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訪れる一人と追憶

惜別の別れは、今まで自分は経験していなかったと言える。何故なら、初めてその惜別感をその人から感じたからだ。
そしてその人は、一人には慣れていると言っていた。確かに、語らい合う中で出てくるエピソードや感情は、一人には慣れている様だった。ある種、諦めの様な明確な線引が、その人の中にあると感じた。

そして今、私は徐々に、長い付き合いがある友人たちとも離れていっている事を感じている。その先には、一人が待っている。
一人とは?一人とは、人間としての真実、事実であり、それ以下でも以上でもない。ネガティブでもポジティブでもなく、単に事実、現実としてそこにある。
本質的に人間は常に一人だが、余りそれを感じずに生きられる環境は多い。
自分も、対して感じずに生きてきたのだと、離れゆく人間関係と近付いてくる一人を感じ、思った。
私は一人を人間の本質と捉えているのだから、真に一人を体感すべきでもある。その時はいつか来るかもしれない。
そして、あの人は、それを私よりも早く体感していた。
一人を感じることはネガティブな出来事かもしれないが、得ることもある。特に俺は、そう思う。重要なものを感じたり洞察できる可能性がある。それは自分にとって大いなる価値になる可能性がある。

俺は一人を人の本質としながらも、一人を十分に浴びていなかったようだ。
これからの一人が訪れる感覚を覚えた時、一人に慣れたあの人を思い出した。


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