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【ファッションで時代を切り開いた人物たち⑦】マルタン・マルジェラ

飯田亜美です。

私はブランドを立ち上げたデザイナーの背景や歴史を知るのがすごく好きです。
世界に影響を与えているブランドやデザイナーの歴史を知ることで、ファッション業界の考察とこれからの展開に活かすためにまとめています。

そんな今日ご紹介する人物は
メゾン・マルジェラの創始者のマルタン・マルジェラです。

ファッション業界の中で、マルタン・マルジェラという名前は革命の代名詞といえる存在です。彼は、従来のファッションに対する固定観念を打ち壊し、独自の美学を貫いたデザイナーとして知られています。この記事では、彼の経歴や功績、そしてファッション界への影響について掘り下げていこうと思います。


マルタン・マルジェラの生い立ち

マルタン・マルジェラは、1959年にベルギーにて生まれ、ファッション業界では非常に有名で名門と呼ばれるアントワープ王立芸術学院でファッションを専攻しています。卒業後、ジャン=ポール・ゴルチエ(Jean-Paul GAULTIER)のアシスタントを経て、自身のレーベルとなるメゾン・マルジェラを創設しました。
創設当初は、マルタン・マルジェラの名前をそのままとり、「メゾン・マルタン・マルジェラ(Maison Martin Margiela)」がブランド名として使われていました。
ブランド名が「メゾン・マルジェラ」に変更されたのは2015年のことです。

革命的なスタート

マルタン・マルジェラは1957年にベルギーで生まれ、アントワープ王立芸術アカデミーでファッションを学びました。1980年代にはジャン=ポール・ゴルチエのアシスタントを務めた後、1988年に自身のブランド「メゾン・マルタン・マルジェラ」を設立。そこで彼は、伝統的なファッションの枠組みを超えた斬新なデザインを次々と発表しました。

解体と再構築の美学

マルジェラのデザイン哲学の核心には、"解体と再構築"があります。
ヴィンテージアイテムを解体し、新たな形で再構築する技法は、ファッションが持つ可能性を無限に広げていきました。また、裏地や縫製部分をあえて露出させることで、衣服の構造そのものをデザインとして捉える姿勢が注目を集めました。
彼の代表的なコレクションでは、破れた布、未完成に見える縫い目、サイズを誇張したシルエットなど、一般的な美の基準を意図的に崩した要素が多く見られます。このようなアプローチは、伝統的なファッションの美的価値に挑戦し、同時に新たな価値を創造するものでした。
また、ブランドを象徴する商品であるつま先が足袋の形をした「タビブーツ」は、彼が初めて東京を訪れたとき、地下足袋をはいた作業員を見て思いついたといいます。

ブランドの匿名性

メゾン・マルタン・マルジェラは、その匿名性でも知られています。デザイナー自身が表舞台に立つことを避け、ブランドのロゴを白い布ラベルにするなど、個性を消すことで作品そのものに焦点を当てました。このアプローチは、ブランドの独自性を際立たせるとともに、ファッション業界の中で異彩を放つ存在となりました。
タグが縫い付けられている四隅のステッチも、 今や見る人が見ればマルジェラとわかるディテールですが、そもそもはブランドネームに囚われず服そのものを見てほしいというマルジェラ自身の思いから始まったといいます。
アノニマス(無名・匿名)という意味が込められているそうです。

エルメスの「マルジェラ期」

後にマルタン・マルジェラ自身は、1997年から2003年までの間、フランスの一流ブランドエルメス(HERMES)のデザイナーも務めています。
1997年にマルジェラはエルメスのレディスプレタポルテデザイナーに就任しました。
脱モード・脱構築を唱えてきた彼が、ラグジュアリーブランドの頂点に君臨するエルメスのデザイナーに就任する事は、当時ファッション界に激震が走ったことだと思います。
エルメスファンの中ではマルジェラが手掛けた2003年までの期間を「マルジェラ期」と呼びます。
エルメスの歴代デザイナーにはジャン ポール ゴルチエやクリストフルメールなど著名なデザイナーが数多くいますが、「マルジェラ期」と名のつくほど今も人気が衰えないのが特徴です。マルジェラ期のエルメスは特に人気があり、数々の名作を世に輩出したことでも知られます。
例えば、ドゥブルトゥール。フランス語で二重巻き。その名の通り腕に巻きつけるバンド部分が2重になっています。
今話題になっているAppleとHERMESのブレスレットもこのデザインから生まれています。

後世への影響

しかし絶頂期とも思えた20周年の2008年に、マルタン・マルジェラは突然の引退しました。2019年に公開されたドキュメンタリー『Martin Margiela: In His Own Words』では、彼の人生とキャリアが深く掘り下げられています。現在もマルジェラの美学や哲学は、多くのデザイナーやブランドに影響を与え続けています。解体と再構築というアプローチや匿名性へのこだわりは、現代のファッションシーンにおいても新鮮であり続けていますね。

結びに

マルタン・マルジェラは、ファッションが単なる衣服の提供を超え、芸術としての深みを持つべきであるという理念を体現しました。その革新的なビジョンと挑戦的な姿勢は、時代を超えて私たちに新たな視点をもたらしています。彼が切り開いたファッションの新しい地平は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

読んでいただきありがとうございました。

参考URL:
https://www.bronline.jp/blog/?entry=41830
https://www.gqjapan.jp/article/20240214-michiko-kitamura-new-gentleman-vol4
https://www.uplink.co.jp/margiela/
https://a-prime.jp/maison-margiela/


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