詩: 仮想現実

瞳に宇宙を抱え込んで歩く
炭酸水の泡の中
あるかなきかの月がわらう

無限に広がる空間を
等しい重さで
ひとり、また、ひとり
浮遊している

カーテンの向こうの雨を無視して
括弧の付いた現実が
発光しながら誘ってくる

「私はロボットではありません」

十本の指で開いた
ひとり分の空間に
浮かんでは消える顔、顔、顔

足元が揺らぐ

からからに渇いた喉を
唾で誤魔化して
あるかなきかの私がわらう

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