一つ前に「職人魂!」という投稿をしたが、今回も新たなチャレンジを
先の投稿でオーダーをいただいた際に、候補で「パールのような」というお題もあった その際、すぐ思いついたのが
貝殻の真珠層を使ったらできるかも
ということだった
☆簡単に考えていた(笑
帰省した際に海辺でいろんな素材を集めてきた中に、アワビらしき貝殻も見つけていた
何年、数十年?と波や砂に揉まれて断片と化し、表面も削られて薄くなったもの
こんなに平で大きいところを見ると、元のアワビはかなり大きかったんじゃなかろうか
で、こちらを自分の思う形にペンチでカットして使おうと“簡単に”考えていたが、なんとなんと難しい
・これほど薄くても思いのほか硬い
・綺麗にカットできない
・縦に割れる&層になっているので薄く剥がれる
で、なんか方法ないかとネット検索したところ、普段は漆屋さんで螺鈿シートを購入して漆に螺鈿細工をしていらっしゃる方が、自分で貝殻を削るショート動画を投稿しているのに行き着いた(リンクから見れるかな?)
いや〜、いろんな道具を持っていても大変なんだから、私ごときが「にわかに」やれるもんではなかったのだ
☆それでも諦めない
「思いついたことはやってみたい」
「手を動かしながら考えたい」
というタイプなので、何度もペンチで手のひらや指先を挟みつつもモールド(型)にはまるように貝殻を割る
この時、途中経過を写真撮っていなかったので完成品しかないが、こちらが完成したリング
予想以上の仕上がりに嬉しくなってInstagramに投稿
一つだし、指輪にするか と指輪に加工したのち「イヤリング出来ませんか」と問い合わせがあり
残念ながら指輪にしてしまった(それにもう一つパーツ作るのも大変・・・)とお返事すると、「ちょうど指輪も欲しいと思っていたので」との申し出があり、すぐにお嫁入りとなった
こんなに貝殻の加工って大変(道具がないのが大きい)なのか〜、と思っていたところ・・・・
☆またまた問い合わせが
苦労して作った貝殻パーツのリングがお嫁入りして、ほっとしていたところにまたまた問い合わせが
「ピアスになりませんか?」
実は他の方からも同様に「ティアドロップの形でピアスが欲しい」とリクエスをといただいたが、「ティアドロップ形」に割るのは困難そうだし、残っている貝殻から考えても今は無理だということで、次の帰省で貝殻探してきて作るという話になっていた
それで、すでに指輪になってお嫁入りしたこと、貝殻を割るのが大変なことをお伝えする
しかし、文面からもとても気に入っていて残念に思ってくださっていることが伝わってきたので
なんとか残りの貝殻を継いででもピアスのパーツ2つにならないかな と、できるかできないかわからないし、希望の形かもわからないので勝手にオーバル(楕円)型でパーツを作り始めた
☆作る工程を撮ってみた
今回は加工していく工程を写真に納めてみた
◆貝殻を割る
縦2センチほどのオーバル型に合うように貝片をペンチで割っていく
時おり、型に乗せてどの辺をどう割るか確認しながら割っていくが、ペンチで手のひらを挟む〜〜〜 痛い〜〜〜 血豆(笑
◆隙間をさらに貝の破片で埋める、レジンを流し込んで硬化する
◆型から取り出して角を削っては、レジンを足して硬化を繰り返す
上の写真、わかりづらいが右が型から取り出したままの平な楕円、左は平な楕円の角をヤスリで削ったもの
角を取りながら何度かレジンを足して硬化、角を削るを繰り返していき表面を盛り上げていく
普通はオーバルの凹型にレジンを流し込めば綺麗にドーム状になった物ができるが、逆から作っているので手間暇がかかる
底辺とドームをそれぞれ作って貼り合わせたらいいじゃん、と思われる人もいるだろう
それだと貼り合わせた部分に空気が入ったり、ずれたりしてそれはそれで面倒なのだ しかも微妙に白濁加減を層ごとに様子を見ながら変えているので凹型ではそれが出来ない
◆なんとか完成
2つ作るのに3時間半
ここからまだピアスの金具を接着剤で止めてから、さらにレジンで固めて仕上げのコーティングをするので、全工程で5時間ほどかかる(接着剤が完全に固まるのを待つ時間を除く)
☆完成したピアス
ようやく完成したピアスがこちら
オーバルに一枚で作れなかったので、継ぎ目がちょっと出来てしまったが
我ながら頑張った
裏は貝殻そのままを見せることにした(これはこれで綺麗だから)
今回はご希望の形ではなかったかもしれないが、こっそりパーツを作っていたところ、ご本人に伝えたら喜んでくれたので金属アレルギー対策でチタンホスト&キャッチのピアス金具を使用して完成させた
近々、直接お渡しするので実物を手に取った時にどんな顔をされるのかが楽しみだ
真珠のようなムーンストーンのような出来栄えで、お問い合わせも多かったので、次回の帰省は貝殻探し頑張らねば(加工に適した薄さになったものを)