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4文小説 Vol.42
自宅の裏庭から可愛らしいさえずりが聴こえてカーテンを開けてみると、柵の端のほうに親子と思しき2羽の雀が止まっていた。
異動して3ヶ月、忙しくなった仕事は落ち着くどころか激化し、オフィスでの寝泊まりは1度ならず、3度を数えた。
生活のために仕事をしてきた私、軸足はいつも家庭に置いてきたのだが、いまやその家庭で過ごす時間は大幅に削られ、家庭を行き来する通勤の時間も煩わしくなり、仕事のための生活になってしまったのを自覚したとき、机に伏せた頬を涙が流れ落ちた。
せめてもう少し、人間らしく過ごしたいから―四十路までずっと世話になってきた親雀は、その決意を気丈にも受け入れてくれた。
―職場近くのアパート住まい