endo aki

日々生きる中で、ふと気になったものを言語化して残す場としてnoteを使っています。文語体で言葉が立った文章を書ける人間になりたい。

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最近の記事

「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~」

年末に映画「ゲゲゲの謎 鬼太郎誕生」を見て以来、どうも水木しげるさんやゲゲゲの鬼太郎作品への興味が止まらない。 水木しげるさんの自伝を読み、夏には鳥取へ行く手配を整えた矢先に見つけた横浜での「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~」展。行かないわけにはいきません。 まさに水木しげるさんによって書かれた妖怪たちの百鬼夜行である。お馴染み砂かけ婆に子鳴爺、ぬらりひょんといった妖怪たちの原画から、その参考となった鳥山石燕の「百鬼夜行」や柳田國男の「妖怪怪談

    • 圕の大魔術師とプルンクザール

      泉光さん作の『圕(図書館)の大魔術師』という漫画がある。 図書館や本が好きな私にとっては見逃せない作品であり早速購入。 第二巻で主人公シオはついに憧れのアフツァックに着くわけだが、そこの第一図書館がウィーンのオーストリア国立図書館プルンクザールを模しているように見受けられる。 美しい!!! ちなみにアフツァック南の中央図書館にあるアフツァック博物館とアフツァック美術館の対比構造も、ウィーンのマリア・テレジア広場にある自然史博物館と美術史美術館を彷彿とさせる。

      • 映画『鬼太郎誕生日 ゲゲゲの謎』

        https://youtu.be/HCETLuRsQAI?si=Q4FQq6Ooh5GZ5F0W (以降、ネタバレを含みます) 鬼太郎の父(本作ではゲゲ郎と呼ばれる)は生き別れの妻を探して哭倉村へ。そして水木は立身出世のために財政界を牛耳る龍賀社長の後を追い、不老不死の薬「M」を求めて哭倉村へ。 ゲゲ郎は妻が人間を愛していたことから人間を憐れみ、水木は「人として」ゲゲ郎を見捨てられず、幽霊族であるゲゲ郎と人間族の水木は種族を超えて共同戦線を張ることに。 水木は太平洋戦争

        • 割れ物が怖い

          食器棚を置きたいなと思っている。ずっと。 台所の収納が限られていて、流し下の引き出しに食器たちを鍋釜と並べて置いているものの、毎回腰を折るので使い勝手は良くない。 でももし食器棚を買ったとして、食器棚が倒れたとき、戸のガラスが割れて散乱したらどうしようと思うと、いつも二の足を踏んでしまう。 本当はベッドも朝日が燦々と降り注ぐ窓辺におきたいなと思っている。 でもどうしても置けない。 もしガラスが割れて、その破片が頭に降り掛かったらどうしようと恐ろしくなるから。 大きな地震を

          私の実家

          私の実家は築60年の古い家である。 小学生の時、雨が降って雨漏りをして家の中にバケツを置いたり、 熱が出て寝込んでいたら目の前を鼠がとたとたと我が物顔で走って「おかあさーん」と叫ばざるを得なかったような家だ。 網戸は穴が空いていて夏には虫が入る。 冬には隙間風がどこからともなく入ってきて寒い。 お風呂場にはナメクジが出る。 実は縁側の鍵が壊れて出入り自由だ。 それが私の実家。 大学の時から1人暮らしを始めたが、北向き4畳、台所とお風呂が共有の寮だった。 夏は熱中症の寮生が出

          私の実家

          路地裏

          僕に住んでた街にショベルカーがやってきた。 おつかいに行った八百屋さんや、 コロッケをおまけしてくれたお肉屋さんは引っ越した。 ママがお喋りしていたパーマ屋さんがなくなって、 ママは「どこで髪を切ろうかしら」と言った。 いつもがらがら建物を潰していく音がする。 路地の猫は大きな工事の音に驚いたのか、 ぴょんぴょん走っていってしまった。 保育園から帰るとき、ブルドーザーを見つけた。 地面がいっぱい広がっていて、 柵に囲われて中には入れないけれど、 あそこで遊びたいなと思っ

          富士山

          お天気の良い日、私の母は「今日は富士山がよく見える」と言う。 冬は「空気が澄んでいるから山頂の雪までよく見える」と言う。 母が仕事へ向かうときにも、血糖値と闘うために散歩をするときにも、視界に富士山が見えると「あぁ、富士山がよく見える」と言う。 曇っている日は富士山がある方角を見て、 「今日は富士山が見えない」とも言う。 特段、母は富士山というモチーフが特段好きとも見受けられないし、何か富士山で特別な思い出があると言う話も聞いたことはない。 それこそ家の中では富士山の話題は

          初夏のある日

          石田ゆり子さんの『天然日和』をもって、宮城へ来た。 彼女の文章は口語に近く、少し江國香織さんの語彙に似ていて、お話するように読める本。 ある日。 この連休は随分と暖かい。朝夕は肌寒くなるけれど、日が高く昇ると薄ら汗をかくほど気温があがる。 庭にはオケラや蛙、カメムシに毛虫がわんさか。カメムシはジャコウと呼ばれ、毛虫はゲジゲジと呼ばれる。毛虫はゲジゲジというよりモコモコに近い毛並みをしている。 納屋に燕が住み着いたのか、それとも宿探しの途中か、二羽並んで呼ぶ姿が見える。この

          初夏のある日

          怖いもの

          幼い頃、おばあちゃんの家のぼっとん便所が怖かった 穴に落ちたら戻ってこれないと言われたから 学校で仲間外れができるクラスが怖かった 闘っても終わりがなかったから 戦争で子どもが武器を持つと知って怖かった 親がいないとマンホールで暮らす子どももいると知って怖かった お金がないとご飯も家も将来もなくなると実感して怖かった 私には圧倒的に財力がなかったから 好きな人の心が離れていくことが怖かった 好きな人には幸せでいてほしかったから 愛する人を喪うということを知った 喪う

          怖いもの

          パンダコパンダ

          高畑勲さんと宮崎駿さんが作成されたアニメ「パンダコパンダ」は、小さい頃にビデオが擦り切れるまで何度も繰り返し観た作品の一つです。 2022/9/23から二週間限定で映画館が「パンダコパンダ」が上映されると知り、早速観てきました。 水森亜土さんの歌うパンダコパンダコパンダ♪は、映画を観る前も観た後もつい口ずさんでしまいます。 https://anime.eiga.com/news/116907/ パンダが喋る、ミミ子も当たり前のように話す、会ってすぐにパパママを引き受け、一

          パンダコパンダ

          信じる神様、感じる神様

          私の実家の裏に、竹林がある。砂利道の脇に鬱蒼とした竹が生い茂っている。小さい時は暗くて恐ろしく感じていた。 竹林の中は薄暗いけれど、進行方向はいつも眩しい。竹林を抜けた先は開けているので、トンネルのように強い光が迫ってくるのだ。 その光にいつも神秘めいたものを感じる。 今は使っていない蜘蛛の巣の張った竈門があって、緊急時のための井戸があって、お札の貼られた大黒柱がある家。 お正月になると、家の神棚だけでなく、竈門の火の神様、井戸の水の神様、大黒柱にもお供えをして手を合わせた

          信じる神様、感じる神様

          プリクラとTikTok

          TikTokが流行り出した頃、知人が「あの楽しさが分からない」と言っていた。 新しいものには躊躇なく手を伸ばす人で、流行には敏感だったので、TikTokを楽しめないことがジェネレーションギャップや老いを感じさせられた故の言葉だったのかなとも思っていた。 それから数年経ってTikTokはまだ人気らしい。私はYoutubeで偶然出会う動画を目にする程度しか分かっていないのだけれど、よく目にする動画はテンプレのダンスや歌があって、容姿が加工されているようだ。 もちろんテンプレに則

          プリクラとTikTok

          わくわく#1 大きなラザニアをスプーンいっぱい食べる

          会社で働き始めて10年。 仕事のイロハを学び、ある程度何かを始める際にも見通しが立つようになった。以前ほど暗中模索する時間は減ったけれど、その一方で刺激がなくなった気もする。 毎日同じ通勤路を通るように、安全に早く進めるようにはなったけれど、新しい景色や発見が減っていく物足りなさ。 そんな思いを抱えていた今年の初め、ジュリア・キャメロン著作『ずっとやりたかったことを、やりなさい』を読み、自分に新しいわくわくをあげたくなった。 そんな今日は初のラザニア作り。 目算で玉ねぎ、茄

          わくわく#1 大きなラザニアをスプーンいっぱい食べる

          『呪術廻戦0』 純愛と大義

          先日、映画の呪術廻戦を見てきました。元々、原作である漫画を読んでいて、アニメの作画に惹かれ、映画も見てみようと出向きました。 ※主人公である乙骨を軸とした感想ではありません。 (以下、ネタバレを含みます) 幼少のころ、幼なじみの祈本里香を交通事故により目の前で失った乙骨憂太。 「約束だよ 里香と憂太は大人になったら結婚するの」 怨霊と化した里香の呪いに苦しみ、自身の死を望む乙骨だったが、 最強の呪術師・五条悟によって、呪術高専に迎え入れられた。 そして、同級生の禪院真希・狗

          『呪術廻戦0』 純愛と大義

          『オールドファッションカップケーキ』

          友人にお薦めされて佐岸左岸さんの『オールドファッションカップケーキ』を読みました。 年齢を重ねて変化が怖くなっていくこと、だんだんそれを怖いと言えずに避けるよう生きてしまうこと。自分も同じ生き方をしていないかなとふと振り返ってしまいます。 寝て、起きて、仕事をする──それだけの毎日、 それだけを好きで選んでいる自分に最近少し憂鬱な39歳・野末。 ちょっと無愛想だけど信頼厚い部下29歳・外川は、 そんな野末が気になる。ひょんなことから、 女子で賑わうパンケーキのお店に2人で行

          『オールドファッションカップケーキ』

          『SNSー少女たちの10日間ー』 これは犯罪だ

          「インターネットの世界は便利だが危険が伴う」とは、最早使い古された表現となった。それだけインターネットは日常似なくてはならないものとなり、スマートフォンがその個人化を拡大した。 そんな中、チェコで実験的な映画が作成された。 巨大な撮影スタジオに作られた3つの子ども部屋で、幼い顔立ちをした3名の女優(18歳以上)は偽のSNSアカウントで12歳のふりをするという任務を与えられた。各々の部屋のPCで、連絡をしてきたすべての年齢の男性とコミュニケーションを取った。当初のプロジェクト

          『SNSー少女たちの10日間ー』 これは犯罪だ