レッシング「認め合い」の思想

"Jeder sage, was ihn Wahrheit dünkt, und die Wahrheit selbst sei Gott empfohlen!"

「それぞれが真理と思うものを語ろう。そして真理そのものは神に委ねよう!」
(Lessingが語ったとされている)

なんて素敵な思想だろう。Hannah Arendtという思想家の文章で、この一文に出会ったとき、自然と笑みが浮かんだ記憶がある。恩師がよく引用する言葉の一つにも「神は、右手に真理を、左手に真理へ至る道を差し出した。真理はそのままに、私は真理へ至る道を選ぼう」(どなたの言葉だったかしら…)という台詞があった。

人はそれぞれが違う考え方を持っている。それは生まれ持った性質や、生きるなかで育んだ性質が相まって形作られるのではないかと思う。他方「神」は唯一神云々の意味ではなく、「人間のあずかり知らぬ事柄を扱う存在」という意味なのではないか。

私ではない人と生きるということは、自分が思う真理を語り、他の人が思う真理に耳を傾け、否定するでも肯定するでもなく、(時には議論もするけれど)認め合うということだと思っている。そして、そんな生き方をしたいと思う。