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【ゲムマ2024秋】皮肉全開のゲムマ振り返り(出展者視点)

本記事は2024秋ゲムマの振り返りである。
ゲムマ当日の振り返りというよりも、前回参加したゲムマ(2023秋)から今回ゲムマ(2024秋)までに考えたこと等をトピックス形式で書いている。
また、本記事はよくある反省という名の日記ではない。財布や出展者証忘れただの、打ち上げで肉食っただのの読み手の人生において1ミリも得にならないことは書いていないつもりである。結論→理由という構成を心掛けているので興味のあるセクションだけ読んでいただいても構わない。

上記のとおり、非常に攻撃的で皮肉全開の書き方をしている強い言葉が苦手な方冗談を冗談とわからない方は読まないことをお勧めする。

なお、本記事はあまりにも長いのでX等でつぶやくときはスクリーンショットでの引用を推奨します。
私の言っていることが全て正解だとは思っていませんので、皆さんの議論のきっかけになれば幸いです。


前提として

「読み手の人生において1ミリも得にならないことは書いていない」と豪語しておいて最初のトピックが読み手の人生において1ミリも得にならない弊サークルの基礎情報で申し訳ないが、この前提条件が無いといちいちスタンスを書かないといけなくなるのでここで記述させていただく。

〇弊サークル
徹夜朗読会
・ゲムマ出展4回目
・Xフォロワー460人くらい
・広報は「X(自薦は一切なし)」「ゲムマ公式サイト」「きたこしちゃんねる」のみ
・試遊会等一切不参加

〇頒布物
Drop Ink(ゲムマ2024秋新作)
・2~4人用/10~15分/8歳以上
・1,800円

コンポーネントはこんな感じ

また、私は自作ゲームを売るゲームをするためにゲムマに参加している節があるので、売るためにどうしたみたいな話が大半を占めるのでよろしくお願いしたい。
「売りたい」の先には自己顕示欲承認欲求があるが、話の焦点がズレるので、ここでは全て「売る」と言い換えていると思ってほしい。私の言う「売りたい」は「儲けたい」ではないので勘違いしないようにしてほしい。

「予約の3倍売れる」は本当か?

結論から書くが、今回頒布のDropInkは予約数の2倍以下しか売れなかった

ゲムマには予約数の3倍売れるというセオリーというかジンクスがある。
私もこれを鵜呑みして予約の3倍の部数を製作してしまった。
結果は予約数64に対して、頒布数は110である。数学が得意なオオサワ皆様ならもうわかると思うが、90個売れ残った。

悲しき在庫の山

皆さんのおかげで損益分岐点は突破しているのでいいのだが、少し作りすぎた。
確かによく考えてみれば、予約以外で140個売るにはゲムマ開催時間を加味すると約2分に1つ新規顧客に売らなければならないのだ。
簡単なゲームの説明だって2分くらいかかるのに、ひっきりなしに説明してその全員が買ってくれないと完売できない設定でうまくいくはずもない。
これはサークルの知名度広報への力の入れようによって変わる。初見じゃなければそこまでの時間がかからないからだ。私のように、たいして広報もしない、Xのフォロワー400そこそこで横のつながりのないクソ雑魚サークルでは、顧客はほぼ初見となってしまうので無理である。

まぁ、予約の3倍というセオリーに該当しないケースもあるよってことで1つの知見にはなったんじゃないでしょうか。
みんな理由とか考察してみてね。私が次回以降の参考にします。

今回の頒布物(Drop Ink)について

徹夜朗読会では、毎回別のコンセプトでゲムマに参加している。例えば、前回Time Stormのコンセプトは「複雑なゲーム性」と「プレイアビリティを犠牲にしたアートワーク全振り」。
以下のnoteに前回反省を書いているので、読みたい人は是非。本記事と被る部分も多々あるので、この記事が面白いと思ったら読んでみてください。

さて、今回のDrop Inkのコンセプトは、「数を売る」。目標は土曜のみ出展、通販・委託無しで100部以上売ること。まぁ、大手サークルさんからしたら簡単なことなんだろうけど、100部以上売るのはそこそこ大変である。このコンセプトを実現するために考えたこと、実施したことを項目ごとにまとめていきたい。

ミニチュアの付いた同人ボードゲームを売る

結論: 3桁売れる。ただし、120%商業ベースには乗らないので、そこを目指す人は真似すべきではない。

DropInkのコンポーネント

Drop Inkの目玉は誰が見てもミニチュアである。
いまや、BGG上位陣はフィギュアゲーの巣窟といっても過言ではなく、クラウドファウンディングでは1万オーバーのフィギュア付きボドゲのプロジェクトのオンパレードである。ミニチュアを付ければ評価が上がるんだから付けない理由もない。世は正に大フィギュアゲー時代。

今回頒布したゲームは4種12個のミニチュアを付けた。完全に今回のゲームに合わせてモデリングしたものであり、かなり偏ったモチーフのため同様の駒を使ったゲームは絶対にこの世に存在しない
こういった付加価値を付ければ手に取ってもらいやすいのは誰にでも予想できる。私は同人ゲームを売るにあたって、イラスト等のぱっと見でわかりやすい付加価値をつけることを意識した方がいいと思っている。ファーストインプレッションはもちろん重要だし、数多あるゲームから選択するのは結局付加価値の比較になるからである。

こんなこと書くとライバルが増えそうで嫌だが、同人ボードゲームにデフォルメされていない(かつ木駒でない)ミニチュアのオリジナル駒を付けている物はほとんど無く、完全にブルーオーシャンである。3Dプリンタでトークンを作っているところは若干数見受けられるが、平面的なものが多い。平面的なトークンは木駒に分があるので、3Dプリンター製で勝負すべきではないと思いますが・・・。
イラストも差別点になり得るのだが、他の人の作品も凝ったものが多いため差別点にするにはイラストレーターレベルでないと難しいところまで来ていると思う。
その点、立体物は差別化した付加価値として非常にコスパがいい。なんせ、私のような普段2DCADしか使わない人間の作ったぶっ刺し3DCGモデルでもクソかわいいからである。

潰れちゃったトマト駒。非常にかわいい。

また、最近はアクリルスタンドの製作原価が下がっており、同人作品でアクリル製の駒が付属しているものが最近出始めている。今までは2次元である木駒やタイル等のトークンであったが、平面を立てて疑似的に3次元としているアクリルスタンドまではそう遠くない未来に一般化しそうである。

アクリルワンさんの料金表 100個だと@300円ほどで製作できる

一般化するということは差別点にならないということ。
だが、アクリルスタンドの先の完全な3次元である3Dモデルの立体化はすぐには訪れない。
理由は2つ。量産体制的な理由と、カードやパッケージに使用したイラストをそのまま使用すればいいアクリルスタンドと違い、3Dモデルを作るという工数がまるまる追加でかかることが理由だ。あと何年かはライバルが増えにくいという意味でもやっぱりコスパがいいのである。

ここまで、メリットを書き綴ってきたがもちろんデメリットだって存在している
まず、製作がクソめんどくさい。3DCGか3DCADを扱えることは言わずもがなとして、3Dプリンター関連を一式そろえる必要がある。3Dプリンターの印刷は意外と時間がかかる。H=20mmだと、私の使っているELEGOO Mars3では1回1時間半くらい。今回の製作では単純計算100回ほど印刷しており≒150時間くらいかかっている。あとレジンは臭いし、気を付けないとレジンアレルギーになる。小さなお子さんのいるご家庭では絶対やめた方がいい
また、ミニチュアを目玉したゲームが商業では確実にリメイクされない。3Dプリンター製は商業品では通用せず、金型の作成が必須であるからだ。売値1,800円のゲームで金型作成できるわけがない(ラブレタークラスならできるだろうけど)。また、ルール以外が目玉のゲームパブリッシャーの目に留まるとは考えにくい。こういった理由でパブリッシャーからのリメイクを狙うならミニチュアなんか付けるべきではない。ではなぜ弊サークルではミニチュアを付けたのか?

商業品との差別点としてのミニチュア

ゲームマーケットも回数を重ねるにつれ、同人ゲーも小綺麗になり商業ベースのものと遜色ないクオリティになっている。
同人は商業を相手にしなければならないステージにまで来ていると思うし、実際そういった感想もXでちらほら見かける。
商業と同じ土俵で戦える地力を持っているサークルはいいかもしれないが、私みたいな弱小ゴミカスサークルでは商業と勝負しようと思ったら差別点を作るしかない
上記で記述したように、商業で1000円台のゲームでミニチュアを付けることは不可能である。ゆえに今回はここを差別点とした。
今回のゲームは4色のキューブをコンポーネントにすればゲームとしては成立するし、商業・同人問わずそうしている作品は多い。

ミニチュアを汎用コンポーネントに差し替えてみた。
私自身、このコンポーネントだったら絶対買わない。

ただ、今回のゲームが汎用トークンだったとして、3桁の個数を売ることは不可能なのは明白である。

いわゆるπ型

上記の戦略はいわゆるπ型といわれる戦略である。
これは、だいたいの出展者が無意識で行っていることの言語化である。知ってる人は読み飛ばしてよい。

ゲームマーケット作品の内、売れている作品はほぼすべてはπ型である。
深い専門性(ボードゲームでいうとルールの部分)はもちろん人を惹きつけるが、大多数はそれだけで勝負できるほどの才能を持っていない。自分が天才だと思っていないのなら、ゲームのルール以外の別ベクトルと組み合わせることで唯一無二になることを目指すとよい。

π型とは、2つ以上の専門性を備えており、豊富な知識を備えている希少性の高い人材を表す言葉

タレントマネジメントラボコラムより
https://www.pa-consul.co.jp/talentpalette/TalentManagementLab/pi-type-talent/

わかりやすいところで言えば、アートワーク。説明不要。

専門的なテーマ」も当てはまる。釣りが好きな人が「釣りのボードゲーム」を作ることで、高解像度のフレーバーをゲームに組み込めるといった具合。今回のゲムマで言えば、やまこ~さんの「ランカーフィッシュ」とかがこれに当たる。


突出したコンポーネントも別ベクトルである。例えば、竜哭堂さんの「GearMagia」。あまりに緻密なミニチュア個数限定のプレミア感もあってコレクション欲をくすぐる。

何はともあれ、ほぼすべての出展者はπ型を意識しているといえる。考え方として覚えておいて損はない。

ゲームのタイトルについて

ゲームのタイトルを付けるときに意識することは何か?
私も知りたいぐらいだが、Drop Inkというタイトルはどういった部分を意識しているか書き出したい。
まず、他の作者さんも意識していると思うことが検索性・類似性。分かると思うんで改めて解説はしない。
次に、作品のメカニクスフレーバーを想起できるか。改めて解説はしない。
最後に語感。前回タイムストームも今回のドロップインクも、脚韻を踏んでいる。(1字なんでヘッズに怒られそうですが)
タイム(mu)-ストーム(mu)、ドロップ(pu)-インク(ku)といった感じ。リズム感が圧倒的に良くなり口にして気持ちのいいタイトルになりやすい。
また、drop Inkはdroppingという実際の単語と語感が似ているため、言葉として違和感がなく入ってきやすい。
本当は頭韻を踏めた方が語感はよいのだが、良い案が浮かばなかったので脚韻となっている。
今回はテーマ性が薄いゲームであり、カタカナ語のタイトルだから語感を狙っているが、ブランディングが違えば狙いも変わってくるだろう。なんでもかんでもリズム感を良くすればいいというものではないことを忘れてはいけない。

Drop Inkのロゴ

反省点を1つ。英字のタイトル可読性が非常に悪い。今回のタイトルで言えばDropはまだしもInkはぱっと見では読みにくいと思う。カタカナでドロップインクにする選択肢もあったが、サークルカットをインク瓶や万年筆のようなアンティークっぽい感じにしたかったので英字にした。あんまりよくなかったかも。カタカナにするとスプラトゥーンに寄っちゃうので避けたかったんだけど、可読性を重視した方がよかったかも。

フレーバーの無いゲームのコンセプトアート

これも失敗談コンセプトは統一すべきだったというお話。
今回のゲームはフレーバーがほぼない。運要素があるのでアブストラクトとは言えないが、それに近い。
駒が面白いゲームであるため、駒毎に別のストーリー性のある画像で広報してしまったが、あまりよくなかった様に思う。

いや、それぞれ可愛らしいんだけどね。
うちのゲームってわかんないよねって話

特によくなかったのは、サークルカットをインク瓶と羊皮紙のアンティーク調にしてしまったことだ。4種類の駒の内1つを宣材にしたのだが実際のゲームにそんな要素は無い。これはパッケージ詐欺のようなものと取られてもおかしくないと思う。

Drop Inkのサークルカット

また、広報としても同一の画像の方が効果が高いので、その点も失敗である。

なぜ人はパッケージ(化粧箱)にこだわるのか

そもそもボードゲームのコンポーネントではない
例えば以下のようにおもちゃは実物を宣材にしているパターンがほとんどである。素敵だ…

食品や日用品はそのパッケージで探すので、パッケージに力を入れるのはわかるしパッケージで宣伝している。

では、ゲムマのみの販売であり、かつ物理コンポーネントのある同人ボードゲームでなぜ箱に力を入れるのだろうか。(イエサブ等で委託販売のあるものは、パッケージで探すのでこだわる必要があります。)

簡単にいうと、定型立体感だと思われる。パース図でのパッケージの写し方は一般的に浸透しており、安心感がある。ガンプラが全部カトキ立ちしているのと一緒である。定型とはかっこいいのである。

いわゆるこういう風にパッケージを立てる宣材

また、カードのみのゲームであっても箱を写せば立体的な表現ができる
このあたりの理由から箱を化粧箱で作る必要があるのかなと感じる。

では拙作「Drop Ink」はどうだろうか。本作は化粧箱ではない。理由は3つある。

Drop Inkのパッケージ

まず、本作は委託販売も通販もしない
次に費用面。化粧箱は純粋に高い。製作部数が200個だとポプルスで1つ当たり300円程度である。今回のゲームは数を売りたかったので、価格を千円台にどうしても収めたかった。削るべき箇所を削らないと原価を抑えることができなかった
もう一つは、立体的な表現に箱を使う必要が無かったからだ。まぁ、これは弊サークルの特権的な部分なんでマネしにくいと思うが、ミニチュアがついているんでそれで事足りるのである。当日のディスプレイもミニチュアを展示しており、箱はテーブル上に置きすらしていない

ゲムマ当日のディスプレイ

最初に書いたが、箱はコンポーネントではない。他サークルもそうだが、箱を見て買っている人はほぼいないのでこれで正解な気がしている。

価格設定について

プレイ時間ルールの複雑さ値段は比例するべきだと私は考える。
ルールが複雑な割にプレイがシンプルだったり、プレイ時間の割にルールが少なかったりするのは体験としていかがかなと思う。
前者はインスト時間の割に選択肢が少なく、後者は単調で間延びしたプレイ感を感じる。
ここまでは納得だと思うが、金額も比例すべきだと私は思う。
高価な軽ゲーは単純にコスパが悪い。まぁこれは順当。
では、安価な重ゲーはどうだろうか?
世の中にはウェブレン効果というものがある。

ウェブレン効果とは実際の機能よりも「価格が高い」というだけで、あたかもその消費の「価値が高い」と思い込む心理作用のことです。

https://apj.aidem.co.jp/column/497/
上記より引用

これを当てはめれば、それなりの価格設定にしないと「価値が高い」と認識されにくいと考えられる。

Drop Inkに落とし込む
プレイ時間15分で1800円。シンプルプレイ直接攻撃有。
プレイ時間ルールウエイト考えれば妥当だが、ミニチュアを同梱していることを考えると割安
一般的に同人ボドゲで立体のコンポーネントが付属している作品は、8,000円とか30,000円とかである。上記のウェンブレン効果を考えれば私の作品ももう少し高めでもよかったかな?ダンピングにならないくらいのお得感を狙っての値付けなのですが、これがスタンダードだとは思ってほしくないのも正直なところ。
ミニチュアの項でも話したが、リアル系のミニチュア付きのゲームはブルーオーシャンでサンプルが少ない。後発のためにも適正価格で頒布したいところ。
ちなみに、よく議論に上がる原価率ですが、今回は40%程度。3Dモデルの作成も印刷もデザインもDTPもひとりでやればこんなもんです。もう一度言いますが、「ひとりでやれば」です。原価に作者の労力は加算しないらしいので。こういうものの適正価格って難しいですね。

ディスプレイについて思うこと

今回のディスプレイはこんな感じ。

徹夜朗読会のゲムマディスプレイ

いつも通り黒基調で華やかさのかけらもない。私はシンプルなものに機能美を見出すタイプなので過度な装飾はしないせいもあるかも…。
今回は展示スペース販売スペースをフリーパネルで仕切ることで、キモオタ出展者の視線を気にすることなくお客さんは展示を見ることができるようにしてみた。通路角だったからという理由もあるのだが、側面展示がどこまでか線引きが難しいので言及しないことにする。簡単にだけいうと、パーテーションを店員側にすることで1区画を独立させテーブルの2辺のどちらから見ても展示に見えるディスプレイをしている。ルール違反だと思う人いたコメントしてほしい。
ちなみに角でないなら、サークル同士の仕切りを作った方がいいと私は思っています。雑多な感じがなくなるし、情報が混ざらないので。

さて、展示についてはコンポーネントで一番しょぼい箱は一切見せない手法。こう書くと詐欺っぽく感じるね。

メインのディスプレイはこれだけ

他のサークルさんを見ていると箱を並べているところが大多数である。これは前述の「なぜ人はパッケージ(化粧箱)にこだわるのか」でも書いたが、立体感込みで箱が一番きれいだからである。カード並べているだけだと目立たないので仕方ない。弊サークルはこれが逆転しているだけ。コンポーネント並べているだけで目立つのである。

もう一つ手法をご紹介。フリーパネルで単色の背景を作っている。これは写真を撮ったときに雑多な背景が写らず綺麗に見えるからである。誰かがSNSに上げたとき私の頒布物が綺麗に見える工夫である。

トリテから見る嗜好とトレンド

トレンドを把握することはニーズを把握するのにうってつけである。
現在のゲムマを象徴するジャンルにトリックテイキングがある。
なぜこれらゲームが大量に頒布され続けるのか考察したく思う。

①適当にプレイしてもゲームをしている気分になれるから。
②制作に適度な縛りが生まれ、ゲームを作りやすいから。また、拡張性の高いメカニクスであるから。

たぶんこの2点。
②は制作側の理由なので割愛します。
①は非常に重要である。人は型にはまった行動が実は大好きなので、プレイの仕方がわかりやすいゲームが好まれるのも頷ける。
また、行動に縛りがあり初心者が(これはいい意味で)適当にプレイしてもゲームに置いて行かれない構造がトリテでは確約されているのが大きいと思う。
また、そのゲームの面白い部分にいかに早くたどり着ける構造とするかは非常に重要である。トリテは1トリックが非常に短く、結果(≒盛り上がるポイント)に到達するのが圧倒的に早い。
分かりやすいプレイ感盛り上がりはゲムマという即売会の性質上どうしても重要なファクターとなっているため、トリテは非常に相性が良いのだと感じる。

では、今回頒布のDrop Inkに当てはめるとどうだろうか。

ルール載せとくけど、読み飛ばしてOKです。

はっきり言ってルールもプレイもわかりやすい。とりあえず同色を集めておけば点数が上がる構造のため初プレイでも迷いにくく、適当にプレイしてもゲームになる構造である。
このゲームの面白ポイントフィギュアを盤面に配置するところにある。フィギュアが配置できるタイルは全5ターン中3ターンは盤面に現れるくらいの配分にしており、まぁそれなりに全編をとおしてフィギュアを置くというアクションを体験できるようにした。
さて、どんなもんでしょう?皆様の感想お待ちしております。

不満に敏感な話

これは私が読んでいる業界紙から。 その中ではスターバックスが引き合いに出され、不満を徹底的に排除したサービス提供で成功しているとのこと。最近の考え方として、どんな些細なことでも不満があると、その選択を忌避するようになるらしい。詳しくは日経コンストラクションのバックナンバーを漁ってほしい。号数は忘れたけど。
では、同人ボードゲーム視点に落とし込むとどうなるか?つまり、「ルール」のみならず「アートワーク」「コンポーネント」「価格」等それぞれ及第点を取る必要があるということである。 「同人なんだからもっと尖っていいのに。」「アートワークなんて二の次でいいよ」という意見は多分にあるが、枕詞として「ある一定のクオリティがあれば」が付くことを忘れてはならない。

今回頒布したDropInkに当てはめてみる
コンポーネントは他作品の1歩上を行っている自信はある。
アートワークはイラストレーターさんに依頼しているわけではないので皆さんの作品より1段落ちるが、タイポグラフィで少なくとも素人感は消えていると思っているが・・・。
値段については、千円台であれば安いと感じるのではないだろうか。ゲームマーケットの価格はだいたい2千円台が多いように思いますし。値段の話は前述。
唯一不満点はパッケージである。完璧にできればいいんですけど、製作もワンオペなんでどうしても手を抜かないと間に合わないところは出ちゃうんですよね。次回は化粧箱作りたいなとか思ったり。

ブランドイメージの話

不満とはなにもゲームそのものだけではない。その作者サークルのブランドイメージも大切である。一消費者として不祥事を起こした企業の製品の購入を避けることは、一般的な消費者心理であるためだ。
日本人は正義感が強く、小狡いことが大嫌いである。
私の様にゲムマの反省記事で全方位を皮肉ったり、Xのアカウント名を有名レーベルの名前に変えて売名したりすることは少なくとも避けた方がいい
ゲームがいかに良くても、ブランドに対する不満があると忌避してしまうからだ。

カード効果は字面以上の使い方が許容されるのか

結論:許容されない
TCGでいう、いわゆるテクニカルな使い方はボードゲームプレイヤーには許容されない。
完璧主義者(笑)が多いのでルールで書かれた字面以上のことが起こることは許されない。
テストプレイ会で「そんな使い方があると説明されないと分からない。ゲーム終了時に何のカタルシスもない。」と意見されたことがある。「何言ってんだこいつ、気づかないやつが悪いだろ」と私は思ったが、卓の全員が同意していたのでどうやらズレていたのは私だったようだ。
前作Time Stormは完全に字面以上の使い方を強要するゲームだった。試遊は比較的好評だったけど遊んだ感想が振るわなかったのはこういった理由からな気がする。要は作者の意図したプレイをしてもらえていないのだ。(いや、単純につまらないゲームだっただけかも…。)

ゲームマーケットにおけるマイルストーンの話

Xでサークルカット提出は宣伝になるというポストから。
意外と知らない人が多い感じがしたので、ちょっとまとめてみようと思う。出展者にとっては周知の事実なので読み飛ばしていただきたい。
ゲムマにおける全員が同じタイミングで通過するマイルストーンは全部で4箇所である。当日からさかのぼるように追っていく。
1.ゲムマ当日
言わずもがな。特にすることは無い。前日は早めに寝よう。出発前に朝日とかホテルの朝食とかの写真を「#ゲムマ2024秋」等のハッシュタグ付けて投稿するといいねもらえるよ。Let'sインプレ稼ぎ。

2.カタログ発売日
時期はゲムマ当日の1か月前の金曜日。出展者にはカタログが一冊届くので、本誌を写真でとってポストする人が多い。
余談だが、出展者には公式の発売日前にカタログが届く。発売前に本誌の写真をポストしている人がいるが、これってどうなんでしょうね?私はやりませんけど。
閑話休題。カタログは1ページに10近くのサークルカットが載るため読み飛ばされがちだが、SNSで見かけたサークルカットがあると目に留まりやすい。単純接触効果は大切。
カタログで予約する人も多いため、カタログの発売までにはゲムマ公式サイトへのゲームの登録と予約フォームの開設をした方がよい。手軽さは大切。後からもう一度検索して予約するほど人類は暇じゃない。

3.サークルカット提出〆切
時期はゲムマ当日の2か月半くらい前。サークルカットをそのままポストする人が多い。
他のサークルも宣伝するので、「#ゲームマーケット2024秋」で検索する人も多く、それなりにインプレッションが稼げる。
どちらにせよ、ここまでに宣材を作る必要があるのでそのままポストすればよくコスパがよい。
ここでポイントなのは、この時期までにつくるのはサークルカットである点である。ゲームルールもアートワークも完成している必要は無い
タイトルと諸元とイメージアートがあればよいので工数はそちらに割けば良い。値段等の決まり切っていない部分は書かない方がいい。後で訂正すると印象悪いし面倒。

4.ゲムマ当落
追加募集があるので一概に言えないが、一次募集の当落は大体募集終了の1週間後。
一応、当選しましたポストがそれなりに出回る。ただし時期は半年も前なのでそこまで気にする必要もない。早いところはここらで新作の発表があったりする。ジッサイスゴイ。けど、はっきり言ってこの頃の新作なんて忘れる。

特にサークルカットの提出カタログの発売は一気にPRが増える時期であり、それなりにインプレッションが稼げるので乗り遅れないようにするとよい。

SNSでのネガティブな発信について

なぜ人はネガティブな話題インプレ稼ぎしようとするのか。
私もテストプレイ会で指摘されたこととか書いてしまうが、極論ネガティブなことを自分から発信する必要はないと思う。日本人は特に苦労話が好きなので結構伸びるし、同情が集まりやすい。ただ、テストプレイ会で批判されたなら、そのゲームには欠陥があることを発信しているし、赤字を出したのであれば管理能力が低く見込みが甘い人間であると自己紹介しているともとられかねない。
失敗談は私も好きなので書くし読むが、ゲムマの後等のすべてが終わった後ならよいが、外に出す時期については一考すべきだと思う。
ネガティブといえば「クソゲー・バカゲー」という単語についても考えたいと思う。

クソゲーという免罪符

クソゲーは本来つまらないゲームを指すが、現在ではもう少しシンボリックになっており理不尽さ運要素の一つの指標として使われることが多々ある。
ゲムマでもこの売り文句を冠したゲームは昔からある。
ただクソゲーというのは消費者の立場からの評価であり、製作者自らがこれを使うのは言い訳にしか聞こえない
「ゲームの調整ができず、面白くないけど、まぁゲムマに申し込んじゃったしクソゲーとしてだしとくかぁ。クソゲーって付けとけば批判もされないしね☆」ってことでしょ?
一消費者だったときの(クソゲーバカゲーでキャッキャしていたときの)延長でこのコピーを使うのだと思うが、ゲームの調整能力の無い人と思われると思った方がいい。あと単純に予防線張るのはクソダセェっすよ。(この記事の中で予防線張りまくってる私が何言ってんだって感じですね!)

自己顕示欲を創作の目的にしてはいけないのか

Xの話題、ボードゲーム制作は人を楽しませるためにやるべきであるという意見から。

まぁ、お美しいお考え方だこと。マズローの欲求5段階を超越していらっしゃるようで、お悟りでもお開いているのかしら。

マズローの欲求5段階説とは、人間の欲求を「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5つの階層に分かれているという理論

https://freeconsultant.jp/column/c368/
上記より引用

この話題、嘘ついてでも同調する意見を言わずに沈黙することが正解なんですけど、(書かない方がいいことを承知の上で)一応私の考え方を書いておく。
始めにも書いたが、私は承認欲求とか自己顕示欲を満たすためにボードゲーム作成をしている。その結果として誰かが楽しんでくれればいいなとは思っているが、決して他人ファーストではない。これは本当になのか?
不公平感とか不誠実とかだということは私も嫌いである。だが、人を楽しませるの先に「私のゲームで」という承認欲求を満たすためにやることは不快感を与えるのか?本当にみんな承認欲求が無いのか?
日本人に多い「嫌儲」という考え方は個人的には良くないと思っている。
嫌儲の先には、妬みや嫉妬が必ずあるからである。

テストプレイでの盛り上がりはあてになるのか

結論:ならない
テストプレイで盛り上がれば、作者としてはうれしいものである。逆に問題点をたくさん指摘されれば、落ち込んだりもする。
では、テストプレイで盛り上がったゲームは面白いのか?自信を持ってよいのか?
答えはだ。
一度、オープンのテストプレイ会で同卓の内、私のゲームだけ批判が多かったことがあった。問題点がなかったわけではないが、他ゲームとそれほど差があるようには見受けられなかった。
ではなぜ私のゲームだけ批判が多かったのか。簡単な理由だ、本卓で盛り上げ係をやっていたのがしかいなかったからだ。
私が自分のゲームで無理に盛り上げることをしなかった結果、他に比べ淡々とゲームが進んでしまい批判につながった。盛り上がりに欠けるとさえ言われた。
テストプレイ会で盛り上がった場合、ゲームの面白さの他に同卓に盛り上げてくれた方が居たかどうかに左右されることを忘れてはならない。

ゲムマ振り返りを読みたい

私はゲムマの振り返りを読むのが好きだ。誰かの失敗を失敗せずに体験できるからだ。しかも、出展者というある程度の前提が同じ人間の思考の追体験は貴重である。
書く人が増えるといいなと思い、自分でも前回ゲムマから今回ゲムマまでに意識したことや、時事ネタゲームを作るにあたって参考にしたことを「ゲムマ振り返り」として毎回書き散らしている。
出展者全員noteで振り返りを書いてほしい、全部読むから。
誰かゲムマ振り返り記事のまとめとか作ってくれないっすかね?自薦のまとめなんかよりずっと意味があると思うんですけど。

アンケートについて

今回、ブースに遊びに来ていただいた方を対象にアンケートを実施した。多くの方のご協力ありがとうございました。
サンプル数はN=113であり、ゲムマ来場者26,000人を母集団とすれば許容誤差10%、信頼度95%程度である。ちょっとサンプル数が少ないが、大まかな市場概要をつかむには必要十分かと思う。
残念ながらこのアンケートには「弊サークルに来た」という属性がついてしまっている。複数のサークルで協力して実施すればよかったのだが、私はコミュ障だから無理。

アンケート内容

このアンケートは一般参加者向けというよりも、出展者の参考になればよいと行ったものである。 各アンケート結果はパーセントの円グラフで共有するとかセコいことをせずに、属性紐づけの生データで共有する予定。

新規でゲムマに出展しようかなと考えている方は、ゲムマ反省note等を参考にすると思う。ただ、こういった記事は少なからず筆者の主義主張が含まれてしまうものである。(今読んでいるこのnoteは、少なからずではなく多分に含まれる。)
例えば、「ゲムマ公式サイトは広報として効果が薄いと思った」とどこかの反省にあったが、それはそのサークルの主観であり全く根拠がない。にもかかわらず出展経験のない人は「なるほどな~」と思ってしまったりする。感覚が掴めないからだ。
新規でゲムマに出展しようかなと考えている方にとって、アンケート結果という比較的バイアスのかかっていないニュートラルな情報は貴重だと思う。今後の同人ボードゲームシーンのために各々ご活用いただきたい。
11/24あたりには考察をまとめたうえでX(@tetsuyaroudoku)の方で共有いたします。当分は固定にしておく予定ですが、Xかnoteをフォローするとよいと思いますよ(ダイレクトマーケティング)。

最後に、弊サークルへ遊びに来ていただいた皆様、本当にありがとうございました。
2025春ゲムマへの参加は未定ですが、今後ともよろしくお願いいたします。


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