【短編小説】となりのマリエちゃん【ホラー/サスペンス】
マリエちゃんには、秘密がある。
「このきったねえ人形、捨ててなかったのかよ、直子!」
ドアを開けた瞬間、奥から、怒声がした。隣室への挨拶を済ませてきたわたしは、雑然とした奥の部屋の、段ボールを開いていた彼に、睨まれた。マリエちゃんが、彼の指先に服をつままれ、ぶら下げられている。
「あー……うん」
マリエちゃんは、おもちゃの人形だ。未就学の女児用で、身体は、赤ん坊より一回り小さい程度。拳大の、丸い洋顔。茶髪でオカッパ。くりっとこげ茶色の双眸。関節が可動する。黄ばんだブラ