小山田壮平とルミナリエから続く歌
この曲を聞くと、あの時のことを思い出す。そんな曲は誰でも1つや2つはあると思う。わたしにとってそれは小山田壮平の『Do You Love Shiva?』になる。
andymoriが解散して小山田壮平の初めてのミニアルバム『2018』に入っている。2018年に発売されたから、『2018』というアルバム。
2018年、冬。わたしは服を買いに神戸三ノ宮から元町を1人でぶらぶらしていた。どこかの古着屋で、ミリタリー系のヴィンテージを買った。ほくほくした。満足のいく買い物をすると気分は高揚し自然と笑みが溢れる。足取りも軽い。冬の厳しい寒さもどこか心地良い。これこそ日本の四季ですよ、わははっ。店の外に出ると、もう夕暮れだった。
気づくとなんかやたらに人が多い。小さな子供を連れた若い夫婦。しっかりと手を握り合い、愛を確かめ合うカップル。微妙な距離感でたどたどしく歩く高校生らしき男女。
気がつくと幸せの包囲網に囲まれ身動きが取れなくなっていた。
あ、もしかして。あ、そうか。ふぅむ。
ルルルルッルルルルウッrムナリエか!!!!!
ルミナリエじゃねーか!!!!!なあ!!!ルミナリエじゃねえかって!!!!
辺りはどんどん暗くなり、イルミネーションに明かりが灯る。
街はイルミネーション君はイリュージョンってか。ふふ。
先程までのほくほくしていた気持ちからは突然切り離される。日は完全に沈み、鉄のような冷たい潮風がわたしを襲う。鉄風鋭くなって。夜。寒い。別に彼女がいないからって拗ねてるんじゃない。みんなが楽しくて幸せを見つめているとき、わたしは1人だった。空間も時間も、わたしはそこにいたはずなのに、この世界と全く関わりを持たない赤の他人だった。神戸は愛に溢れてみんなを包み込んでいた。日本中、たぶん地球も愛に溺れていた。銀河も、永遠に続く宇宙も。愛は膨張し、なめくじみたいな宇宙人も踊っていた2018年、冬。こんなにも生命は輝き、寄り添って華やいでいるのに関わらず、この世界でたった1人異物であるという感覚。苦しい。孤立。優しくて可愛いお祭りに参加したいと願っているのに自分だけは加わることができない。どうしてもできない。どうして?冬の澄み切った空が、月が、星が、わたしの友達たちすべてが饗宴に参加しているのに、わたしだけが共同体からはじき出され、ただ1人孤独であると感じらた。悲しかった。敵はいない、だけど味方もいなかった。
そんな時にイヤホンから流れていた、小山田壮平の『Do You Love Shiva?』
救われたわけじゃない。だけどなんとなく強烈に「小山田壮平の声はやっぱりいいなぁ、せつねぇ」と思った。
この曲を聞くと、その時の感覚が古傷の様にどこか奥の方から蘇る。
本日、2024年1月17日に発売された小山田壮平の新しいアルバム『時をかけるメロディー』を今聞いている。聞いているんだ!!
今日で阪神淡路大震災から29年です。わたしは幼かったので皿が割れてたなぁくらいしか覚えてないがほんとうに大変だったみたい。ルミナリエを楽しむのもいいけど、忘れないようにしような。能登半島地震で被災した人たちも早く安心できますように。
小学校の頃死ぬほど歌わされた歌。
はたして毎日を大切に生きていけているだろうか?いまも、あの時も。
”時をかけるメロディー”それはひとりひとりの胸の奥にある。
どうかみなさんお幸せに。