ADHDの取説①
私は自他ともに認めるADHDです。
ADHDを知らない人のために軽く解説すると、いわゆる発達障害の一種で、日本語で「注意欠陥・多動性障害」という名前がついた障害です。
(※この部分の文章で当初「広汎性発達障害」と書きましたが、違うらしいので訂正します。2018/03/12)
まあ、言ってしまえば障害者です。
具体的にどんな障害なのかというと、世の中にたまにいる変な人の一種です。
一口にADHDと言っても実は色んなタイプがいて、それぞれに得意なことや苦手なことが違っていたりします。
1. 注意欠陥
その中でADHDの人の多くに共通する症状としては「忘れ物が多い」ということ。
学校で、物や行事、約束事の類をとにかく忘れまくる人っていますよね。
あれは大体がADHDだと思ってもらって差し支えないです。
どうもADHDの人間は脳の短期記憶の容量が極端に小さいのだそうです。
なので、昼ご飯に何を食べたかすら、すぐに思い出せないこともしばしば。
逆に長期記憶の方は異常に細かいことまで鮮明に覚えていたりします。
短期で覚えられないのに、長期で覚えているというのは矛盾しているように思われるかもしれませんが、これには理由があります。
ADHDの人は、自分が興味あることには異常に執着するのに、興味がないことは全然集中できない。
なので自分が印象に残った台詞や場面をほとんど無意識に頭の中で何度も思い出して反芻しています。
その結果、その出来事は物凄く鮮明なまま長期記憶の方に格納されるのです。
一方で、頭の中で反芻している間(妄想タイム)の聴覚・視覚情報はほぼスルーされているので、外から見たらほぼ目を開けて気絶しているのと同じです。
たまに道を歩きながら、あるいは電車の座席などでニヤニヤしている人がいますよね?
あれはほぼADHDの人です。
ADHDにとって「移動時間=妄想タイム」なので、妄想をせずに移動するということはほぼ不可能だったりします。
その結果として、自分がどこに向かっていたのか、何をしようとしていたのか忘れるなんてことが日常茶飯事です。
こういう話をするとヤバい人と思われるかもしれません。
しかし、いわゆる自閉症スペクトラムの人たちと違い、ADHDは意外にも社交的な人が多いです。
特に、あまり気を許していない相手がいる場合は、気を張っているので注意欠陥の症状が出ることも比較的少なく、あまりバレにくい。
もちろん、要所要所で症状が出てしまうので、見る人が見たらわかります。
とりあえず物事を緻密に完璧にこなすのが苦手なので、事務手続のようなタスクは最も苦手な分野です。
2. 多動性
人の話を聞かない代わりに、人間観察力が異様に優れていたりします。
集団の中で黙っている時間は、次に何喋るか考えている(自分のターン待ち)か、周りの人の顔色やしぐさを観察していたりします。
なので、世の中の「ものまね芸人」と言われる人たちは、高確率でADHDです。
なお、よほど興味のある話でもなければ、ほぼ人の話は聞いていません。
しかも何もせずにじっとしているのが苦手(多動性)なので、学校の授業というイベントは死ぬほど苦手です。
幼少期ほどこの症状は出やすいので、ADHDの人は特に小学校の時期には問題児扱いされることが多いです。
しかし、成長するにしたがって社会性を身につけ、表面上取り繕うのが上手くなってくるので、多くの場合、多動性は目立ちにくくなります。
もちろん、これは表面的な行動が改善したように見えるだけで、実は中身はそんなに変わっていません。
内職をする・妄想するなど、目立たないように過ごしているだけです。
私の場合は堂々と寝ることが多かったです。
寝ていると授業を中断して起こそうとする熱心な先生がいますが、私は心底ムカついていました。
お前の話がおもろないから寝てるねん。
誰にも迷惑をかけずに大人しく寝てるのに、起こす意味がわからない。
どうせ起こしても聞かないんだから全く意味がない。
授業を中断するだけ時間の無駄だし、周りの真面目に聞いている生徒には迷惑がかかります。
その結果、本来は無害のはずのADHDの生徒が周りから白い目で見られるようになる。
教師による公開イジメですよ。
世の中の教師の皆さん、授業中に寝てる子はそっとしておいてあげてください。
イビキかいているときときだけ「イビキかいてるよ」と注意してあげてくださいね。
なんか思い出したらムカついてきたから話がだいぶ脱線してしまいました…。
そして、大学生になるとADHDの人は可能な限り授業をサボります。
大学の授業で出席を重視する先生が結構いますが、(というか大学がそれを推奨する)意味わかんないですよね。
本人が聞く気ない(というか聞けない)のに無理に出席させる意味がわからない。
お互いに時間と労力の無駄ですよね。
あと、多動性は「行動の制動力が弱い」という症状としてもあらわれます。
思い立ったら行動せずにはいられない。
「いや待てよ?今はやめとこう」
が凄く苦手です。
これがいい方向に作用すると、行動力抜群の仕事ができる人として表面化します。
一方、悪い方に作用すると約束を破ったり、法を犯してしまうパターンもあります。
3. 過集中
ADHDの症状に「過集中」というのがあります。
とにかく、興味があることを見つけたらあらゆることをシャットアウトして没頭する。
何に没頭するかは人それぞれ、勉強だったりスポーツだったりTVゲームだったり漫画だったり…
ADHDの人のIQや運動神経の基本スペックは個人差がありますが、この過集中の影響で、その分野に関しては大抵は常人よりも抜きんでた能力を発揮します。
一方で興味がないことはとにかくできない。
勉強で3時間机に向かっても、ほとんど何も身についていないなんてこともザラにあります。
その結果、勉強では平均的な成績をとるのが苦手で、特定の科目だけ突出して良いという尖った成績を出すことが多いです。
私の場合は物理と化学の偏差値が80前後(最高記録は95)だったのに対し、英語は50以下(最低記録は32)でした。
(そんなお前がなんで偉そうに英語を語ってるんだ、という話については今度の機会にします。)
こういう成績の取り方をしている人はほぼADHDだと思って間違いないです。
もちろん、中には「受験勉強で好成績を出す」ことに没頭する人もいて、そういう人は全教科でトップクラスの成績を出します。
逆に学校の勉強全般に興味がなくて全教科壊滅の人もいます。
4. 高学歴ADHD
上記の「過集中」が上手くハマった場合、総合的なスペックが常人程度だとしても、一部の学力が抜きんでて高くなります。
こういう能力は、大学入試のシステムと案外相性が良い。
例えば工学部だと、受験科目が数学・理科・英語だけ、とかなので有利に戦えるんですよね。
なので、一流大学の学生の中には結構な確率でADHDが紛れ込んでいます。
しかし、高学歴ADHDは大学で結構苦労します。
なぜなら、興味ない科目の単位もとる必要があるからです。
しかも大学生にもなると、色んな制約がなくなって行動の選択肢が増えるため、そもそも大学での勉強から興味を失う人も多数います。
そして結構な確率で留年します。
同学年で留年してる奴がいたら高確率でADHDだと思っていいです。
場合によっては中退しちゃう人もいます。
ここまで読めばわかると思いますが、ADHDの人は良くも悪くもぶっ飛んでいます。
精神的なムラが大きく、成果に安定感がないことも多い。
社会的に大成功をおさめる人もいれば、ニート・引きこもりになる人も多数。
以上、今回は概要の説明ということで、これぐらいにしときます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?