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Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band / Beatles

The Beatles / Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band 

性懲りもなく、このアルバムはそんなに好きでないのに、また買ってしまった。中学生の頃は、このアルバムを毎日なんとなく聴きながら思春期女子特有の憂鬱な気分に浸っていたのですが、いつの間にかほとんど聴かなくなりました。特にポールの「でしゃばり(関西で言うところの”イキッてる”)」感が鼻について気に入らない感じがしだしたので。ジェフエメリックもポール寄りであったのも好かん感じですし。

 世間的には最高傑作的な評価なんですが、なんなんですかね?バンド的な側面よりも、ポールのソロアルバムみたいな気がします。コンセプトアルバムらしいのですが、どこら辺が?元々ジョンの”ストロベリー・フィールズ”とポールの”ペニー・レイン”を軸に据えてレコ―ディング開始されて、この強力な2曲を中心にした「コンセプト」だったようですが、ご存じのようにこの2曲がEMIの意向でシングル発売されてしまったのが、運の尽き。以降は腰砕けみたいになったようですね。
 あと、ツアーから解放されて時間的・精神的に余裕ができたのはいいのですが、締め切りに追われないルーズさが、ダラダラレコーディングになったのでは?と思います。初期の頃から、追い込まれれば追い込まれるほど、名曲を生産できた彼らですから。
 付け足すなら、リボルバーの頃から特にジョージがグループの方向性に違和感を抱いていて、「もっと自分の曲で主張したい」状態だったようです。だったらジョージがせめてもう少し頑張って、「オンリーアノーザンソング」を完成させて、ペパーアルバムに収録されるように努力してたら・・・。ある程度ポール臭も薄まっていたかも、です。

PMC-7027 Mono
Ⅰ.XEX637-1/XEX638-1 ①3-PO ②3-O ”ワイドスパイン”ジャケ
Ⅱ.XEX637-1/XEX638-1 ①2-RTP ②4-RAM ”ワイドスパイン”ジャケ
Ⅲ.XEX637-1/XEX638-1 ①6-MAH ②8-MRP ”Patents Pending”ジャケ
Ⅳ.XEX637-1/XEX638-1 ①1-AH  ②3-AT    ”両面2桁スタンパ"

PCS-7027 Stereo
Ⅰ.YEX-637-1/YEX-638-1 ①3-GO ②1-GG  

基本は、Y&Bレーベル。"Sold in UK…" 付き。 KT刻印。
ザ・フールのオリジナルインナー&ワッペンのカットアウト付き完品。
完品なのは、上記でいえばモノのⅠ.Ⅱ.のみ。あとは、カットアウトのみ。特にグラデーションのインナースリーブ(レコード袋)は人気が高く、流通の過程で抜き取られている可能性が高いです。

マニア曰く「スタンパはいわば、マスターテープからの距離。番号が若ければ、マスタに限りなく近づき鮮度の高い音が楽しめる。逆にマザー・スタンパが進めば、メタルマスタから何億光年も遠くなるため鮮度が落ちる。摩耗したメタルマザーはカスカスの音になる。だからマニアたちは、血眼になって、まだ見ぬ"1-G(初版)”を追い求めるのだ。」(コラム:「レコードマニアの平常運転」より)。マザー/スタンパーの若い盤は、鮮度の高い音という触れ込みだが、「鮮度」って何?魚と野菜は鮮度が大事というのはわかかりますが・・・。

わたし的にいえば、以前もコメントしたが、たとえばライブのチケットで「ブロック〇〇エリア:席順〇〇列目」みたいなものでしょうか?だとしたら、SSAのレベル500よりも、アリーナブロック1のステージ前の最前列のほうがいいですよね。某ショップの店長が言うには、サージェントペパーは事前にスタンパーだけでも400個以上作られたアルバムなので、1~2桁のスタンパーは希少価値が高いとのこと。イニシャルオーダーが英国内で50万枚以上、発売後すぐに100万枚売上突破したアルバムなので、初期プレスとはいえ1桁スタンパと3桁スタンパが同日にレコード店の店頭に並べられていた可能性も高い。これはもう、くじ引きみたいなものですね。

【所有レコード雑感】
Ⅰ.聴いていきなりの感想だが音質が「悪い」。特にB面の一桁スタンパーが正直、音がこもり気味でジョンとポールの声が濁った感じがします。音が歪むということではありませんが、なんか鼻づまりのような感じなのです。素直に喜べない。キズモノっていうくらい溝が荒れているのかわかりませんが、とにかくジリジリとノイズが多い。チリパチノイズは我慢できるレベルではありますが、期待が大きかっただけにショックも大きい。針飛びがないだけマシと考えています。盤によって個性があって、一つとして同じ盤質はない、とわかっていますが・・・。


Ⅱ.Ⅲ.やはり前から持っている3桁スタンパーは、どこか「もっさり」とした音で、素人でも音の違いがわかります。これしか持っていなかったときは、それほど気にはなりませんでしたが、のちに1-2桁スタンパの盤を聴くと違いが顕著です。どうでもいい人にとっては、誠にどうでもいいことなのですが、やっぱりいい音で聴きたい、という欲求は抑えられないものですね。マスターテープに近い、というのは良いものです。

Ⅳ.両面2桁スタンパですが、これが一番素直な音がします。チリパチノイズはありますが、総じて一番聴きやすいです。個体として良質です。楽器間の分離が良く、音の聴こえ方が良いです。モノラルながらエレキ、弦楽器、ボーカル、打楽器等の楽器が独立してはっきりと聴こえます。全部ではないが。迫力でいて繊細。ジョージのインド曲も立体感が顕著です。シーズリービングホームのストリングスの音がきれい。ドラムの音の張りが良い。特にポールとジェフエメリックが作り上げたリッケンベースの音が秀逸。丸々1トラックを使ってポールが何度も入れ直しただけのことはあって、響き方が素晴らしい表情をしています。ポールのベースの歌わせ方はやはり天才たる所以ですね。この音は新しい「気づき」です。

Stereoのほうは、ノイズも少なくすごく綺麗で繊細な音がします。ステレオ針で聴いているので、我が家のシステムと相性がいいのか、ロックのアルバムというよりクラシックを聴いているかのようです。

このアルバムではCD(モノBOX)も持っていますが、あえて語るような感想はありません。ビートルズはスピーカで、空気を震わせて聴くものと考えていますので、ヘッドフォンでは聴かないようにしています。いくらノイズがなくともCDでは、レコードの音の響きとは比べ物にならないと思います。

The Beatles / Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band

【ジャケット】についての考察
Sgt.でいえばジャケットにもいろいろとツッコミどころあります。有名なワイドスパイン(写真ご参照)は、ポールの証言もあり、比較的初期プレスと考えられています。
 ただ、わたしはワイドスパインは2枚所有していますが、盤のマザー・スタンパーからみるとそれほど初期盤ではない感じがします。以前、何かの資料でヘイズの工場で山と積まれたビートルズのレコードをせっせとジャケットに入れている何十人もの工員さんたちの写真をみたことがあります。Sgt.だとイニシャルオーダーで10万枚単位になるレコードを発売日に合わせるためにはジャケット・レコード・インナー・カットアウトを用意しなければならないはず。Garrod&Lofthouse社も各地の印刷業者に下請けの注文を出したと聞きます。
 ヘイズの工場で山積みとなった備品を前に、ヨーイドンで完パケしたのならレコードのプレス時期とかジャケットの印刷順番とか関係なかっただろうと思います。当時はそんなにファーストプレスに拘っている人もいないでしょうし、プレス時期とジャケットの印刷時期との順番がごっちゃまぜになったものが出荷されとしても不思議でないと思います。
 また、いつもどおり出荷納品優先なので、「Fourth Ploof」などという「4校目」校正の印刷テストのようなジャケットまで出荷されてたようです。「Patents Pending」はフリップバックの特許を出願中の状況を指すようです。ちなみにギブソンで有名な「P.A.F(Patents applied for)」は特許出願中と言う意味らしいです。
 あるいはジャケットと中身が入れ替えられている問題もあります。オークションとか、流通の段階で、コレクターの中には行儀の悪い人もいるだろうし。特にインナーはザ・フールというデザイナーがデザインした、すばらしい作品です。すごく特別感があって、このアルバムの高級感を醸し出しているようです。このインナーはマニアのコレクター心理をくすぐるのか、抜き取られているケースがほとんどです。
 カットアウトは文字通り切り取って遊ぶ紙製のワッペン。ビートルズのアソビゴコロ満載のおまけです。

monoのⅠ.Ⅱ.は完品でインナー・カットアウトもオリジナルを所持。
Ⅲ.のインナーは「P.A.F」の白で、カットアウトは付属していませんでした。Ⅳ.はカットアウトのみ付属。Stereo盤は、EMIとは無関係の白インナーでカットアウトも付属なし。ジャケットはしわが多いです。発売から50年以上経過しているレコードですから、どこかでジャケットとレコードのすり替えや抜き取りがされていた可能性は高いと思われます。