行き倒れとコロナ
早朝にランニングしていたら、歩道で寝ている男性がいた。
早朝だと、よく朝方まで呑んだくれて酔い潰れた人間が路上に寝ている事がある。
酔っ払いかあ、と避けて通り過ぎようとしたが、何か様子が酔っ払い風ではない。
うつ伏せに倒れていて、顔が見えないが高校生のようである。
高校生が酔っ払って酔い潰れることもあるかもしれないけど、
どう見ても通学か部活に向かう途中な感じ。
通行人はチラホラいて、
みんな、倒れている男を横目でチラッと見て、走り去る。
「あの、大丈夫ですか?」
コロナってこともあるから、少し近づいて声をかけた。
少し動いたけど、反応が無い。
え、大丈夫かな?
酔っ払い?
通り過ぎる人に、
「人が倒れているんです」
って話しかけたら、
「こわい、こわい、近づかない方がいいよ」
「寝てるだけでしょ、コロナだったら大変よ」
と、皆素通りしていく。
でも、大丈夫そうに見えない。
でも、通行人の人たちが言うように、もし、コロナだったらって考えたら近づけない。
兎に角、分からないけど、救急車を呼んだ。
すぐに来てくれるかと思ったら、3分くらい掛かるものなのだな。
遠くから見守っていると言うか、ウロウロしていると、
自分の携帯に救急隊の方から折り返し電話が来た。
どんな風に倒れているのか、詳細を聞かれた。
「うーん、息はしてるし、足先は動いてるし、でも意識はなくて」
そうか、救急隊の人たちもコロナの時代は前もっての確認が必要なのだろうか?
それともいつものことなのか?
救急車を呼んだのは生まれて初めてだからよく分からない。
救急車が到着したら、
「ありがとうございます。もう、いいですよ」
と隊員の方にお礼を言われ、
はい、といいながら、
えー、大丈夫かなあと、ゆっくり退散した。
後ろ歩きで退散しながら、救急隊員さん達の様子を見ていたら、とてもテキパキしながらも優しく接していて、なんだか感動してしまった。
男の子は、隊員の方の声掛けに、少し反応していたから、大丈夫だったのかなあ。
後ろ歩きしてるのも変だから、普通に歩きながらも、ランニングの続きが出来なくて、歩いてそこら辺をウロウロした。
成り行きをとっても気にしながら。
しかし、
しかし、
コロナ時代なのだと改めて実感した。
道端で気持ち悪くなってしゃがんでいても、誰も近寄らない。
道端で倒れていたら、みんな避けて通り過ぎる。
新型コロナかもしれない、万が一コロナだったら、と誰もが考える。
見て見ぬふりをした人たちは、当然のことをしている。
それも、自分のためだけではなく、家族のため、周りのため、世間のために、敢えてしている人が多い。
普段なら、大丈夫?と声をかける世話好きのオジサン、オバサン達も、家族の事を考えたら声も掛けられない。
コロナの怖いところを見てしまった気がした。
遠くから見ていたら、救急車は、30分以上停車していたけど、
どうだったんだろう。
なんか、気になるけど、
元気になって、そのまま登校してくれていたらいいなあ。