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外資系企業で働くってどうなの?
私は27歳で外資企業へ転職、以降は外資企業を渡り歩いている。そんな私が日系企業と外資系企業との違いをなんとなーんとなく書いてみた。米国ベースのIT企業でしか働いたことがないので参考程度に。
最初に転職したきっかけ
IT分野のテクノロジーは米国発が多い。仕様策定、文章による公開、そしてその新しい技術の製品やサービスへの実装も米国の会社がリードしている。
私は27歳まで日系企業に勤め自社製品やサービスの技術支援を主な業務としていた。客への技術説明、プレゼン、セミナー講師、デモの実施などなど。競合は米国の会社の製品やサービスが多かった。
当時の私は根拠のない万能感に溢れていた。案件をロストするのは私の能力不足では無く、あくまでも製品やサービスによるものと考え、それであればと競合の米国企業の日本法人へ転職した。
外資企業へ転職して
最初はちょっと話を聞こうかと思った程度だったがとんとん拍子に話が決まった。日本語だけの技術的な質疑応答が3回、最後は管理職との面談であっけないほど簡単に採用が貰えた。英語力がそれほど必要とされない業務は日本語だけの面談で完結する場合がある。
それからもう何年も経った。その後、私は外資系企業を渡り歩いた。そんな経験から気づいたことをずらすらと書いてみた。
皆、思ったより英語で苦労している
外資系企業で働く者は皆英語が得意かというとそうでも無い。読み書きはできるが、流暢に英語を喋れる人は少なく、多くの人は努力しながらなんとか対応している。英語に強いほうが有利なことは間違いないが、流暢に話せなくともなんとかなる。ただし、オンライン英会話など学習を継続している同僚が多い。
能力主義というが
もちろん能力が高い人間は評価されるが、外資系の日本法人では上司の評価の影響が大きいため、上司・同僚との関係もやっぱり大事。むしろ能力というより、上司との人間関係だけで存在している人もいる。
無能な人も紛れている
皆が皆モチベーションが高い訳では無い。常に気配を消して何をしているかわからない人、(謙虚さなのかもしれないが) 英語が不得意と自慢する人もいる。ある程度の人数がいれば仕方のないことかもしれないが、やはり面談やリファレンスチェックだけではわかないことが多い。
思ったより社員はクビにならない
会社によってはパフォーマンスが悪いと判断された一定の割合の人員は特別プログラムを受けさせ、それでも改善が無ければクビにする仕組みがある。ただし日本で適用されることは稀だ。日本の法の下では解雇にはいくつかの要件があり簡単に社員をクビにできず、これは外資系企業の日本法人でも同じ。知人で解雇されたが勝訴し一年分の年収を取り戻した強者もいる。
給与ベースは日系企業と比べ高い
当時27歳で650万円の年収から転職時には680万円でスタート。転職一年後には780万円、そして二年後には1,000万円に到達した。転職初年度の給与は個人の能力というより前職の給与ベース、その後は社内評価に従い平滑化されるだろう。
また持ち株会やRSU (Restricted Stock Unit)、いわゆるストックオプションといった自社株によって想定外の収入がある。そして円ドルレートを考えた取引によって更に恩恵を受けることもある。ただし確定申告ではごっそり持っていかれるので注意が必要だ。株の権利確定の際には給与所得として、株売却では譲渡所得として二度も課税される。
ハラスメントは少ない
年齢・入社年数、男女の違い、人種の違いによるハラスメントは少ない、というより私自身は見たことがない。しかし、存在したという知人もいるので、本人の人となりや組織に依存するかもしれない。
自由度は高い
例えば金曜日は早めに仕事を切り上げる。業務時間中でも歯医者の予約を躊躇せず取る、などは容易い。朝寝坊して一時間遅れても、社外会議の予定でもない限り笑って許してくれる。時間で働いているというより、各自の業務を遂行してくれるなら自由にして、というスタンスだ。
人事部の権限は少ない
基本的な昇進や昇給は所属部署が判断し、人事部、HR (Human Resource) と呼ばれる部署が介入することはない。日系企業では人事考査など人事部の影響があったが外資系企業ではほとんど無い。
個人で判断する機会が多い
日系企業で働いている時は何でも承認が必要で、無駄なワークフローも多く、業務のための業務に労力を費やした。一方、外資系企業は基本ほったらかし。個人で判断し自らの責任で業務を遂行することになる。
海外出張の機会は少ない
オンライン会議が一般化された昨今、海外出張の機会は少ない。In person でしか出来ない用事が少ないからだ。もし海外出張を希望するなら営業になったほうが良いだろう。日本の顧客を自社の本社へアテンドする文化は今でも残っていて、これらは営業が担う。
日系企業で良かったこと
やはり新卒で入社するなら日系企業の方が面倒見が良いと思う。新卒は何もできない人ばかりだからだ。日系企業で力をつけた後に外資系企業への転職が一番効率が良いだろう。新卒から力を持っている人は最初から外資系企業を勧める。でも、そう考えると日系企業で働くメリットって何だろう。
さいごに
先日転職を考えている友人と話して伝えたこと、話せなかったことを纏めておこうと考えた。詳しく書けないこともあるのでざっくりと。もちろん業種や職種によっても違うと思うのであくまでも参考まで。