あんどん
「外は有毒ガスが充満しているから出てはいけないよ」 【両親】からそう教え込まれ、シェルターの中で育てられてきた青年ジェームス。ジェームスの唯一の楽しみは毎週届く教育番組のビデオだった。番組の名前はブリグズビーベア。クマのヒーローが宇宙を舞台に悪と戦う物語だ。 毎日毎日、ジェームスはビデオを見続ける。そんなある日のこと、家に警察を名乗る男たちが突然やってきた。【両親】だと思っていた【誘拐犯】は逮捕され、ジェームスはその時はじめてシェルターの外へ出る。 外の世界で、本当の家
僕が小学生の時の話だ。閉じ込められた部屋の中で祖父から聞くカフカの変身はとても恐ろしいものだった。しかし、泣き叫びながらも耳をふさがなかったのは物語の魅力には抗えなかったからである。 しかし、小説を読んだり読まれたりすることが人生にとって何の役に立つというのだろう。 何か知りたいものや実現したいものがあるとき、僕たちは本を手にする。 例えばお金があっても、経営の知識がない人はビジネス書のコーナーに行ったりするだろう。そこでドラッカーとか、ある野球部のマネージャーの本
生きるってなんだろう。 スマホは画面をタッチするだけで操作ができる。 道路はアスファルトが当たり前で、いたるところにコンクリートや椅子や壁がある。材質がわからないなんてことはざらなのだ。 音楽を聴こうと思ったら、聴くことができる。音は振動だ。複雑な音色がいとも簡単に聞こえてくる。 映画を見ることもできる。テレビを通じて番組を見ることもできる。これらはすべて波だ。波が僕らに信号として情報を伝えてくれる。伝わった信号は、神経へと電波され、脳内で情報として受け取ることができる。