バカ野郎!ひとりにしないでよ。アメリカで夫に先立たれた妻のバイブル (4)
グリーフケア①
夫を亡くし、傷ついた心を癒す方法を探していた時、このグリーフケアに行き当たった。私が住む田舎では、コミュニティセンターのような場所で町が主催するグリーフケアも不定期開催ではあるが行われている。おおむね3か月に1度だろうか。ここで行われるグリーフケアカウンセラーは、医師やカウンセリングを生業にしているボランティアが多い。
宗教団体主催のグリーフケアは、それぞれ月に2回から3回行われている。教会主催は、当然だがそれぞれ異なった宗派の教えに沿ったグリーフケアが行われ、宗教的指導者がカウンセリングを担当する事が多いようだ。
……ある宗教の例を挙げると【成人男性が亡くなると天国では何人かの美しい聖女(処女)が待っていて、幸せが待っている】と信じられている。だから悲しむことはない。彼は天国で今頃、美女と楽しんでるよ。だから君も早く新しい伴侶を探そうね。
こんなことを言われたら、残された妻は悲しむよりも腹が立つのではないだろうか。そもそも、ちょっと待ってよ!! 成人女性が死んだらどうなるの? 素敵なイケメンたちが、しもべとなって奉公してくれるの? とツッコミを入れたくなる。
そんな話は誰も聞いた事がないので、この宗教団体の正体はこんなものだとわかりそうだが、なんとも不思議なことに世界中に信者がいる。
男はそんな甘い言葉にころっと騙され入信するのか??
このテーマは少々面倒な上、危険な香りもするので、これ以上つっこむのは辞めておこう。教祖が一夫多妻生活をしていた事実と現在もそのような生活をしている信者がいる団体だから、聖女伝説のような信じられない狭義が今も語られているのだろう。男のロマンは死んでも続くよ!と叫んでいるようで、男尊女卑も甚だしい。
話をグリーフケアに戻そう。
私が小学校6年生の時、いとこのひろし兄ちゃんが交通事故で突然この世を去った。私が初めて人の死というものを意識したのはこの時だ。悲しみは子供心にしっかりと記憶され、冷たい亡骸を見た時の死に対する恐怖は今も心に焼き付いている。この突然死では怪奇現象も多く経験した。無常な出来事は、私に悲しみと恐怖をもたらした。
恥ずかしいが、この時から暗闇が怖くて仕方ない。恐ろしさセンサーにスイッチが入るとトイレに1人で行けなくなる。スピリチュアル体質と言えばかっこいいが、怖いものは誰が何と言おうが怖いのだ。
子供の頃は、いつも母が一緒について来てくれた。大人になってからは、夫が優しく「大丈夫だよ」と言って、ドアの外から話しかけ見守ってくれていた。
母は亡くなる前「あなたが怖がりなのを知ってるから、絶対に出てこない」と言っていたが、さらっと白い影として姿を見たので、やはりスピリチュアル体質なのだろう。しかし、私の横には、いつもやさしい夫がいた。怖いけど怖くない。夫が亡くなるまで、グリーフケアを知らなかったのは、この為だ。
グリーフケア②につづく