あこがれ
幾度となく季節は巡るのに、なぜかいつまでも春の匂いには敏感でいたいと思う貪欲さに苛まれている。花粉が鼻を擽るね。東京の桜は、まだ満開というには遠いところにあるようだけど。それでも、心が跳ねるような感覚は分かる。春のうちに片づけたいことがたくさんある。溜まりに溜まった洋服の整理、お布団を乾燥させること、夏までに痩せてみたり、学費を捻出したり、ね。そういうことを、ただのっそりと考えていたい。誰にも邪魔されないところで、この気持ちと向き合っていられたらなって。三ヶ月ぶりに行った教習所で、何回目かの運転。世界中をブイブイ言わせるつもりで運転席に座ったが、はじめて豪快に乗り上げた。世の中は、そう上手くはいかないのだな。ずっと未完成人間の私でいたい。車を走らせるのは、自転車とは違うね。風も、真っ向からは浴びれないし。でも速いよ。ビュンビュンって、それこそ風くらいにね。医療脱毛をしてやると決めて、その場で四十万円を即決、ローンを組んだ。大人すぎる。これからは、オニツカタイガーでも悩まないよ。即買いするとも、大人だからね。欲しいものがあったら値札も見ない。指パッチン二回で店員を呼ぶのさ。みんなのあこがれの大人。周りに押し潰されないようにね。ちゃんと前を向いていないと。ちゃんと
ひゅーう(深呼吸)