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【考察】"ドクター"と"オラクル"、プリースティスの陰謀について【バベル】

当然ながらイベント「バベル」の致命的なネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。





"ドクター"と"オラクル"


※ここでは、便宜上
 先史文明時代のドクター=オラクル
 バベル時代のドクター=ドクター
 という呼称を使用します。

今回、ドクターが先史文明にて"オラクル"と呼ばれていたことが判明した。

だが、この"オラクル"はバベル時代のドクターとは厳密には違うのではないか、というのが私の見方である。

テレジアがドクターの記憶を全て消してしまうその直前、彼女は記憶の奥底で"オラクル"と出会った。まるで初対面のような反応をしていることから、彼女はこの"オラクル"をドクターとは分けて考えていることが伺えて取れ、またケルシーも同様の考えだったことが示唆されている。

「つまり、ケルシーが信じていたのは、あなただったのね。」
「……少し遅いかもしれないけど、あなたに会えてうれしいわ。」

BB-ST-3 魂の行く果て

どういうこと?と思われるかもしれないが、順を追って説明しよう。

ドクターが最初に目覚めたあとのケルシーは、「ドクターを信用していない訳ではない」としつつも、ドクターに対して異様なほど警戒の態度を見せていた。

「こんなにドクターを警戒する必要はないんじゃないの?」
「ドクター自身が脅威となるわけではない。」

BB-4 長き旅路

本来であれば、ケルシーにとってドクターは自由と最初の問いを与えてくれた、言ってしまえば先生のような存在であり、彼女自身が口にするように「信頼に値する相手」のはずである。

ではなぜケルシーはあそこまでドクターを警戒していたのか。その答えのヒントはオラクル自身の口から語られることとなった。

「自分は約束に背き、時間の中で待つ彼女を裏切った。」
「彼女はかつてすべてを教え、そのすべてを熱心に模索した。だが彼女はもう変わってしまったのだ。好き勝手行動する自分に、彼女はあまり多くの時間を与えてはくれないだろう。」

BB-8 結末へのカウントダウン

「ケルシーには大変申し訳ないことをしたと思っている。だが、避けられない陰謀に深く囚われ、打つ手がなかったのも事実だ。」

BB-ST-3 魂の行く果て

ここでは、プリースティスに対する裏切りと、彼女の陰謀についてが仄めかされている。そしてどうやらあの結末、つまりテレジアの死はオラクルの本意ではなかったようだ。

ではなぜドクターはあの選択を行ったのか。そしてプリースティスの陰謀とは何だったのか。ここからは少し推測の要素が強くなるが、それを踏まえてご覧いただきたい。

「この絶望の中でドクターに寄り添っている人は……誰?」
「そうだ、ケルシーが前に言っていたわ。もう一人――」

BB-6 明滅する灯火

過労で倒れたドクターの記憶を覗き見たテレジアは、その中にドクターとは別の、もう一人の誰かの姿を目にした。

明言こそされていないが、これはほぼ確実にプリースティスのことだろう。

加えて、テレジアはドクターの記憶を消去した際にプリースティスが残した「何か」を見つけていた。

「それにしても、末恐ろしいやり口ね……」
「だけど彼女らはあなたの善良さや勝利への渇望を甘く見ていた。私たちを、そして今日に至るまで耐え抜いたテラの起源を見くびり過ぎていた。」

BB-10 さようなら、さようなら

そして、ケルシーは「かつてオラクルは"ケルシーに語ったある一つの選択肢"を選び、もう一方の"空虚で冷たい考え"を選ばなかった」と語っていた。

「前にも言ったと思うが……源石は、かつてこの大地のはるか遠くの未来を決定した。選択肢は二つあった。」
「だがドクターはかつてそのうちの一つを選択したんだ。ドクターが……自ら私に語ってくれた未来を。」
「しかしその選択と対になるもう一つの空虚で冷たい考えも――これまで過ごした万年の歳月の間、いつも夜中に冷気と化し、私の脊髄に入り込んできた。」

BB-6 明滅する灯火

生命を愛し、希望を、未来を追い求めたオラクルが選ばなかった選択肢。それは源石でもって生命を、文明を、宇宙を飲み込むというシナリオであろうことは予想に難くない。

「それは、愛ゆえに。生命を愛し、存在を愛するがゆえにだ。愛は永遠の純真さをもって、雑念を振り払ってくれる。」

BB-8 結末へのカウントダウン

しかし、ドクターとして目覚めた彼は、一度は捨て去ったはずの選択肢を選んでしまった——いや、選ばざるを得なかったのだ。

「「「「「プリースティスがドクターに施した"仕掛け"によって」」」」」

オラクルは「ドクター」として、万年の時を越えて今の今に至るまで生き延び続けている。にもかかわらずなぜオラクルがケルシーとの別れのシーンで「この身に残された時間はもう多くない」と語っていたのか。それは、純粋な"オラクル"という人格としての終わりを悟っていたからだと考えられる。

もちろん、ドクターは記憶や人格を初めとして"オラクル"の側面を多分に有する存在である。しかし、プリースティスの「仕掛け」を埋め込まれたドクターは、もはや"オラクル"とは似て異なる存在に変質してしまっていたのだろう

そして、その「仕掛け」によって決定を歪められてしまったドクターはテレジアの死という本来オラクルが望んでいない結果を選択してしまった

記憶の果てには一つの後ろ姿があった。テレジアはその後ろ姿をよく知っているようでもあり、まったく知らないようでもある。
それはドクターであり、ドクターではないものだ。

BB-10 さようなら、さようなら

これこそが、ケルシーとテレジアが"オラクル"とドクターを別人として捉えていた理由なのではないだろうか。彼女らはドクターの中の善性、"オラクル"をこそ信じたのだろう。

そして、最後の最後にテレジアはドクターを漂白し、魂を浄化した。これにより"オラクル"として残されていた部分は消滅したが、同時にプリースティスの「仕掛け」も消滅を迎えることとなった。

「そしてあなたへの……最後の贈り物でもあるわ。」

テレジアからドクターへの最後の贈り物、それはプリースティスの残した呪縛からの解放、つまり「自由」だったのだ。









考察というにはあまりにも事実が多く、「書いてあること並べただけじゃん」と言われると返す言葉もないのだが、一応違う可能性もあるので「考察」とさせてもらった。

ここまでご覧いただいたドクターの皆様におかれては、もう一度BB-ST-3を読むことをおすすめする。もしかすると、また少し違った見え方が発見できるかもしれない。

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