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美人なくせに可愛くはない

年齢に見合った服を着ていきたい。

Instagramで大人っぽい服を着ている同級生を見てふと思った。そろそろ年齢に見合った服を着ていきたい。着ていかなければならない。

恥ずかしながら最近まで服というものに全く興味がなかった。犯罪者にならなければ良い、とTシャツにGパン(今なおこの呼び方をしてしまう)を重宝し、時にパーカー、時にトレーナーに頼り切っている。将来を共にする覚悟だってできていた。そもそも服を気にする余裕も時間もなかった、という言い訳もさせてほしい。

しかし可愛い洋服がこの世にはたくさん存在することに気がついた。Instagramの検索欄は外国人の面白失敗集から服に衣替えをした。

可愛い服にほんの少し興味が湧いたので、手始めに可愛い店に入ってみることにした。
店に入ると店員が寄ってくる。これがどうも苦手でできる限り“近づかないでよ!”のオーラを身に纏ってしまう。しかし、そんな(オタク直伝の)殺気はいとも簡単に溢れてしまう。まるでファイアーエムブレムの剣みたく。おしゃれなお姉さんが先制攻撃を仕掛ける。

「よく着るお洋服の系統はなんですか〜?」

洋服にも系統があるのか。キュート、クール、パッションか。だとしたらコレはなんなのか。私の好きな洋服はなにか。頭でぐるぐるぐるぐる。
テンパっていると店員さん次の話題を仕掛けてくる。

「お姉さん、全身黒だからなにか拘りあると思って〜」

非常に申し訳ない。ファッションセンスに自信がないため一着で着られるワンピースと、安心して着られる黒しか持っていないだけだ。拘りもクソもない。むしろ拘らないからこうなっている。お姉さんの気遣いが私をさらに追い詰める。もう中破ほどになっているに!

「家にどんな服があるんですか〜?」

ほとんど同じ黒のワンピースしかない。そもそも何が家にあるのか全く思い出せない。頭の中のタンスをひらけばまっくろくろすけ出ておいで、である。出ないとお前の上腕二頭筋を捻り潰すぞ!助けてくれ。服を着るためだけにこんなに追い詰められなければならないなんて。大破、大破である。沈んでしまう(気持ちも)前に退散することにした。どうやって逃げ帰ったのか、あまり覚えがない。

今だに服の正解がわからない。フリルを斜めに掛けるファッションが流行った時は正気かと怒り狂った。ビスチェ?食べられるのかと思った。デコラが出てきた時は正直可愛いと思った。これ以上惑わせないでほしい。正解なんてない、ではなく、正解をください。
冒頭にも戻るが、そろそろ好きなものを着るだけではいけないような年齢になってしまった。フリフリは好きだし、スカートも好きだ。でもそれだけではダメだ。もっときちんとしていかないと。私は大丈夫な人間ですという名刺を、服から差し出していかないと。

オススメのファッション、私の服の系統、店でも戦える装備を教えてください。
貴方の好きな服装をこそっと教えていただいても嬉しいです。それになるつもりです。好きになってください。可愛いって思ってください。よろしくね。

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