9月24日 BAR デカメロンで会いましょう
これは漫画家の肘樹先生が、BARで1日ママをされた日のお話である。
私はあくまでモブ、むしろ豚貴族の店員くらいの立ち位置で眺めていた光景である。
普通に生活していて、なかなか漫画家さんに会える機会は少ない(私の場合)。だが、いそふらぼん肘樹先生は会える漫画家というイメージが強い。なぜなら公式のサイン会を始め、様々なイベントに参加されているイメージがある。
神クズ☆アイドルに出会って、肘樹先生のニコ生配信を聴いて知らなかった世界に出会ってしまった感は否めない。
過去の新刊サイン会に外れたり仁淀バーイベのチケット争奪戦を思い出し、当日は少し早めに店を訪れることにした。何が何でも店内に入りたい、というか座りたい、一応いつもは7cmヒールを履くが帰りの心配をしてローヒールで向かう。
十分前には目的地に着くが、既に6人くらい並んでいた。待っている間も後ろに人が増えていく。この時点でカウンター席を諦める。むしろ立ち飲みなら長居もできないしちょうどいいくらいの気持ちに落ち着いた。
しかし前の集団は仲がいいな、きっと古参の肘樹先生ファンで交流があるのだろうなどと想像しているとチラッと店内の肘樹先生がドア越しに見える。湧き立つギャラリー、うん、さすが神クズファンだねと勝手に納得する。
さあ開店だ!
だが店員さん2人、待機列を見て絶句。急遽5人ずつ、店内奥から詰めてびっしり埋まっていく。なんかいろいろ想像と違ったらしい。あまりの人の多さに肘樹先生は笑い、ファン達に普通にツッコまれる。なんとも和やかな光景だ。客席というかスタンディで芋洗い状態だけど、これもらしくていいよね。などと思ったら無音でバーイベのニコ生配信がされていた。この配信の面白いところは聴いてる人に対して店内にいるお客さん達が実況コメントを打つのだ。そしてそれを見て喜ぶ視聴者。だが無音だ。
まずは最初の一杯、伝票作成かと思いきや、客の多さに急遽前払い制が導入される。お酒を作ってくださる店員のみづきさんが都度、肘樹ママに指示出ししていくのも貴重な光景だ。
この日の肘樹ママの装いはチェック模様のミニ丈チャイナ。赤いイヤリングとパンプスが色鮮やかで美しい。この日のイヤリングが、かの有名なピエール手塚先生がデカイヤリングと認識していた物だったそうだが、ごく普通の大きさだった。ピエール手塚先生が本当に大きなイヤリングを見たら何と形容するのか興味がある。(ピエール手塚先生は会社で役職に就きながら漫画連載をしているスーパー漫画家だ。Twitterでよくパンを見せてくれる優しい方である)
私は最初の一杯は絶対ビールと決めてきたのだが、私以外全員、先生のメンカラカクテルを頼むところに肘樹ママのカリスマ性を見た。
最初のお通しは肘樹ママが用意してくれた。皿にお煎餅とピスタチオ3粒!肘樹先生の自画像はピスタチオじゃないよと改めて注意が入るのもポイント。
ここから店員さんはカクテル作りをしたり大変なのだが、その前に一番早い瓶ビールが肘樹ママに渡される。それをそのまま「はいよ、瓶ビール」と目の前のコースターに置いてくれる肘樹ママ。続いて「栓抜き」と横に栓抜きを置いてくれる。
この時点で私の頭の中は神クズ☆アイドル1巻のハンバーガー初体験お嬢様の一コマと、竜王戦で藤井竜王が神社エールの瓶の蓋を開けられなかったことが駆け巡る。
「こんなBAR初めて!」
肘樹ママの塩対応がクセになる……と一瞬落ちかけたが、この日は気高きロリィタという戦闘服だったのですんでのところでとどまる。
なんとかグラスをいただき、みづきさんが肘樹ママに開栓の指示出しをしてくださったおかげで自分で開けなくてすんだ。
全員にグラスが行き渡り、さぁ乾杯かと思いきやバラバラと飲み始める客たち。あれ、こっちは乾杯というか「せーの一迅社!」コール待ってたけどない系?とざわつく。ここでも有能店員みづきさんが、先生、乾杯待ってますよと声をかけてくださり、無事に一迅社の方向へグラスを傾けることができた。
こんなに長文を書くつもりはなかったのだが、最初の一杯までが結構長くて濃かったな。肘樹ママはこの間にも一杯飲むと1枚貰えるアサヒちゃんと仁淀のメイド服コースターを配ったり仕事をこなしておられた。アサヒちゃんの三つ編みメイドが可愛いのは言わずもがな。嫌そうな仁淀のメイド姿も貴重でファンは嬉しい。
今回のBARは食事メニューはないので、持ち込みOKだった。そこでのんびり飲むつもりだった私は、乾き物を少量持ち込んだのだがお客様達は準備量が違った。いろんな地域から来店されている方たち、地元のお菓子などを持ち寄り端からどんどん回してくださるのだ。右から左からお菓子は流れ、時にコースターを入れる袋(これは本当に助かりました!)までいただいてしまった。よく鍛えられた肘樹ファンであることが伺える。
そして1人が先生にシャンパンを入れ、コースターにサインをもらう。これは貴重すぎる。その後もシャンパンを入れたがる方が複数出るが、三万円の高いシャンパンしかないという。私は歌舞伎町らしくなってきたなと傍観者を決め込んでいたのだが、ワリカンでシャンパンを入れませんか!という発想が新しすぎて舌を巻いた。そして複数人で入れた絆シャンパン(ネーミングまで天才だ!)を分け合って飲んでいるのを見ていた。
シャンパンタワーは聞いたことあるが、1本を15人で分けるのはなかなか難しそうだ。肘樹ママが頑張ってコップに注いでいる姿を今でもよく思い出せる。
この絆シャンパンは後半でも入れられ、肘樹ママがひたすらコースターにイラスト等を入れていた。描くのが速くて見ていて気持ちよかった。プロが生で絵を描くところを見る機会はなかなかないので貴重だったと思う。
私はいつかサイン会で絶対に当ててやるという気持ちがあったので絆シャンパンには手を出さなかった。10年くらいなら待てるので、いつかチャンスはあるでしょう。
お客さんが減ってきた頃に周りで推しカプや同人等の話が繰り広げられ、私はその類の言葉はすべて肘樹先生の配信で覚えたことを話してみたら、そんな汚れてしまってという反応が面白かった。
逆に何で先生を知ったのか聞かれたので、神クズ☆アイドルのPVでデカい将棋駒のシーンが流れて将棋アニメだと思ったからと答えるのである。でも全然将棋アニメじゃなくて、だけど面白くて一気に見てしまいましたと。
かなりイレギュラーな入り方だと我ながら思う。そこでもしかして将棋お嬢様?と気づかれたのは嬉しかった(リスナーのことは年齢性別関係なくお嬢様呼びなのである)。ロリィタ服にも興味を示していただき嬉しい限りである。
私は訳あって少し肘樹先生や配信から距離をとっていたのだが、今回は対面で一部ご迷惑をかけたかなと思ったところを謝罪するチャンスだと思って伺った。やっぱりちゃんと気持ちを伝えるなら対面が一番と思ってしまう。クソ真面目と言われる所以である。
肘樹先生は寛大で笑って手紙を受け取ってくださり、差し入れにツッコミもくださったので私としては心の中の澱のようなものがなくなりスッキリした。
実はこのBARのイベント最中、早めに帰宅された方が肘樹先生に頼み込んでツーショットを撮ってもらっていた。店の看板ではなく、コインロッカーを背景に。いつか私も何かをやり遂げたら、そんなことをお願いできるチャンスが巡ってくればいいと思う。
私にとって漫画家とのツーショットといえば、僕とロボコの宮崎周平先生が永瀬先生の就位式で撮ったものが印象強く特別なものなのである。
私は閉店1時間前に先生のメンカラカクテルを飲んで店を後にしたが、閉店間際はどんな状況だったのか気になる。だが終電で寝過ごす事態は避けたかったので我ながらよい判断だった。
なかなかによい夜だった。
肘樹先生のイベントではなくても、デカメロンさんでしか飲めないジントニックを飲みに再来店してしまいそうである。
あと肘樹先生はパン好きでも有名だが、いろんなパンの差し入れをもらって嬉しそうだったところが素敵だった。肘樹先生が健やかに好きなものを食べて、ミュージカルを追いかけて神クズを描き続けてくだされば、いちファンは幸せです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?