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不払い損保ジャパンと交渉忘備録③「ノアの件」

前回からのつづき

損JTアジャスターとの電話でイラついていながらも次の一手はどうしよう、とか考えながら自社の仕事も進めながら考えていた。
1話目でお話したようにWことウチの会社は鈑金塗装工場。
もちろん損J絡みの案件は常に入庫している。

そんな時、W工場の顧客Tさんから依頼のノアが入庫していた。
Tさんは2割過失の被害者側だった。
相手損保は、そう損J

事故はTさんが走行しているところに路外(お店の駐車場のような道路ではないところ)から出てきた車と接触。
過失割合は双方の保険会社が聞き取りをした結果2対8だという。
保険会社の提出してきた過失割合に、事故を起こしたことが無いTさんは納得はしていない。Tさんの車にはリヤドアからバンパーにかけての接触だったため、Tさんからすると避けようがないじゃないか、と思う。

Tさんと話をして提案したのが、2対8で最終的に相手から貰えるお金で修理しましょう、と。そうすればTさんの保険も使わなくていいし、全て新品になるわけではない、少しの傷が残るかもしれないがいかがでしょうか?と提案したところ、是非!と回答いただいたので進めるとする。

相手の損J支払い担当にも「相殺で提案して2割過失で進めれるように話をしてみる」と伝えていた。こういう時、いわゆる加害者側の保険担当者は被害者と過失割合で揉めなくていいので喜んでくれることが多い。
損J担当者からも「では画像伝送で進めてください」と入庫前打合せを済ましていた。


前置きが長くなった

Tさんのノアが夕方入庫したので翌朝車の損害部分に矢印マークを付けて、15枚ほど写真を撮影して保険会社へ送った。
その矢先、1台の車がやってきた。降りてきた人の格好を見てすぐにアジャスターと分かる。そうだ、損保ジャパンが来たのだ。

N損「損JのNと申します。近くに立ち合いがあり、ちょうどTさんの車が入庫しているとのことでしたので立ち合いに来ました」

保険会社が損害確認する方法は主に2つ、写真もしくは立会。
小さな損害や信用がある工場などは写真を撮って送る「画像伝送」

大きな損害や経緯が複雑な事故、ほかに怪しい工場はアジャスターが現車確認する「立ち合い」になる。

先にも書いたが損J支払い担当とは「画像伝送」で了承済みだった。
しかし突然、立ち合いに来たのだ。

W「あれ?画像伝送って話だったので今朝早々に写真送ったとこですが、どうして立ち合いになったんですか?」

N損「近くに立ち合い案件があったので私にW工場にもノアが入庫してるから見てくるようにと依頼がありました」

Nアジャスターと会うのも話をするのも初めてだ

W「ふーん、画像伝送だったのにどうしてでしょうね?あ、ちなみにですが、もしかしてウチとN会社の話聞いてます???」

N損「詳しくは無いですが、少しだけ、、、」


なるほど、そういうことか、信用工場から怪しい工場扱いに変わったのだ。
損Jがそういう対応でくるならそれでいい。
画像伝送が立ち合いになったところで何も問題は無い。あるとすれば作業着工までのスピード感とお互いの信頼感だ。

余談だが画像伝送でも概算で30万円までだったり100万円までだったりと、その信頼度は工場によって違う。


W「このバンパーは交換相当の損害だから見積りは交換で計上しますよ。でもお客さんの意向で修理します。その差額を過失に充てるような話になってますので。ホイールも傷があるので交換で計上します。実際に交換するかどうかはお客さんの意向に沿います」

N損「交換で計上する場合は納品伝票が必要になりますが、、、。」

W「修理相当の損害を是が非でも交換するとなった場合は伝票提出も応じる、けれど交換相当の損害を納品伝票が必要なんて応じるはずもない。交換相当の損害を新品請求してそのお金をお客様がどう使うかは勝手ではないのか?修理しても新品相当の性能を担保できないのに」

そう話をしてN損が置いて帰った「修理内容確認シート」には×印の交換を示す記号が記されていた。「修理内容確認シート」には保険会社の見解や工場との打合せ内容が記される。
途中の写真が必要であれば「分解後の写真をお願いします」とか「交換の場合は残存物を保管しておいてください」とか。

置いて帰ったそれには×印だけだった。過失分補填の為、お客さんの意向でやむなく修理することは重々伝えてその日の打合せは終わった。

つづく


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