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第1回 ねらい、問題意識、構成

はじめに


ねらい


 地域生活者が安心して安全な生活を継続するために期待されている“地域協働”が直面している課題を克服し、地域の問題解決のために、地域での協働活動が活性化されるためのアプローチを提案することです。

問題意識:協働の背景と現状


 地域に住んでいる多彩な生活者が安心して安全に暮らすためには解決しなければならない問題に直面しています。その解決を担ってきた行政サービスに対する限界が指摘されています。一方、特定非営利活動法人、社会福祉法人、市民活動団体など民間非営利組織 (以下NPO)も地域問題解決へ向け活動していますが、団体単独では問題を解決することに限界があります。こうした個別の組織・団体だけの活動の限界に対して「協働」が期待されています。

 地域での協働を促進するために現在、多くの自治体では 「協働」に関する条例を作り、担当部署を設置し、制度を構築し、行政と非営利組織、民間企業などとの協働事業が取り組まれています。しかし、現在、地域で行われている協働事業の実態は「活動をすること自体」が中心になっており、地域の問題解決につながっているという報告は少ないのが現状です。

 例えば、地域の協働を促進するための制度として多くの自治体が導入している「協働事業提案制度」においては、途中で停滞・中止になったり、協働事業が実施されても、本来の目的である地域の問題解決につながっていない報告が多く見受けられます。また、市民活動は活発化している一方で、協働事業提案制度へ応募するNPOなどが減少している地域は少なくありません。  
 こうした自治体が期待した協働の効果と実態とのギャップに対して多くの自治体も見直しに動いています。見直し策の多くは、協働推進の制度や体制の変更や、セミナーなど新たな取り組みのための環境整備を重視する一方で、個々の協働事業が成果を生むための対応はほとんど見られません。今、地域にとって重要なことは、「地域問題を解決できる協働活動」が効果的に展開できるようすることです。

 そもそも”地域の問題を協働で解決すること”は、地域の協働参画者にとって新たな取り組みであることから成果を生み出すことは困難です。こうした認識をもとに一つ一つの協働をいかに効果的な活動ができ、地域生活者が安心・安全な生活を継続するために地域協働を多く創り出す取り組みが求められています。


構成


 本稿の構成は以下の通りです。

はじめに
Ⅰ.地域での協働への期待
Ⅱ.地域での協働の現状
Ⅲ.協働の成果に影響を与える要因
Ⅳ.地域での協働を活性化に重要な3つのこと
Ⅴ.チームが主体的に協働事業をマネジメントする
Ⅵ.協働事業を活性化する仕組みの効果的な運用
Ⅶ.地域協働の基盤づくり

                                 了