ブルーアワーにぶっ飛ばす

ずっとずっと気になっていた作品だった。なぜか。気になる。きっといい作品なんじゃないかと予感がする。惹かれていた。

  • 全体の感想【めっちゃ感覚的な感想です】

どこか荒削りで、でも心地よさも感じた。見た後に余韻が残った。よき作品だった。一言余計に言うなら、本当にほんのちょっとだけ、もの足りないような感覚が残った。でもそれが、この作品の良さのような気もした。気になる感性を持っている監督だと思ったし、なんだかもっと深く描ける監督さんのような気がした。きっと、私はこの後もこの監督の作品を見ると確信した。

物語に劇的な出来事が起こるわけではない。都会の日常、田舎の日常をリアルに切り取っている。特に、ある程度の田舎で育った私にとって、描かれる田舎の日常はリアルで、気が付いたら浅い息になっていた。息苦しくて、閉塞的で、キャラクターが濃く、心休まる場所も人もいない。まさしく、田舎だった。でも、それでも、気持ち悪くもあるが、人間の暖かさは残っているのだ。生ぬるく、さわやかとは言えないが。

  • 印象に残った言葉【ほとんど自分の話、ごめんなさい。】

「全然さみしくなくてさみしい。」
印象に残った言葉だった。
私個人の話だが、高校進学を機に、地元を捨てていく覚悟があった。田舎の枠組みの中で生きていたくない。話が合う人なんていない。もっと広い世界を見たい。私はもっと違う世界のほうが息がしやすいはずだ。もっといい生活をしてやるんだ。そんなことを思っていた。

数年後の成人式は、地元の出身中学校で開かれた。私は出席するかどうかで悩んだ。いい人生を自分でつかんでやると思って、地元を捨てて違う世界へ進もうとした。よく言われる、地元は帰る場所というような温かい土壌が、私の地元にあるわけではなかった。同級生からは、私たちとは違う人種でしょ?と線引きをされて、結局私は孤独を感じて一丁前に傷つくんだろうと想像していた。自分で選んだことなのにね。
結局は、一生に一度の機会だし、これから先会わない人もいるだろうと思い、成人式に参加した。そして、結局私は傷ついたし、居場所じゃないな、と深く感じた。帰ってからベッドに突っ伏して大泣きしたことを覚えている。成人式に行ったこと自体は後悔していないが、その場に青春時代の大変さを共有できるような同士はいなかったことが寂しかったのだと思う。やっぱり、私にとって、地元は帰る場所ではなかった。

そんな私にとっての帰る場所になるかもしれない作品だなと思った。支えてくれる場がない私を支えてくれる作品だなと思った。勝手に、私の仲間になってくれるだろうと思っている。こういう作品があることを救いに思った。

  • さいごに

出演している俳優の演技がすごかった。黒田さんも、伊藤さんも、すごかった。このことは書いて残しておきたかった。

私にとっては、いい作品でした。

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