昔の母
母はいい親をしてくれていた
ずっと
わたしの母だから、
大変だったと思う
いつか、夕飯を片付けた食器を拭いてる時に、
「私、宝くじ当たったら、
家建てて、ひとりで住むんだ。
あんたになんか、一円もやらない」
突然の話だった。
そんなに、わたしといることに、
追い詰められ、イヤだったんだと思う。
もちろん、宝くじはかすりもせず、
同居は続いた。
イヤだったんだろうな…
わたしもイヤだったよ。
ひとりになりたかった。
親子だから、一緒に暮らすの普通って
やめたほうがいい。
金銭的なこともあるけど…
あうあわないあるから。
片付けの最後には
「生まなきゃよかったね」と言っていた。
わたしも「生まれたくなかったよ」と言って、別々の部屋に入って行った。
こんなに嫌い同士の親子もいた。
一緒にいたのが不思議だった。
あきらかに、彼女はわたしのそばからいなくなりたいと、願っていた。
わたしは、死ぬしかないと心に決めた日だった