読書記録:組織人事


1.スタートアップのための人事制度の作り方
(金田宏之)

スタートアップ向けの人事制度のポイントが分かりやすく整理されています

<Point>
・人事制度が必要な理由は、仕事に集中できる環境をつくるため
・評価制度、等級制度、報酬制度の3つが連動しないと人事制度は機能しない
・スタートアップは経験者採用中心となるため、従業員へ自律的な能力開発とキャリア開発を求めるフラットな関係性を築くべき
・人事制度を運用負担が重いため、Whyの共通認識を持てなければ瓦解する
・人が増えれば増えるほど、報酬や評価、キャリアの悩みが指数関数的に発生する
・人事制度で期待の指針を示し、各個人の解釈のバラつきを抑える
・スタートアップほど人事制度が採用競争力にダイレクトに貢献することはない
・ミッションに共感の強い10 ~ 20 名の段階で人事制度を設計して、トライアル運用する
・スタートアップはスペシャリスト人材が事業の差別化要因となるため、人事制度で活かす
・等級で再現性を捉える
・行動評価が企業の長期的な成長に貢献する
・評価は事実と解釈を分けて記録しフィードバックする
・賞与は変動の度合いが小さいと逆効果になるため、基本給に組み込む方が無難
・人事制度は運用の人手に投資することが重要

2.マネジャーのための人事評価で最高のチームをつくる方法(川内 正直)

たった1回の目標設定で人生を変えるきっかけをつくれるとの思想に胸を打たれ、HOWを体系的に学べます

<Point>
・今の時代に合ったマネジメントのやり方や最適解をつくり上げていく
・人事評価は、人の変化を生み出すための制度であり、仕組みより運用次第
・SNSの存在で他者比較で評価に対する期待値GAPが高まりやすくなっている
・感情報酬(貢献欲求、承認欲求、親和欲求、成長欲求)に溢れる組織をつくれるか
・万人にとって公平なルールや完璧な制度は存在しない
・成長期待直線と成長実感曲線ほギャップが大きくなることで不安が生じる
・目標を分解して、少しでも成長実感を得られるように目標設定する
・目標管理は即時性、周知性、一覧性、問題発見性が重要

3.クリエイティブ人事個人を伸ばす、チームを活かす(曽山哲人、金井壽宏)

サイバーエージェントの歴史におけるコミュニケーションエンジンとしての人事機能の解説が学び深い

<Point>
・人事部門の役割は、ラインマネジャーや現場メンバーにどんな価値をデリバリーしているか
・経営と現場の間に一貫性をもたせることに人事のクリエイティビティが発揮される
・現場の声を聞いて人事制度をマーケティングする
・制度を流行らせるためにネーミングにこだわる
・制度は軽めにつくり、現場が運用しやすくする
・評価と査定はシステムではなく納得感のある対話
・社内交流によって顔の見える関係、話しやすい関係が築かれることで不正やトラブルが減る
・社員表彰は人間性や人望が大事

4.心理学的経営(大沢武志)

経営リアリズムとして人を捉えるリクルートの心理学的経営が学び深い

<Point>
・同じ人でも複数の感情が芽生えることが当たり前
・個が埋没しないために小集団のチーム形成が重要となる
・自己有能性、自己決定性、社会的承認性がモチベーションマネジメントの土台
・目標の難易度は個人の主観的なものさしの上で判断されることに注意
・危機意識が高いと混乱は避けられないが、組織改革力を高めるためには必要なプロセス
・人事異動の頻度の高い組織の方が低い組織よりも活性度が高い
・職務適応、職場適応、自己適応の3つの適応がなければ中長期的な活躍は難しい

5.入門 組織開発(中村和彦)

個人を対象とする人材開発の場合よりも、組織開発は織全体や部門、個人など人や関係性を複雑に扱う難しさがあるからこそ難易度が高く、体系的な学びが大事だと理解が進む

<Point>
・外発的動機づけと内発的動機づけの両面から働きかける
・認知的ケチが作用して、分かりやすい数字に議論にとどまることに注意が必要
・会議の時間を短くしようとするほど短期的視点に陥る
・現代は個業化が進む環境要因が多いため、関係性に対するマネジメントを何もしなければ、バーンアウトが起きやすくなる
・潜在的生産性が発揮するにはプロセス·ロスを低めなければならない
・関係性に投資してもすぐに収益は上がらないが、投資しないと風土が廃れていき、持続的な収益の土台は弱まる

6.amazonのすごい人事戦略(佐藤 将之)

Our Leadership Principles14項目から成るリーダーシップ理念を実現するamazonの人事戦略が学び深い

<Point>
・amazonは20数年で時価総額世界一の巨大企業となった
・リーダーは長期的視点で考え、短期的の結果のために、長期的な価値を犠牲にしないオーナーシップが不可欠
・リーダーは多様な考え方を追求し、自らの考えを反証することも厭わない
・リーダーはすべての採用や昇進における、評価の基準を引き上げる
・中途半端な採用で入社後に問題を起きる方が労力は高いため、採用にこだわる
・amazonのマネジメントは採用を当たり前に担い、育成計画を立てた上での実行が評価される
・Customer Obsession では競合にも注意は払うが追随はせず、顧客に向き合うことを強調している
・amazonの採用は選考基準を引き上げる資格を持つバーレイザーに決定件を委ねている
・amazonでは文章を書く能力な重要視されている

7.図解 人材マネジメント 入門(坪谷邦生)

なんとかする力が必要なマネジメントの全体像をインプットできる

<Point>
・人事評価とは、やってもやらなくても同じという悪平等をなくすためのもの
・効果的な人材マネジメントには、環境への適応性と施策の一貫性がある
・退職率を下げるためには求心力施策を、上げるためには遠心力施策の両面が必要
・持続的成長企業は、社会的使命を重視しながら経済的価値も重視、共同体意識がありながら健全な競争も共存、長期志向でありながら現実も直視、と対立する価値基準をあわせ持つ
・組織活性化は自己否定から始まる


8.図解 組織開発入門(坪谷邦生)

組織開発に関する様々な理論をインプットできる

<Point>
・集団が組織になるためには、目的を共有していること、協働することが必要
・組織開発とは、組織の健全さ、効果性、自己革新力を高めるために、組織を理解し、発展させ、変革していく、計画的で協働的な過程
・組織開発のやり方は、関係性への働きかけ、人材マネジメントによる働きかけ、構造的働きかけ、戦略的働きかけがある
・ファシリテーターの役割は配慮、意味づけ、情緒的刺激、実行機能(目標の設定、時間管理)
がある
・対話とは共通の目的や意義(WHY)を生み出すための話し合いであり、共創のない対話は失敗
・関係性が豊かであれば、情報の共有度合いや本質的な対話、共創が促され、新たな価値創造に繋がる
・ビジョンと現実は乖離が創造を生む
・全てにメリデメと相性があり、完璧な組織論は存在しない
・合理的楽観、感謝、利他、フロー、マインドフルネス、それぞれの習慣が幸福感を高める

9.人事評価制度 17の大間違い(白潟敏朗)

人事評価制度の幻想を現実的に紐解く観点が参考になる

<Point>
・評価制度は納得感によってモチベーションを下げないための道具であり、総人件費の制約がある以上、変化率は限られるためにモチベーションを上げることは難しい
・評価項目が増えるほど観察対象が増えて煩雑になる
・MVVに賛同していない人は何をしても文句を言うため、公平性はMVVに合わせて設計する
・個人差があるため成長のゴールは人事評価に連動させない
・中途半端な改良は不満の種になる
・評価段階は少ない方が余計なトラブルを防止できる

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