こどくを抱えて ~amazarashi「リビングデッド」~
数日前にamazarashiの曲を聴いて、ガツンと衝撃を受けた。このアーティストはすごい。その曲の中で「リビングデッド」を聴いたとき、「こどく」の字が変換されていった。
1.孤独
自分はフリーランスとして活動している。ただ、勢いで動いた自分はそれで生活できているわけでもなく、今やニートに近い感じで息をしている。職場があるわけでもなく、誰かと言葉を交わす日はあまりない。話しかければ応えてくれる人もいるが、話しかけてくれる人などいない。定職から離れ、お金も潤沢ではない自分には当然の結果だった。
生活費くらいは稼がねばとアルバイトにも応募してみた。結果は連絡すら来ないところもザラ。今更微妙な年代の未経験者はアルバイトですら価値がないんだろう。
ある程度年を重ねてから動きが止まったとき「こんなしんどいものなんだな」とこみ上げるものを吐き出す相手もいない。ただただ自己と向き合うだけ。
どこまで行こうが一人。それ以外の自分が見えなくなった。
2.蟲毒
自分は誰かといようがいまいが一人反省会が延々と繰り返される。そんな人間が誰かと話す機会を失った場合には何が起きるか。一人反省会が中断なく繰り返されることになる。
ぼんやりとした考えごとからスイッチが入り、自己を責めるというより自分の客観視と振り返りが延々と続く。ネガティブな自分は自分の改善点や反省点を延々と掘り出すのが癖になってしまっている。「あの時のお前はあんなことを言ってた」「あのとき、あんなことしてたよね」「何がしたいって言って仕事辞めたの?それで今のお前は?そのためになんかできてんの?」などなど、一度始まってしまうと思考が止まらなくなってしまう。
延々とネガティブが掘り出されると出す改善点もなくなっていく。そうなると、自分の改善点のなかから一番気になる改善点に焦点を当てだす。
自分のネガティブトーナメントが始まってどんどんどんどん自分の嫌いな自分が煮詰まってドロドロになっていく。
そうして孤独から蟲毒が生まれた。
3.個読
最初は自分の嫌なところを強制的に延々と見せられるような自分の性格自体も本当に嫌だったし、うんざりしていた。どんなに考えないようにしても一度浮かんでしまうと連鎖して脳内ネガティブトーナメントが始まってしまうし、自分の無力感がどんどん強くなっていった。
それでもこの思考が続くときにふと、いつもと違う考え方というか「負の感情がここまで強く自分の内面にあるってなかなかないのでは…?」「むしろこんだけの状況でいまそこまでしんどくなく生きてんな」と思う瞬間に立ち会った。そこから改めて自分のことを考えたときに
「まぁ、ここまで来たらどうにでも生きられるかも」
「ここまで必要とされないって逆に燃えてきたな。違う道通って見返してくしかねぇな」
と持ち前の反骨精神と絡み合って戦闘意欲が燃えてきた。
まさに
女々しさも罪も不名誉も
一人懺悔したら歌になった
…
報われない願いをくべろ
かなわなかった夢をくべろ
止められない恨みをくべろ
死にきれなかった夜をくべろ
…
劣等感も自己嫌悪も
底までしずめたら歌になった
―amazarashi「リビングデッド」歌詞より引用
となっていった。
行くとこまで行って悩んで苦しんだ結果、こうやって文章にも出来るくらいに自分の内面を話せるようになって、自分の弱さも少し気にならなくなった。
自分の嫌なところを見せられ続けたことが、自分という「個」を読み解いて毒すらワクチンに変わるようなきっかけを得ることができた。
言葉遊びだけれど
孤独は蟲毒を生むかもしれない。ただ、個読を経て個徳を積むことができる。
我ながらなんて馬鹿馬鹿しい。でもまぁ、そう思えたからよかった。
4.あとがき
と、とあるアーティストの歌詞をきっかけに内面の心の動きや自分について考えるきっかけになった。考え過ぎと言われても性分なのでしょうがない。そこに関しては覚悟しているし、そもそもこの自己内省をしなくなった時点で自分が終わると思っている。そのため、ある種正常運転なので気にしないでほしい。
今はこの前向きなメンタルになっているが、きっとまたネガティブの毒にやられる時期がくる。流行りのウイルスが変異するように自分を蝕むウイルスはどんどんそのときの自分の弱点を吸収し変異していくと思う。ただ、ネガティブトーナメントを行い続けていくことでその変異にもきっと対応できるんだろう。知らんけど。ここまでからっぽでネガティブな自分が生きているのはきっとそういうことなんじゃないか、と思うしかない。
一つだけここだけは間違えないでほしいのはあくまで「孤立」にはならないでほしいということ。主観的な考えでしかないが、孤独から孤立になってしまうと、周囲の人だけではなく自分自身に対しても諦めの気持ちが出てきてしまうような気がする。だから自分のことをどんどん考えなくなるからこそ余裕がなくなるんじゃないかと思う。一人でもいいけれど最低限のアンカーはどこかに、人でも好きなものでも好きなことにでも沈めておくようにしておきたい。
あとがきが長くなるのが悪い癖。ご意見や感想、「これ聞いてみてよ」って曲があればコメントください。曲に殴られたら記事書きます。
では、また次回。