作りが必要となる。必要な時に最適なチームをすぐに組成できる力があると色々役に立つ。人手が足りない場合にビジネスマッチングアプリやSNSで副業で募集も容易に行える。クラウドソーシングというオプションが今だと使える。日本だと、クラウドワークスやランサーズが拡大し続けている(ライター、オンラインアシスタント、WEB制作関連では)。海外だとUpworkという巨大プラットフォーム(全ジャンル対応可能)が主流。
色々試行錯誤しながら得た知見を美談という形で終わらさずに良いこと悪いこと全部話してシェアしたいという思いがあるが、あくまで主観的な話である。 圧倒的なリーダーシップとビジョナリティをもった人間 もしくは 莫大な資本や既に成功したビジネスを持っている企業はそもそもこのようリソース確保オプションを選択しなくても普通に成功するだろう。 但し、万人がそのような状況ではないし、英語を既に習得しているという前提条件があれば、グローバル開発チームはオプションとして入れる意義がある。自分のような凡人が成功確率を上げる持続可能なオプションを作り出す必要性があった結果としてグローバル開発チームというソリューションに行き着いた。
メリット
海外在住のフルリモートの方とうまくプロジェクトを進めれば、人件費削減(一部)、専門的な知識を有する問題の解決、慢性的な開発リソース不足問題の解決が可能となる。人件費に関しては場合によっては削減とまではいかないが、採用コスト(日本人エンジニアを採用する場合との比較)は削減できる。あくまで、海外エンジニアのリモート採用はオプションの1つに過ぎないので、日本人エンジニア採用も並行して普通に行えば良いと思う。
グローバル開発チームの組成はノーリスクで始めることができるのが良い。従来型の現地に運んでインドやベトナムオフショア拠点設立というのは、コロナ化では飛行機での移動含めなかなか大変である。現地での信頼できるパートナーを見つける必要もある。また、外国で物理オフィス拠点を作ってもコロナ化ではフルリモートワークになりオフィスで集まって作業ができないというケースもありえる。
長期的に開発リソースを確保できるオプションを持つのはやはり有効だと思う。日本国内において、50歳過ぎてもゴリゴリコードを書くエンジニアとして活躍できる優秀な方はごく一握りなので、少子高齢化という枠組みでどんどん手を動かす若手から中堅のITエンジニアの不足が起こる。若手〜中堅の人材の流動化とテックスクール乱立の背景にあるITエンジニアになりたい人の増加もあるが、若手人材のボリュームは10年、20年経てば減っていく。一方で、インドをはじめとする新興国の若年層の人口は日本とは比べ物にならない多く、人的リソースの支援を受け続けることになるだろう。
大企業神話の崩壊、働き方改革、副業人材の活動等、人材の流動化を促進する要素はたくさん出てくるが、そもそもの労働年齢の総和という取り得るパイが今後伸びることはない。 国内消費も大幅に伸びることはないので、商材の海外展開を考える必要がある。まずは海外リモート人材と接点を持つというのは良い契機となる。
英語力はやはり必要
グローバル開発チーム組成のプロモーター(主体的に動く人)の英語力は絶対必要である。採用・開発する場合でも英語力が不足しているとあらゆる面で精度が低くなる。採用に失敗したり、開発の手戻りが発生したりということが普通に発生する。但し、ネイティブレベルの高度な英語力は必要ない。一般的な企業で求められるビジネスレベルの英語力があれば、すぐに適応できる。始めてグローバル開発チームを作ろうと思った場合だとあらゆる面で不確定要素が多く、とりあえず不安になる、時間がかなりかかる。ググっても情報が出てこないし、周りに詳しく教えてくれる人もいないと思う。しかし、一度やりきれば、誰でもできるし、再現性もある。
日本企業のシステム開発チームに外国人が入るケースは見受けられるが、そのほとんどがバイリンガルで、英語も日本語も両方堪能というケースが多い(N1を持ったベトナムの方)ので日本語で問題なく業務が進む。しかし、英語しか話せない外国人をチームに入れる場合には必然的に社内公用語を英語にする必要がある。楽天やユニクロのように公用語を英語に変えたり、ハイコンテキスト文化(曖昧な指示)をやめて、ローコンテキスト文化(ロジカルなテキスト)に近づける必要がある。英語は短文でやりとりが済むので、個人的には楽。例えば、英語で"hello, when will you finish it?" というところを日本語だと”お世話になっております。〜はいつ終わりそうでしょうか?”という無駄な文章が常に追加される。
中学校から大学まで必死に英語を勉強して、TOEIC受験もしているようなビジネスマンの方だと、仕事で英語使わない手はない。グローバル開発チームの組成・共同開発では実践的な英語をたくさん練習することもできるし、英語を使い異なる文化と交流することで新しい世界をたくさん発見できる。今までに興味関心がなかったが実はかなり面白い体験があったことに気づける(自分の場合はグローバル開発を始めるまでは、海外旅行に行ったことすら無かった。インドがあまりにも好きになったので、アフマダーバードとラージコートに足を運んだ)。日本人限定チームという限られたコミュニティ、言い換えると、少子高齢化が進む生産年齢セグメント、での共創のスキル・価値(日本人チームマネージャーとして価値)は時間と共に低下すると思っている。何故なら、活躍の場が時間と共に無くなっていくので。
英語力に自信がなくても過度に恐れる必要はない。日本語に変換された時に伝えたい内容がシンプルでロジックが通ったものだと相手は理解することができる。 WEB会議中に一語一句聞き取れないとそもそも意思疎通できないような相手とは仕事はできない。出川イングリッシュでもわかるように、言葉以外にも、スクリーンシェアで画面共有したり、スクリーショット映像、テキストチャットでの補足等いくらでもコミュニケーション手段はあるので、英語にこだわりすぎないようにする。Loomが出来てから動画コミュニケーションという手法が生まれた。
グローバル開発チームは作りやすくなった
Angelist、Linkedin、Upworkで採用を行い、Slack、Github、ZOOMを用いてチーム開発業務を円滑に進め、HubstaffやUpworkで稼働時間の管理を行い、Wise、Payoneer、Paypalの決済ソリューションで業務委託費用・給与を日本円から現地通貨建て(ほぼUSDドル)で支払うという流れで、グローバル開発チームは簡単に組成できる。
Angelist、Lindkedin、Upworkを用いれば如何に有用な人材が世界中に分散して存在しているかをすぐに体感することができる。2018年の自分はGithubに草を生やしまくってドヤ顔をしていたが、Upworkで出会った復旦大学卒BaiduのテックリードにReact.jsのQRコードカスタマイズアプリケーション開発を曖昧に依頼した際にわずか3日ほどで優れたUXなコードをプッシュされて井の中の蛙を経験したのがグローバルチーム開発チームを作ろうと思った原点である(Upworkに出会ったのはGithub OSS活動をしていた際に自分が出したWebRTC + React-Native + Janus Gateway レポジトリに注目した怪しいマレーシア人 + ラトビア人に開発依頼を2.5万円で打診されたのがきっかけ)
Skype創業者がはじめた分散型為替送受金アービトラージプロトコル?のWISEはすごい。GMOあおぞらネット銀行からインドのローカル銀行口座に低手数料で海外送金を1日以内にできる。クラウドサインに似たDocsignを使えば、海外在住の方とオンラインでの契約締結も簡単にすることができる。 かつては、契約書の海外郵送往復に朱肉印鑑使用し、三井住友銀行の京橋支店に足を運んで、為替レートと睨めっこしながら円高で喜び、書面での海外送金手続きを行なっていたのかもしれない(妄想)
Slack、Github、ZOOMがあればリモートでもIT業務はほぼ完結する。かつては精度の低い機械翻訳を使いながらインドのオフショア開発業とEmailでのやりとりを繰り返しシステム開発を行なっていたいたそうだが、とんでもなく生産性が低かっただろう。
次回の記事では具体的な採用手法に関して説明する。
②グローバル開発チームを作ろう (採用編)
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