おちょこ

好きな作品について語りたい社会人 面白いものは媒体問わず好き

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最近の記事

pet/fish 三宅乱丈 感想

ずっと辛いけど、緊迫感があって読めない展開や、ものすごく深いところまで抉るように描き出す心理描写が面白くて、読み始めると止まらない。 物語の着地点は、考え得る限り一番希望のある終わり方のように感じました。 以下、好きなところをネタバレ気にせず語るだけ。 ・ヤマ親と子の歪な関係性 ヤマ親と子の関係は実際の親子関係かそれ以上に強くて、実親子なら双方向の(又は親→子の方が強いくらいの)感情があるのが自然なところ、ヤマ親と子の関係では圧倒的に子側が親に依存していて、親はそのことを

    • 君と宇宙を歩くために/泥ノ田犬彦 感想

      試し読みの1話が素晴らしすぎて、もっとこの世界観に浸りたいと思いすぐに購入して何度も読み返しています。現在2巻まで出ていますが今後もとても楽しみ。 以下ネタバレ考慮なしで好きなところを挙げるだけ ・小林の人間性 ちょっと現実味ないくらい性根のまっすぐな子ですが、彼が主人公であることで不快な思いをせずに読めるという安心感がすごい。 高校生(まして作中の言葉を借りれば底辺高のヤンキー)でここまで他人を素直に認めたり、自分の欠点を見つめたりするのは実際にはとても難しいことだと思い

      • 訪問者/萩尾望都 感想

        トーマの心臓のオスカーの過去編。 オスカーは大人びていてスマートで、思いやりのあるとても魅力的なキャラですが、訪問者で描かれる彼の過去はあまりにも辛い。あの老成した雰囲気と、余裕があるようでいてどこか愛される自信がないようないじらしさが、なぜ備わったのかが分かる気がします。 以下、好きなところをとりとめもなく語るだけです。ネタバレ注意。 ・子供の気持ちの表現 これが本当にすごい。最初から最後まですごい。感情移入して毎ページ泣いてしまいます。 モノローグや表情に表れるオスカ

        • 珍妃の井戸/浅田次郎 感想

          あまりにもどハマりした小説蒼穹の昴の続編。まずは続編があることに感謝。本当にこの世界を描き続けてもらえることが嬉しいです。ずっと読み続けたいけど、しっかり完結させてもらいたい気持ちもあり…浅田先生のご健康を願う日々です。 本作は光緒帝の寵妃珍妃の死の謎に迫るミステリ風の作品ですが、中身は各証言者の証言が食い違う藪の中といったところでしょうか。この構造によって、各人物が恨みに思ったり、貶めたいと思っている相手が誰なのか分かるのも面白い。 以下ネタバレ配慮せず語りたいことを語って

          蒼穹の昴/浅田次郎 感想

          こんなに面白いものがあったのかと衝撃を受けるくらいどハマりした小説です。長編ですが、内容の面白さと文章の読みやすさのおかげで最初から最後までずっと夢中で読みました。 あまりにも好きすぎて1人で熱を抱えきれず、同じようにこの作品を好きな方と共有できたら嬉しいなと思い、とにかく好きなところを書いていきたいと思います。 ネタバレ配慮せず好きなところを語るだけなので、読了済みの方向けです。 ・リアルとエンタメの中国感 紫禁城での暮らし、梁家屯での暮らし、科挙の受験、人々の生活の細

          蒼穹の昴/浅田次郎 感想