プロダクト成長に向けた重要指標 | 定着ユーザーの定義
皆さんはご自身のプロダクトの定着ユーザーをどのように定義していますでしょうか?
プロダクトによって定着ユーザーの定義は異なります。ニュースのようなプロダクトですと毎日利用しているユーザーが定着ユーザーの定義になるかもしれません。デリバリのようなプロダクトですと、週に1回以上利用しているといったユーザーかもしれません。
定着ユーザーを適切に定義する事により、以下のような効果を得る事ができます。
(1) 定着ユーザー数の推移を計測する事により、プロダクト本来の成長具合を具体的に測定する事ができるようになります。プロダクトのアクティブユーザーが、定着ユーザーで支えられているのか、もしくは、新規ユーザーで支えられているのかでは、プロダクトの成長具合の意味合いが大きく異なります。
(2) 定着ユーザーが、どのような機能を頻繁に利用しているかの特徴量を把握する事により、ユーザーがどの機能を支持しているかを明確に把握する事ができます。これにより、今後のプロダクト成長に向けた開発方針が明確になります。
ここでは定着ユーザーの定義の重要性について確認した後、Amplitude がどのように定着ユーザーを定義しているかについてご案内します。
1 | 堅固に成長しているプロダクトとは?
以下のグラフををご覧ください。アクティブユーザーが右肩上がりで順調に成長しているプロダクトであるように見えます。
次のグラフは、先のアクティブユーザーを「新規ユーザー(緑)」と「定着ユーザー(黄)」で区分したグラフになります。
アクティブユーザーの内訳を確認すると、その多くが新規ユーザーで支えられている事が判ります。
このような状態のプロダクトの場合、新規ユーザーの流入が減ってしまいますと、アクティブユーザー数も減ってしまいます。早急に定着ユーザー数を増やすプロダクト対策を行う必要があります。
このようにアクティブユーザーの内訳を区分する事により、プロダクトの本来の状態を把握する事ができるようになります。
2 | ユーザーの行動変容
ユーザーはプロダクトを利用する過程において様々な状態に変化します。その状態変化をモデル化したのが次の図になります。
このようにユーザーを分類する事により、以下に示すような潜在的なプロダクトの状態が見えるようになってきます。
● 新規獲得したユーザーが「定着ユーザー」と「休眠ユーザー」の、どちらに遷移する比率が多いかを把握する事により、アクティベーションの効果を明確に把握する事ができます。
● 休眠ユーザーからの復帰施策内容を具体的に設計する事ができるようになります。「新規ユーザーから休眠したユーザー」と「定着ユーザーから休眠したユーザー」ではユーザーの状態変容は大きく異なります。定着した経験のあるユーザーはプロダクトの良さを一度体験しています。一方、新規ユーザーから休眠したユーザーは、まだプロダクトの良さを体験してません。ユーザーの行動変容を明確に理解する事により、訴求内容が大きく異なります。
● 定着ユーザーにおいては、継続的に定着ユーザ状態を維持してもらえるように、定着ユーザーがどの機能を頻繁に利用しているかのトレンドをいち早く把握し、プロダクトを極める事が重要です。
ユーザーの状態をきちんと理解し、その行動変容の推移状況を理解する事により、プロダクトが健全に成長しているかどうかの状態を厳密に把握する事ができるようになります。
3 | クリティカルイベント
定着ユーザーを定義する上で重要なのがクリティカルイベントの定義になります。以下がクリティカルイベントの定義になります。
ユーザーがプロダクトの価値を得る時のアクション
プロダクト毎にクリティカルイベントは異なります。次に示しているのは、プロダクト毎のクリティカルイベントの例になります。
● ニュース ➡︎ 記事の閲覧
● コマース ➡︎ 商品の購入
● メディア ➡︎ コンテンツの閲覧
● ゲーム ➡︎ ゲームの実行
クリティカルイベントを決定しましたら、次に各ユーザーのクリティカルイベントの実行間隔を計測します。
Amplitude では、各ユーザーのクリティカルイベントの実行間隔を計測し、8 割のユーザーが包含する間隔をプロダクト利用インターバルとしています。
プロダクト利用インターバルは
8割のユーザーが包含されるクリティカルイベントの間隔
ユーザーのプロダクトインターバルの実行パターンにより、ユーザーを状態を定義します。その概念を示したのが以下となります。
ここまでの手順をまとめたのが以下になります。
このように定着ユーザーの定義にクリティカルイベントの実行を含める事により、DAU/MAU といった指標では確認できなかったプロダクトの状態を把握できるようになります。
4 | 具体的な実践方法
ここでは誰でも無料で利用できる Amplitude が準備しているデモデータ、映像と音楽のストリーミングプロダクトで実際にどのように定義するかをご案内いたします。
この映像と音楽のストリーミングプロダクトのクリティカルイベントを以下とします。
映像と音楽の再生
Amplitude では、クリティカルイベントをパラメータとして設定する事により、チャートが自動的にのプロダクト利用インターバルを求めてくれます。
このプロダクトの利用インターバルを以下のように求める事ができました。
プロダクト利用インターバル = 3日
プロダクト利用インターバルが求まりましたので次にユーザー状態の推移を求めてみます。
新規ユーザー | 定着ユーザー | 休眠ユーザー | 復帰ユーザー
こちらも同様に、クリティカルイベントとプロダクト利用インターバルをパラメーターとして設定すると、Amplitude が自動的にユーザー状態を分類してくれます。
このチャートででは、ユーザーを以下のように区分しています。
● 新規ユーザー (緑)
● 定着ユーザー (黄緑)
● 休眠ユーザー (赤)
● 復帰ユーザー (青)
集計結果を確認すると、このプロダクトは以下である事がわかりました。
定着ユーザーと復帰ユーザーで支えられている堅固なプロダクト
新規ユーザーへの依存が少ないので、順調にユーザーベースを増加させているプロダクトである事が判ります。
5 | 測定指標設計
ここまで、ユーザーを 新規 | 定着 | 休眠 | 復帰 に分類する方法をご案内してきました。ここでは、測定指標設計についてご案内します。
それぞれ、新規 | 定着 | 休眠 | 復帰 毎に測定指標を設定する事もできますが、この場合指標が4種類と複数になり、かつ、全体的に定着化が進んでいるかどうかを一目で確認する事ができません。
Amplitude では、どの程度堅固なユーザーがプロダクトを支えているのかを評価する上で、次の指標設定をご案内しています。
この公式で 1 を超えますと、定着ユーザーの比率が増えている事になります。1 未満になりますと、定着ユーザーの比率が減っている事になります。
Amplitude での集計方法は以下になります。先程求めたチャートの表示形式をメニューより変更する事により、先の公式の計算結果が集計されます。
集計した結果以下のようになりました。
数値を確認すると、1 を前後してます。より堅固なプロダクト成長を求める上で、定着ユーザー化に向けたプロダクト改善の検討が必要である事がわかります。
6 | まとめ
ここでは、定着ユーザーの定義方法についてご案内しました。定着ユーザーが定義されると、今まで確認できなかったプロダクトの課題が見えるようになってきます。
潜在的な課題を見える化する事により、プロダクトやビジネス成長への次の一手が具体的に把握できるようになります。
是非、皆さんのプロダクトでも実践してみてください。
なお、Amplitude は月間 1,000万イベントまで無料でご利用いただけます。ご自身のプロダクトへの導入をご検討される場合は、以下をご参考頂けますと幸いです。
7 | Amplitude について
Amplitude はプロダクトを解析するプロダクトアナリティクスのユニコーン企業です。 GAFAM の3 社を含む 40,000社以上のサービスで導入実績があります。
「データは過去を語るためだけでななく未来を描くためにある」
上記をモットーにプロダクト改善のご支援を行なっています。本編でご質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。なお、プロダクト改善に向けた Webinar 等も実施していますので、是非ご参加ご検討頂けますと幸いです。
お問い合わせ : tokyo@amplitude.com
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