たった4回のシンバルの音を見てくれてる人がいる
私は小学校の時にブラスバンド部に入っていて、打楽器担当だった。打楽器と言うのは目立たないからあまりやりたがらない人が多い
や目立たないだろうか?
小学生の脳内と言うのは管楽器をかっこよく、サックスやらトランペットをやってる人の方がトロンボーンを吹いている人の方がかっこいいと思っていたんだろう。
打楽器はなんだかダサイ。
そんなイメージがついていたらしく、
私は打楽器をさせられることになってしまった。
私と言う人間がダサイ人間だと
周りの友達に思われていたらしい。
私自身は確かに流行に疎いし、音楽が好きだからと言う理由で入ってはみたものの
高い管楽器を買うお金はなかった。
家は貧乏だったということで、
打楽器はぴったりだったのかもしれないが
私はシンバルだったので、その曲の終わりに最後4回だけシンバルを叩くと言う、たった4回である、そんな役目だった。
終わりまでただ黙って突っ立っておかないといけないのである。
しかし、大会に出場した時、シンバルの音がもう少し力強くてよかった!
と審査員の方に言われた時はびっくりした。
たった4回のシンバルの音をその審査員の人はじっと聞いていたのかと思うとびっくりした。
私のこんな4回のシンバルの音なんて誰に対しても影響がなく、
本当に刺身の飾りみたいなもんだろうと思っていたが。
刺身の飾りは意外に重要である。
殺菌効果があったりするわけで。
まぁ大人になってからそういうことに気づくわけである。
たった4回のシンバル!!
私なんてこの舞台の中で何の役に立つんだろうか?
しかし、いろんなミュージカルを見てきて思うのは、どんな脇役にもすごく意味があると言うことだった。
小説だってそうだ。
伏線回収されなくてもあの人って一体何だったんだろう。
その物語のエッセンスとしてすごく大事なので、脇役もシンバルも。
チーズケーキだってレモン汁を4滴だけ入れてくださいとレシピに書いてあって、
この4滴って必要なんだろうか?
と思って、
試しに4滴入れずにチーズケーキを作ってみたら
全然美味しくないわけである。
全然美味しくないと言うな言い過ぎだった。
しかしいつもの美味しいチーズケーキを作るためには、
その4滴のレモン汁が必要なのである。
私の人生もそうでありたい。
主役にはなれなくても、4滴のレモン汁ぐらいは
私に垂らせるだろうからな。
この地球と言う大きな大きな生命体の中で、
私は4回シンバルを鳴らしたい。
既に子供を私は4回妊娠した。
この地球に少しは役に立ってるだろう。
妊娠した子供全員生まれてくるわけじゃないらしい。