記録の蓄積が働き方に与えた影響
年末まであと2週間。
秘密裏に、というわけでもないのだが、実はこの6月からある実験を試みていた。
今日はその振り返りをしようと思う。
テーマ:時間と記録を意識したらブラック労働は改善されるか
最初に断っておくと、わたしはフリーランスであって、別にブラック企業に勤めているわけではない。
フリーランスといえば「好きな時間に働ける」というイメージを持っている人が多いし、わたしも否定しない。
ではなぜ「時間と記録がブラック労働の改善に結びつく」と仮説を立てたのか?
「好きな時間に働ける」は裏を返せば「空いていればいつでも働けてしまう」からだ。
仕事を詰め込み、締切に追われ、目の下はいつも赤黒い。
長時間のデスクワークで腰も芳しくない。
まずはどのぐらいの労働時間なら許容できるのか、知る必要がある。
スケジュール管理が問題なのか、作業時間の見積りが甘いのか、問題を突き止める必要がある。
だから「時間の意識」と「記録」が不健康な現状を抜け出す第1歩ではと考えた。
目的:ブラック労働からホワイト労働へ
実験の目的はたったひとつ。
ブラック労働からホワイト労働への移行だ。
できれば週3日・最低でも週2日は仕事をOFFにしたい
できれば1日の労働時間は6~8時間にとどめたい
運動する時間を持って腰痛を軽減したい
時間と記録の意識は、ブラック労働を改善するために仮説で設定した手段。
目的はすこやかさを取り戻すことだ。
とったアクション3つ
「時間の意識」と「記録」を具体化して、最終的には下記のアクションに落ち着いた。
作業時間を記録(スプレッドシート)
仕事の進捗を記録(スプレッドシート✕2種)
毎週・毎月の振り返りを記録(紙の手帳)
実験スタート時はすこし違った行動目標を設定していたが、いろいろ試してみた着地点がこの3つだ。
結果:数字は改善したが未だあがいている
途中で変更したものの取り組みを継続した結果をみると、いくつかの数値は改善できた。
しかし、6ヵ月前より高難度ダンジョンに足を踏み入れた感じもある。
先にこの半年間を通じた大きな気づきを3つ述べておきたい。
1. 自分にとって「働くのがしんどい」状態とは
徹夜や長時間の労働が続けば、まず体がしんどくなる。
体調が悪いとメンタルもしんどくなる。
じゃあ働くのがしんどい原因は労働時間だけだろうか。
仕事のしんどさは、「ストレス」と「お金」の天秤がストレスに傾いている状態だと気づいた。
要は「こんなにがんばって、これだけか…」と思う状態(仕事)はしんどい仕事・やりたくない仕事になりうる。
タイトな納期、超絶細かいレギュレーション、クライアントからのキツいダメ出しをなんとかクリアして、いただいた報酬が500円だったらしんどい。もう受けたくないし、受けるなら単価を上げてほしいと思うはずだ。
逆に、同じ仕事でも報酬が1億円だったら、そのぶんストレスは割り引かれるのではないか。
もしくは同じ500円でも「楽しいことをしてお金をもらえる」状態なら、しんどさを感じにくいだろう。
「仕事はお金だけではない」というのもわかる。
でもたぶんそれは、その領域に辿りついた一部のすごい人たちか、働かなくてもお金に余裕のある人がいえることだ。
まだすごくも金銭的に余裕があるわけでもない自分にとっては、ストレスとお金の天秤もだいじだ。
2. すこやかに働くための覚悟が足りていなかった
ちょっと考えてみてほしい。
仕事の単価が変わらず、仕事にかかる時間も変わらず、働く時間を減らしたらどうなるか。
収入が減りますね。
収入を減らさずに休みを増やしたければ、仕事の単価や作業効率を上げる必要がある。
作業効率もまだまだ伸びしろはあると思うが、ある程度のところでやっぱり頭打ちになるだろう。
一方、仕事の単価は、一応「相場」は存在するが理屈としては青天井だ。
でも単価を上げてもらうには、自分の価値を上げなければならない。
もしくは自分の価値をことばにして伝えて、納得してもらわなければならない。
自分がほしい金額に見合う価値を、果たして自分は提供できているのだろうか。
そう考えると心臓がドクドクするし「ちょっと無理かも」と怖気づいてしまう。
理想の自分・理想の働き方をするための覚悟が、そもそも足りていなかったといえる。
3. すこやかさと充実感は必ずしも比例しない
下のグラフは6月~現在までのすこやか度と充実度を-10~+10の数値で示したものだ。
「すこやか」は心身の健康を
「充実」はいうまでもなく充実感を表す。
おおむね右上がりだが、8月は不健康だったにも関わらず充実していた。
なぜか。
2度の熱中症と夏バテで心身ともにボロボロだったが、先輩からの「低空飛行の時期もあるわよ」とのひと言で気持ちが吹っ切れたからだ。
心と体はもちろん健康であったほうが良い。
でも1歩踏み込んで考えると、わたしにとっては「充実感」もだいじな感覚なのだと気づいた。
心と体が元気でも、空虚な毎日ではきっと「幸せ」とはいえない。
ちょっとぐらい無理をしても充実感があれば幸せだとも言い換えられる。
不健康な減量をして競技に臨むボディビルダーや格闘家のように。
(ただし無理は長続きしないので要注意)
変化:記録の蓄積が財産に
自分の甘さや価値観に気づき、今ももがいているけれども、どんな変化があったかを数字で振り返ろう。
(といってもお金に関することは具体的な数字は伏せますね)
1. 時給
時給はだいたい1.5倍ぐらいになった。
これは作業時間をとにかくマメに記録して、どの仕事にどのぐらいの時間がかかるか、わりと正確に把握できるようになったからだ。
だから見積りも出しやすくなり、単価交渉もしやすくなった。
先輩にも「時給◯◯円以下の仕事はもう卒業しなさい」とアドバイスをいただいて、受注するかどうかの判断もかなり楽になった。
2. 案件数
逆に案件数は月によるがおおむね2割ほど減った。
目先の収入ほしさについYESといってしまいがちだった低時給案件を徹底的にお断りしているからだ。
今はそこに時間を費やすのではなく、自己投資の時間=自分の価値を上げる時間に振り向けたい。
だから案件数の減少にネガティブな気持ちはない。
3. noteの投稿本数
1月~5月は月平均1.6本
6月~現在は月平均24.6本である。
自分でもこんなに書くとは思っていなかったのが正直なところだ。
これは数字が増えたからどうということではなく、書くことが自分の客観視や内省につながっていて「良い時間」だと思えるから続いているだけである。
この実験の隠れたキャッチコピーは「蓄積を財産に」なのだが、だとすれば6月から書き溜めた162本はけっこうな財産になったのではないだろうか。
ただし、こっぱずかしいので読み直すのはまだ先の話。
嬉しいおまけもある。
noteを習慣的に書くようになって執筆速度も1.5倍ぐらいになった。
(今更だけどわたしはライターなんです)
仕事の効率化にもつながっている。
蓄積は財産になる
時間と記録を意識して、働き方改革に努めてきた半年間。
半年前に描いた「すこやかな働き方」には至っていないが、良い方向に変わっていると思う。
自分にとって「ホワイトな働き方とは?」を再定義することになり、覚悟のなさにも気づいたからだ。
だから方向転換をして第2ステージに突入したような感覚である。
半年前も今も、悩んでいることには変わりない。
でも悩みの解像度が上がったし、足取りもふわふわしたものから1歩1歩を踏みしめるような感覚に変わったと思っている。
それは、時間と記録を意識しつづけてきたおかげだ。
蓄積は財産になる。働き方も変えられる。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
あなたは2024年、どんなチャレンジをしますか?
最後になりましたが、この企画はLancers主催「新しい働き方LAB」の研究員制度第3期において、自主企画として取り組んだものです。
もともとの計画書はこちらです。