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テックメディアはどう作る?ーー動画メディアbouncyとCNET Japan編集長に聞く「スタートアップとの対話方法」

朝日メディアラボベンチャーズは、スタートアップメディア「BRIDGE」とスタートアップ広報向けのイベント「スタートアップPR Day」を共催しています。

メディア企業に由来を持つVCだからこそ実現できる幅広いつながりを生かし、毎月様々なメディアからゲストをお招きして業界のリアルをお伝えする「Media Talk」のコーナーを企画しています。

初回ゲストは、動画メディア「bouncy」の津田啓夢編集長とCNET Japanの藤井涼編集長。モデレーターを弊社パートナーの山田正美が務め、それぞれのメディアの特徴や企画立案の裏側、リリース情報のポイントをメディア掲載につなげるためのコツ等、「メディアのアレコレ」をご紹介しました。

本稿ではイベントの様子をポッドキャストにてお送りします。noteには内容の一部を書き起こしにて公開します。


bouncyとCNET Japanってどんなメディア?

CNETJapanとbouncyはどういった特徴のメディアでしょうか

CNET Japanウェブサイト

藤井:CNET Japanの特徴としては、国内外の最新のテクノロジートレンドで、いわゆるGoogle、Amazon、Facebookといったものも取り扱うのですが、メタバースとかドローンとかモビリティといったキーワードで最新のテクノロジートレンドも取材しています。一方で、クロステックと言われる領域の不動産テックやフードテックなど、これからテクノロジーでイノベーションが起こってくるような業界にも注力して取材をしています。

津田:bouncyは「未来を感じる動画メディア」というキャッチフレーズでやっておりまして、基本は動画です。特徴として動画であることと、普通はメディアってウェブサイトにお客さんを集めてそこで見てもらうというやり方をするんですけど、僕らは分散の思考なので、基本的に「 みなさんが見ているSNSに僕らがいますよ」という状況を作ることをやってます。 ウェブサイトも分散先の1つという捉え方で、僕らは「100万人以上フォロワーがいます」ということを言ってますね。

未来を感じるものだったら、例えばテクノロジー領域もあればアートとかもありますし、単純に暮らしが良くなるものを紹介したり、新しいチャレンジをしたいとか、これまでの価値が動くようなことをやってる人をどんどん取材していくという感じですね。

bouncyは分散型メディアのため各種ソーシャルにて動画を配信している。ウェブサイトもそのひとつ

想定している読者層は

藤井:想定読者というのもあるんですけど、媒体属性として実際の読者にはこういう人がいますというところだと、6割以上が一般の社員の方というよりは部長さんや役員の方、社長といった経営層で、意思決定の権限を持っているような方が多いですね。

企業の幹部クラスの方々向けのメディアですね

津田:bouncyはSNSが中心ということもあって、SNSのユーザーとリニアな部分もあるんですけど、全般的に言えるのは都市生活者、東名阪札福と言われるような都市に住んでいる人が多いです。男女比で言うと男性の方が比較的多いです。ただ、そのSNSをどういう人が使ってるかにもよりますし、どういう動画を出したかによっても反応が違うので、そこは結構ばらつきがあるかなという感じですね。

どちらかと言うとビジネスマンというよりはコンシューマーでしょうか?

津田:コンシューマーで、何らかのアイデアを求めてる人が「へぇ」「なるほどね」って言いたいけど、テキストを読むのって結構億劫だったりもするので、寝る前に見れるということを意識しながら作ってます。

メディアの「編集方針」どう決める

写真左から:CNET Japanの藤井涼編集長と動画メディア「bouncy」の津田啓夢編集長

コンテンツや記事、動画をどうやって制作しているかについてお聞かせください。動画のメディアってどうやって作ってるんだろう?と思うんですが、bouncyはどういう体制で作っていますか

津田:体制としては多分普通のメディアと一緒で、編集長、副編集長、という感じですが、動画を作るっていうことが普通のメディアとは圧倒的に違うところです。実際に僕らが手を動かして撮影することもありますし、海外の企業さんが多いんですが、企業さんが持っている動画を素材としてもらって、それを使わせていただく許諾を取ってbouncy風にアレンジしたりしています。

僕らはテンプレみたいな形で動画を作れるようにしているので、動画をスキルとして持っていない人や学生の子たちが動画を作っていたりもします。そんな形で今、クリエイターを増やしています。

CNET Japanさんの役割分担はどうされていますか?

藤井:私が編集長で、副編集長、国内編集部、海外の記事を翻訳するメンバーという体制です。いわゆる新聞とかテレビのように分業する余裕が ウェブメディアには基本的にないので、自分で取材して撮影もして、記事編集して公開まで全部1人でということになりますね。

取材する・しないとか、記事にする・しないという判断や意思決定みたいなところは、個人の方にどのくらい裁量があるんですか

津田:ぶっちゃけちゃうと、たくさん金使う時は絶対俺に通してねって(笑

海外から「こういうネタが面白そうだからやりたい」とかっていうのはいちいち言わなくて良くて、その代わりに僕らは大体こういうお客さんというペルソナを6人くらい設定しているんです。さらに、実際のユーザーさんにインタビューして「こういう人」っていうのをイメージしやすいようにしてるんで、そこのところで誰に当ててやるの?っていうことだけを意識してやってれば後は自由です。

藤井さんはどうですか?

藤井:基本的には自由です。さっき言ったようなクロステックの領域って、モビリティとかドローンとかメタバースだったらいろんな領域で別要素として関わってくるので、みんなはなんとなく分かるんですけど、教育を取材してる人には金融の話はさっぱり分かんないんですよね。

なので、もうそこはそれぞれプロ意識をちゃんと持ってもらって、一応媒体方針としては、さっきの津田さんのような感じでペルソナを設定してますし、媒体としての方針というのもあるので、それに合っていればどんどん取材してよいという感じです。

企画会議や編集会議はどのくらいの頻度でされていますか?切り口をどういう風にして決めてらっしゃるのか、外から見るとブラックボックスなのでその辺をお伺いできると嬉しいです

藤井:雑誌みたいに毎月ちゃんとテーマを決めてチームでやってますみたいなのは、もちろん少人数では全然できなくて、編集会議でみんなで決めていくというよりは、私が編集部のメンバー全員と月に一度、一人当たり30分の1on1を必ず入れるんですね。そこでどういうテーマに関心があるのか話をして詰めることも多いです。

bouncyはどうですか?

津田:最近は月1回みんなでZOOMで集まるっていうのがあります。企画を報告してもいいし、しなくてもいい。個別にこういう企画をやろうと思うんですけど、と地ならしした上で出す人もいますけど、基本的には未来を感じるっていうキーワードにどう当てるのかがうまくできていれば、とやかくは言わないですね。

自主性に任せるみたいなところが強いんですね。

津田:自分が興味を持っているところが一番楽しくできるじゃないですか。楽しくできて時間を忘れるっていう風にしないと、コンテンツとして魅力的にならないし熱量がないので、ちゃんとコンテンツに熱が乗るようにってことは意識しています。つまんないんだったらやんなくていいって言っちゃいます。

メディア掲載のためのスケジュール

モデレーター:朝日メディアラボベンチャーズ・パートナー、山田正美

みなさん忙しくて、取材に必要な時間もあると思います。情報提供はどのくらいの時間を見ておくのがいいのでしょうか

津田:ぶっちゃけると、その取材対象がすごく熱いんだったら1時間後に出せるんですよ。動画で。そこはbouncyのお客さんにとって「これが熱いぞ」っていうものだったら急いでやることはできる体制ではあります。ただ、本当にそこまで労力をかけるのか?っていうのは事前に分からないので、こういうネタですというのを何となく教えていただけたりすると動きやすいですね。

2週間ぐらい前に言ってもらえると、動きやすいのは確かです。どこか地方に取材に行くとか、1回の取材では終わらないとかだったら1カ月前くらいにふんわりとこういうリリースが出そうと言ってもらえるとやりやすいです。

藤井さんはどうですか?

藤井:どういうアウトプットにするかによって違ってくるんですけど、普通に「プレスリリース出すのでストレートニュースにしてほしいです」というものなら別に当日の朝でもいいです。基本的に私もメッセンジャーでくるので、前日の23時とかにリリースが来て、これが最終版ですとか普通にあります。

結構多いのは1週間ぐらい前に一旦ドラフト版のリリースを送っていただいて、それを担当に送って予定稿を作っといてみたいな感じですね。そうすれば担当記者もそんなにストレスにならないで仕上がる。これが一番よくあるパターンです。取材までお願いすることになると、すごくありがたいのはやはり2週間ぐらい前にいただけるといいです。まあ1週間前でも担当が空いていれば行けることもあります。

セッション全ての様子はポッドキャストで公開中です。スタートアップの広報・PR担当の方はもちろん、兼務している起業家、経営者のみなさんもぜひ参考にしてみてください。

次回のMedia Talkは、ABEMA Prime チーフプロデューサーの郭晃彰(かく てるあき)さんがゲストです。ユーグレナやWOTA、アクセルスペース、アソビュー、Zealsなど、テック領域の取材もされている郭さんにお話を伺います。


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