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ひとり、独り、どこまでもひとり。
ひとり旅の醍醐味は、「独り」と向き合えること。
日々、ひと・もの・かね・情報が溢れ、それらと密接に関わり合って生きているわたし達に、もし足りていないものがあるのだとしたら、それは「独り」になる時間。
鏡に映る「裸の自分」と向き合うだけの、ただそれだけをする時間。
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はじめてのひとり旅は、21歳の頃に訪れたスペイン。どうしても「トマティーナ(トマト祭り)」に参加したくて気がついたらチケットを握りしめていた。
予定していた飛行機に乗り遅れ、夜の12時にバルセロナに到着。カタルーニャ広場に向かうバスに乗って、Google マップのピンを頼りにホステルへ。ネットが使えず、連絡も入れられなかったので「今日はもう来ないと思ってた」なんて言われながら、なんとかひと眠り。
day1 ロンドン → バルセロナ移動
day2 バルセロナまち歩き
day3 サグラダファミリア見学 / バルセロナ → バレンシア移動
day4 トマティーナ参加
day5 バレンシア → バルセロナ移動 / 夜のサグラダファミリア
day6 バルセロナ → ミュンヘン移動
宿だけ予約して、「サグラダファミリア」と「トマティーナ」以外はその場その場で自分の嗅覚にしたがって、好きなようにすごした。
決められた予定もなければ、一緒にまちを歩く友達もいない。誰かと一緒にすごしたのは、同じホステルに宿泊していたスコットランド人女性とごはんを食べに行ったり、たまたま出会った日本人の男の子と一緒にサグラダファミリアを見たり、その程度だったかな。
▲トマティーナで出会った人たちとの1枚。
▲目的地までの電車が急になくなり、突如歩くことになった知らない町。シエスタで誰にも会えず途方に暮れ、警察にお世話になった。
電車までの時間、チェックインまでの時間、歩き疲れた休憩時間。すこし座って、考えて、写真を撮って、目的地を確認して、また立ち上がって。
このとき撮影していた写真を見ると、なぜだか傾いたアングルの写真が多い。実際に見えているものは、ちゃんと重力にしたがっているはずなのに。
なにに焦点をあててこんな写真を撮ったのか、あんまりよく覚えていないけれど、どの構図にも必ず、斜めにまっすぐ伸びていく「線」が入っている。
たぶん、正しい角度で撮ることを拒んでいたんだろうな。
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これまでのこと、遠い将来のこと、近い未来のこと。
だれの人生でもない「自分の人生」をどう生きるのか、座りながらぼーっと考える時間が多かった。荷物も必要最小限でネットもつながらなかったので、もう、そうやって過ごすしかなかったんですよね。
ほかの国へ行くと日本語が通用しないので、コミュニケーションが制限されますし、いやでも考える時間が増えると思うんです。
ひとりで旅をしながら、独りと向き合う。そうしてまた続く「ひとり旅」は、はじめてバルセロナに降り立った頃よりもずっと豊かで。自分が大事にしたいものと向き合う覚悟ができたんだと思います。
いまでも、「あの旅の続き」を生きているのかもしれない と思える旅ができたことは、ほかのなににも変えられない、わたしの方位磁石です。
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