詩 27「無題」 本文

喉の渇きに目が覚める
闇に包まれて
横たわる身体  

夜が雨音を強くする
あるいはそれは
内側の
寂しさに呼びかけてくる  

ふいに、耳に微かな泣き声
抱き上げた腕の中で
乳を探す幼児は
全身で
希望を象っている
睫毛のひとつひとつに
命を宿らせて  

死んでいく星と
誕生する星の
命の巡りを
眼裏に描く  

いくら言葉をさがしても
端から零れ落ちていく  

振り返っても届かない昨日は
美しい顔をしている  

膨らんでいく夜の空気に
背中を丸めて
日向の匂いの
明日を
待ちわびる  


※以前アップした朗読動画、詩 27「無題」の本文です。

動画  

https://youtu.be/OABV0V0ExD0

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