望まない妊娠
ついこの間、私は生理が1週間遅れたことに
不安を覚えて妊娠検査薬を使った。
結果は陽性。妊娠していた。
心当たりはあった。数週間前に遊んでいた、所謂セフレとの間にできた子に違いない。
早速そのことを伝えると謝罪はされたものの、全くもって仕事を理由に色々な手続き等の協力もしてくれない。
中絶すると決めていたから、病院も一人で行った。涙が出そうなのを必死に抑えて、話を聞いた。
セフレは中絶費用は払うとは言うものの、仕事を理由に同意書も書かず非協力的だったので、私は本当に払うのか疑った。
払わなくてももういい。この人との縁が切れるきっかけになるのだとしたら私はもうこれでいい。
それと同時に私のことを好きだという別の人に、私は自分の状況を話した。
彼は親身に話を聞いてくれ、病院にも付き添ってくれた。
私はそれだけでよかったが、彼はそれ以上に私との関係性をより一層明白にしてこようとしていた。結婚を前提に付き合って欲しいというのだ。
もちろん、中絶のことで心がズタボロになっていた私は彼のその言葉には救われた。
しかし、冷静になると私は彼が好きなのか分からないのだ。優しい、親身になってくれる、私を好いてくれる。第三者であれば、絶対に彼を私に推していた。
ただ、当事者となれば話は別なのだ。
今現在、中絶手術の間の猶予期間で仕事も普通にしている。
誰にも話せず職場では平静を装っているが、内心泣きたいし、誰かに頼りたい。涙が止まらないのだ。
自分の責任でもある、遊んでいたツケが回ってきたんだと思う。だけど、もういっそのこと死んで楽になりたいとさえ思う。
十分生きた、私の人生なんて潰えた所で誰にも何の影響も与えない。
悲しむ人はいても時が経てばやがて忘れる。
所詮その程度の存在にしかなれない自分なんて存在している意味などあるのか。
中絶をすることによって、生きるはずだった命を自ら絶つのだ。この子と一緒に天に召された方がいいのではないか。
自分の行先は地獄でも、命を命で償うことに変わりはない。私ができることなんてそれくらいしかない。
本当は産み育てたかった。苦しくてもそれが責任だと思った。中絶なんかしたくなかった。
生きていくなら一生私はこの重みを背負って生きていくしかないんだ。そんな苦しみを味わいながら生きながらえていくくらいなら死んだ方がマシだ。
私のことを好きな彼も将来は子どもを望んでいる。そんなの中絶したらもう無理に決まってる、
前向きになんて考えられるわけが無い。
好きだと言っても私の一部を受け入れてはくれなかった好きなら所詮その程度の愛でしかない。
私は一生報われない。
早く死んで楽になりたい。
存在ごと抹消してなかったことにしたい。
私が殺してしまった子のように。