【考察】"ドクター"と"オラクル"、プリースティスの陰謀について【バベル】
当然ながらイベント「バベル」の致命的なネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
"ドクター"と"オラクル"
※ここでは、便宜上
先史文明時代のドクター=オラクル
バベル時代のドクター=ドクター
という呼称を使用します。
今回、ドクターが先史文明にて"オラクル"と呼ばれていたことが判明した。
だが、この"オラクル"はバベル時代のドクターとは厳密には違うのではないか、というのが私の見方である。
テレジアがドクターの記憶を全て消してしまうその直前、彼女は記憶の奥底で"オラクル"と出会った。まるで初対面のような反応をしていることから、彼女はこの"オラクル"をドクターとは分けて考えていることが伺えて取れ、またケルシーも同様の考えだったことが示唆されている。
どういうこと?と思われるかもしれないが、順を追って説明しよう。
ドクターが最初に目覚めたあとのケルシーは、「ドクターを信用していない訳ではない」としつつも、ドクターに対して異様なほど警戒の態度を見せていた。
本来であれば、ケルシーにとってドクターは自由と最初の問いを与えてくれた、言ってしまえば先生のような存在であり、彼女自身が口にするように「信頼に値する相手」のはずである。
ではなぜケルシーはあそこまでドクターを警戒していたのか。その答えのヒントはオラクル自身の口から語られることとなった。
ここでは、プリースティスに対する裏切りと、彼女の陰謀についてが仄めかされている。そしてどうやらあの結末、つまりテレジアの死はオラクルの本意ではなかったようだ。
ではなぜドクターはあの選択を行ったのか。そしてプリースティスの陰謀とは何だったのか。ここからは少し推測の要素が強くなるが、それを踏まえてご覧いただきたい。
過労で倒れたドクターの記憶を覗き見たテレジアは、その中にドクターとは別の、もう一人の誰かの姿を目にした。
明言こそされていないが、これはほぼ確実にプリースティスのことだろう。
加えて、テレジアはドクターの記憶を消去した際にプリースティスが残した「何か」を見つけていた。
そして、ケルシーは「かつてオラクルは"ケルシーに語ったある一つの選択肢"を選び、もう一方の"空虚で冷たい考え"を選ばなかった」と語っていた。
生命を愛し、希望を、未来を追い求めたオラクルが選ばなかった選択肢。それは源石でもって生命を、文明を、宇宙を飲み込むというシナリオであろうことは予想に難くない。
しかし、ドクターとして目覚めた彼は、一度は捨て去ったはずの選択肢を選んでしまった——いや、選ばざるを得なかったのだ。
「「「「「プリースティスがドクターに施した"仕掛け"によって」」」」」
オラクルは「ドクター」として、万年の時を越えて今の今に至るまで生き延び続けている。にもかかわらずなぜオラクルがケルシーとの別れのシーンで「この身に残された時間はもう多くない」と語っていたのか。それは、純粋な"オラクル"という人格としての終わりを悟っていたからだと考えられる。
もちろん、ドクターは記憶や人格を初めとして"オラクル"の側面を多分に有する存在である。しかし、プリースティスの「仕掛け」を埋め込まれたドクターは、もはや"オラクル"とは似て異なる存在に変質してしまっていたのだろう。
そして、その「仕掛け」によって決定を歪められてしまったドクターはテレジアの死という本来オラクルが望んでいない結果を選択してしまった。
これこそが、ケルシーとテレジアが"オラクル"とドクターを別人として捉えていた理由なのではないだろうか。彼女らはドクターの中の善性、"オラクル"をこそ信じたのだろう。
そして、最後の最後にテレジアはドクターを漂白し、魂を浄化した。これにより"オラクル"として残されていた部分は消滅したが、同時にプリースティスの「仕掛け」も消滅を迎えることとなった。
テレジアからドクターへの最後の贈り物、それはプリースティスの残した呪縛からの解放、つまり「自由」だったのだ。
考察というにはあまりにも事実が多く、「書いてあること並べただけじゃん」と言われると返す言葉もないのだが、一応違う可能性もあるので「考察」とさせてもらった。
ここまでご覧いただいたドクターの皆様におかれては、もう一度BB-ST-3を読むことをおすすめする。もしかすると、また少し違った見え方が発見できるかもしれない。