「まさか私が⁈」ー“イーオット”と同じになってしまったの?
老いは誰の身にも平等にやってくるというけれど・・・。「大げさな。何をそんなに」と言われそうだが、とうとう私もイーオットと同じレベルに並んだようだ。悲しくて、落ち込んで、自己嫌悪。
その日は定例の病院の日。相変わらず混んでいて予約診療にも関わらずすごく待たされた。検査やら栄養相談やら診察、最後に支払いでやっと終わったら、もうお昼時。駅近のパン屋でサンドイッチを買い帰途に着いた。
家に帰って初めて気がついた。ない!!! ファイルがない。病院を出る時は確かに手に持っていた。あの中には保険証、診察券、次回の予約表、薬の処方箋が入っていたのだ。「ああ、再発行してもらうために駆けずり回らなければならない」まずそのことが脳裏に浮かんだ。その煩わしさを思うとすごく凹んだし、自分に腹が立った。
夫は、バス会社やJRに連絡してみたらと慰めてくれて、すっかり今までと立場が逆転。病院からの記憶をたどって考えた。私が手からファイルを手放したのは・・・。あの時だ。そう、パン屋で支払いをした時だ!!!バスや電車ではない。
早速、電話を入れると店長が出て、確かにそのような忘れ物があったという(心の中で大歓喜) だが、もうお店にはなく、最寄りの交番に届けたとのこと。心はしぼみかけたが、光が見えた。
ではその交番。交番、交番!だが直通電話がない。本署にかけるとそこから交番につなぐことになっているらしい。ここからが面倒くさい。直接はつなげないという。落とし物なので遺失物の係を通すようにとのことで、電話を回された。
その係の人に初めから経緯を説明すると、交番からはまだそのような物は届いていないのでまだ交番にあるようだ、と。すると、いきなり電話が切り替わり、今度出たのがお目当ての交番だった。
そこでまた一から経緯を説明すると、氏名を言って内容物を言うようにと。すると、ちょっともったいぶってそのような物が届けられているという。ああ、ここまでたどり着くのに何分かかっただろうか。お役所というところは、本当に面倒臭い。でもいつもの反抗的態度はグッと押し込んでヘコヘコお礼を言いすぐ取りに行くと言って電話を切った。「あったあ。よかったあ」思わず大声で叫んだ。
交番に行くと、「すぐ来るというから待っていたのに来ないから、本署に回すとこだったよ」と開口一番、嫌味を言われた。確かに電話を切ってから二時間余り経っていた。でもあの時は、「どこへもやらずに、そこでキープしておいて欲しい。お願い🙏」との思いからとっさにすぐ行くと言ってしまったのだ。そう言わないと落とし物がどこかにやられてしまいそうな気がして。
受け取りの書類がまたすごい。身分証明書提示後、氏名、住所、電話番号の他に「無くした時間」「無くしたことに気がついた時間」「無くした場所」を書き込む。受取人の氏名と受け取った日付を書いて、やっとブツを出してくれた。交番を出る時、嫌味を言った人が「嫌なこと言って悪かったね」だって。今日は何を言われてもOKよ。
自信を無くした私への警告ーモノは、決して決して手に持たないこと!