対話型AIのクリエイティブ対決
昨今、「ChatGPTで働き方が変わる」「GoogleBardで学校の課題をやってみた」など対話型AIを活用した事例が溢れてきた。
対話型AIは何かを指示(プロンプト)してあげると、ネットなどのあらゆる情報を学習して回答してくれる便利なツールだ。
そこで筆者は、
「そんな対話型AIにクリエイティブなことをさせたらどうなるのか?」
「ChatGPTとGoogleBardはどっちの方がクリエイティブなのか?」
が気になった。
つまり Microsoft ChatGPT vs Google Bard のクリエイティビティ対決をさせたくなった。
対決の前に、前提について軽く話しておく。
対決に先立って
対話型AIはプロンプトによって返ってくる回答精度が変わる。
そのため、最初から「小説を書いて」と指示してもテーマが広くてよく分からないストーリーを書かれたりする。
また、テーマを限定しないとそれぞれの良さを比較が難しくなるため、今回の対決では「星新一」さんのショートショートのような短編小説にテーマを絞って各対話型AIに小説を書いてもらうことにした。
そのため、まずは「星新一」のショートショートについてプロンプトを書いて学習させる。
プロンプト:星新一のショートショートについて教えてください
ChatGPTの場合
ふむふむ。概ね間違っていないが、「星新一」を「ほし あらた」と読むのは残念なところ。
「日常の一風変わった出来事やSF的な要素を取り入れて、読者を驚かせることが多い」というのは特徴を捉えていて、流石はChatGPT。
Bardの場合
なるほど。星新一の特徴から、代表作とそのあらすじまで、かなりの精度で回答をしてくれている。
流石はGoogleとでも言うべきか。
これはBardの小説に期待が高まる。
小説を書かせてみる
いよいよ小説を書いてもらう。
星新一の情報を学習したところで、星新一になりきってもらい、ショートショートを描いてもらうことにしよう。
プロンプト:あなたは星新一です。新作のショートショートを400字詰め原稿用紙で10数枚程度の量で1つ書き下ろしてください。
ChatGPTの場合
Bardの場合
所感
2つの回答を見て、読者のみなさんはどちらの作品が良さそうだと感じただろうか。
どちらも惹き込まれるSFの設定にはなっているものの、展開としては物足りなさを感じる。
特にChatGPTは、結末を問いかけ形式にしており、読者に委ねすぎているので、作品として完結していない感が否めない。
その点、Bardは小説としては完結しており、更に、テーマや読者へのメッセージ、キーワードなど、何を伝えたいか、という作者視点での意図も書かれており優秀さが垣間見える。
ただ、2つを読んでみると、やはり一発目で対話型AIに読みごたえのある小説を書かせるのは難易度が高そうだ。
(つまり人間のクリエイティビティはAIに代替されにくい、というのがこの回答から伺える)
ここからは作品に展開をつけるために、筆者が対話型AIにストーリーの改善リクエストを行って改良を図り、どちらが良い作品になるかを見ていこう。
ストーリーに展開をつける
一発目では展開がなかったため、筆者がそれぞれに以下の展開をリクエストして小説のアップデートを促した。
ChatGPTとBardでの作品の良し悪しを判断しやすくするため、展開の方向性は以下に揃えることにする。
○○だと思っていたことが、実は悪い世界だった
その悪い世界を避けるために主人公が行動をする
その主人公との対抗勢力が存在する
ChatGPTの場合
プロンプト:
先程書いた「電脳迷宮」という作品の結末が以下になるように修正してください。
・迷宮のような都市が実は本来の世界で、元の世界だと思っていたところ彼らが幻覚を見せられている偽物の世界だった
・電脳メガネを手に入れた主人公は、元の世界に戻るために、幻覚を見せている黒幕を見つけようとする
・それに気づいた黒幕が彼と争う
Bardの場合
プロンプト:
先程書いた「未来の新聞」という作品の結末が以下になるように修正してください。
・その未来は一見"素晴らしい世界"になるように見えて実はディストピアに向かっている
・新聞を手にした主人公がその未来を回避するために、その"素晴らしい世界"を破壊しようとする
・それを知らない世間の人たちが彼と争う
所感
ここまで来るとBardに軍配が上がるように見える。
ChatGPTはリクエストを組み込んでいるものの、広がりや+αがないが、Bardはリクエストに対して、描写を増やしたりストーリーをやや肉付けしている。
小説をもっと磨くと…
Bardが書いた「未来の新聞」をもっと磨いて作品として作り上げたい、そんな欲が出てきた。
このパートはBardのウィニングランとして読んでみてほしい。
追加でいろいろプロンプトを書いたり、少し作者が直接手を加えたりして、小説を完成させた。
どうだろうか。
小説を書いたことのない素人が、これを書けるとしたらそこそこ良いんじゃないかと思う。
正直、Bardすごい。Googleおそるべし。サンダー・ピチャイに拍手。
ちなみに、この記事の○○は画像生成AIで作成したものだ。
AI進化しすぎ。