ケース16. ピークエンドの法則〜成長を促進するリフレクション〜
▶︎経験を糧にしていくために必要な工夫とは?
経験を振り返る際に全ての体験を思い返すことはできず、印象深い出来事のみが蘇ってくるものではないでしょうか?
経営の視点:
・経験を糧にして成果に繋げてほしい
・機会を前向きに活かせるかは個人差がありサポートが難しい
現場の視点:
・良い体験を重ねていきたい
・時間が経つほど記憶が断片的になる
ロミンガーの法則(7・2・1の法則)において、
7割は経験から学ぶことができ、
2割は周囲の人から学ぶことができ、
1割は書籍などの座学から学ぶができる
と示されるように、人の成長においては経験が重要とされていますが、人は経験したこと全てを記憶することは難しく、同じ経験をしたとしても記憶に残ることには個人差があります。
今回は、人の成長を促進するリフレクションをピークエンドの法則を用いて考察します。
▶︎ピークエンドの法則
例えば、長蛇の行列ができるお店でリピーターが出るのは、長時間の待ち時間に対して、ピークとエンドで良い思い出として残り、退屈な待ち時間の記憶は残らないことが起因しています。
ビジネスシーンにおいては、営業やプロジェクトで衝突が生じようとも、相手の関心を刺激したり、関係構築を高めたりと、感情を高めるピークを演出したり、最後を良い総括で締めるエンドを演出することで、良い記憶が残ります。
組織開発にピークエンドの法則を活用すると、リフレクションを促進することができると考えられますが、どのような工夫ができるのでしょうか?
▶︎記憶に残る関係構築
ダニエル・キム氏の成功循環モデルによると、組織が成果を継続的に出し続けるためには、関係の質を高めるチームビルディングが重要とされています。
例えば、サイバーエージェント社では、創業間もない時期に社内の助け合える関係の少なさが退職の原因になっていると課題を仮定して、懇親会費用の補助や部活動支援などの人事施策を強化したことで、悩みを相談できる心のセーフティネットに繋がり、退職率の改善と強固なカルチャーに繋がったとされています。
名だたる企業が自社を離職したメンバーとの関係性を活用するためにアルムナイネットワークを構築していますが、離職してからも関係性を維持する動機づけにはピークエンドの法則に示されるように在職期間中の記憶の良し悪しが影響すると考えられます。
そのため、むやみやたらに関係構築のための場を設けるだけではなく、懇親会や部活動などの非公式の場から、納会や会議、1on1などの公式の場においても、感情が高まるようなビジョンの共有、行動の振り返りといった対話を工夫して、「あの時にチームやAさんの存在があったからこそ」と記憶に残る機会とすることが、前向きなリフレクションを促進するために重要と言えるでしょう。
人は好意に対して応えたくなる性質を持っているため、何気ない声掛けやポジティブな対話が有効なのです。
※返報性の原理に関する記事
▶︎プロセスを理解して期待を伝える対話
リフレクションには、言語化の作業が欠かせません。
その言語化を促進する行為が対話です。
対話を通じて、成功体験/失敗体験を振り返り、未来の期待を伝えることが感情の高まりを引き起こし、ピークエンド法則としてリフレクションを促進します。
組織行動学者のデイヴィッド・コルブ氏は、「経験学習モデル」において、①具体的経験→②内省的反省→③概念化・抽象化(教訓を得る)→④能動的実験(積極的な実践)→①具体的経験からのサイクルに戻る‥を唱えており、経験のリフレクション仕方次第で成長が変わるしています。
そのためには、下記のSBI情報をタイムリーに記録して、「あの時に〇〇をしたからこそ△△となった」とピークエンドの法則を意識した伝えた方やタイミングを工夫して総括することが有効です。
成功体験や乗り越えた悩みを記録していくことでその人ならではのストーリーとなり、感情が伴うリフレクションが促進されます。
一方、人は自身を理解してせずに押し付けられていると感じると心理的リアクタンスが生じて反抗を覚えてしまいます。
※フィードバックに関する記事
ピークエンドの法則はネガティブな感情が高まるとネガティブな経験として記憶に残してしまうため、糧とするためにはプロセスに意義を見出さなければなりません。
▶︎人生の解釈力が道を拓く
グロービス特別顧問の田坂広志さんは、『人間を磨く』で下記のように物事は捉え方次第と説いており、ピークエンドの法則の活用も自分次第だと考えられます。
人はどのように時間を投資したかで歩める人生は変わります。
ネガティブに経験を受け流すのではなく、7つの習慣にあるような主体性を持って解釈して、そこにポジティブな感情を抱くことで道は拓けるのではないでしょうか。
※本noteでは、人の可能性を拓く組織づくりのための新しい気付きを届けることを目的に、組織論とケースを考察していきます。 他記事はぜひマガジンからご覧ください!