「もう無理」と「子持ち様」 運動神経が悪いということ Vol.41
代休をもらった今朝、5時過ぎに目が醒め、アラームを解除する。先月の残業時間は、50時間を超過した。ここ数年、年間でもそんなに残業していなかった身には、落差の大きな新生活だ。最初のひと月が、あっという間に過ぎたような気もすれば、ようやく経過したような気もする。
私が新年度から担当するようになったのは、未経験にして他部署を横断する仕事で、各所の担当者との連携が不可欠だ。毎日のように問い合わせや相談が寄せられるが、現在の私にはことごとく、即時対応できない。有識者の鋭い意見にはうろたえるし、初任者同士では謎が謎を呼ぶような状態に陥り、どちらにせよ、しんどい。各部署を連結するハブのような役割を素人の私が担っていては、業務上の機能の低下は明らかだ。経験者は他所にいくらでもいるのだから、なぜそのうちの誰かを代わりに回してくれなかったのか。日々、そんな疑問や不満を封印しながら耐え忍んでいる。
大型連休も明けると、新入社員のなかには退職を申し出る人たちが増えるという。昨今は代行サービスが注目されていて、「モームリ」という名の業者も知られるようになった。今年に入り、初めて耳にしたスラングもある。職場の同僚が不利益を被る場合など、原因となった子育て中の職員は「子持ち様」と揶揄されるらしい。
代休の今日も、職場からモバイルPCを持ち帰ってきた。何かまずいことが起こっていないか、メールを確認しなければ。できることは、少しでも進めなければ。こんな隠れたものを加算すれば、残業時間はさらに膨らんでいく。
年齢と釣り合わない低い資格と給与に甘んじて、希望しているわけでもない。そんな人間に異動先があるとすれば、猫の手も借りたいほど多忙か、目も当てられないほどの窮状か、要するに「誰でもいい」から来てもらわないと困る部署だろうと予測していたが、案の定だった。新人を早々に行き詰まらせ、子育て世代を萎縮させる世間は、きっと病んでいる。前任者の一人が産休に入り、休みの日も絶えない問い合わせに頭を抱える私も、いつ「もう無理」になることやら、まるで他人事ではない。
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