女が日本に生きる価値を失っているので海外逃亡したい
日本がヤバい。
数年前からひしひしとそう感じてきた。
強い人たちは言う。
「世界のどこでも、良いところとそうじゃないところがあるよ」
「日本だけがヤバいんじゃないよ」
それはそうだろう。正しいと思う。でもわたしは日本がヤバい話をしたい。
世界がヤバいから日本もヤバくて当然とか、それでいいとか、そういうことではない。
とくにこの数年、様々な日本のヤバさを目の当たりにしてきた。
ブラック企業に勤めた社員の自殺。多様性を認めない社会。医療、介護業界の劣悪な待遇。保育園が足りない。LBGTへの差別的発言。男女差別。パワハラ。セクハラ。
世界のどこであっても起こりうる問題、或いは世界のどこかではそれが異常とされる問題。
わたしが一番ヤバくて受け入れられない問題の話をする。
性犯罪とそれに対する社会の反応だ。
痴漢、レイプ、仕事を紹介する代わりに性交渉を求められる。
何度もニュースになり、そのたびに女性がSNSで怒り狂ったり、男尊女卑に肯定的な男女が被害者を弾劾したりする。
先日はAKB系列のアイドルが殺されるかもしれない怖い思いをした。
昨年は未成年が壮年のジャニーズアイドルからキスを迫られた。
地下アイドルがファンから刺された2016年の事件はもう忘れてしまった人も多いだろう。(これは性犯罪ではないが…)
その程度なのだ。日本に暮らす多くのひとにとって、女性が性犯罪被害者となるということは。
そして、多くの場合、性被害を受けたことを告発した女性は、実際に被害を受けたことがなかったり、または被害に傷つかないように生きている心無い様々な人間から袋叩きに遭う。
警察に被害を訴えてもまともに扱われなかったという話がいくらでも出てくる。
昨年カナダ人女性が都内で痴漢被害に遭い、ひどいセカンドレイプを受けたという記事を読んだ人もいると思う。
わたしは、こと性犯罪において、犯罪者が守られ、被害者が殺される社会に生きている。
わたしは怖い。
わたし自身は、性犯罪やセクハラの被害は多くはない。しかしゼロではない。
比較的派手でナメられにくい外見や立ち居振る舞いをしているので、気の弱い地味な女性よりは被害に遭いにくいとは思う。
しかし今後、出産して、子どもがこの世界で生きていくことになったとき、果たして守りきれるだろうかと思った。正直まったく自信がない。
犯罪は決して無くならない。しかし、犯罪に対する日本社会の危機感はあまりにも低い。
身体が傷ついていなければいい?レイプされても死ななければいい?もちろんそんなわけはない。
望まない相手に身体を触られるときの気持ち悪さ。精神が確実に傷ついて摩耗している。性犯罪被害者は、少しずつ殺されている。直接の加害者の手によって、または、心無い他人からのセカンドレイプによって。
被害を受けたことのある多くの女性はその手口の醜悪さを知っている。しかし多くの男性には残念なことに伝わっていないと感じる。まともな男性はこう思っているかもしれない。
「自分は痴漢やレイプ願望は無いから加害者になることはなく無関係で、それよりも自分が被害者になりうる痴漢冤罪のほうが怖い」
この気持ちはわかる。少なくとも自分自身にとってはそうなのかもしれない。
これを読む男性がいるのかはわからないが、あなたに異性の家族はいるだろうか。母親、姉妹、妻、娘。誰でもいい。あなたの家族や恋人は、いつどこで性被害に遭っていてもまったくおかしくない。
70代の女性ですら性被害の対象にされることはある。3歳の女の子でも然り。
彼女たちが被害に遭ってから性犯罪を憎むのでは遅すぎるのではないか。
女性が被害を受ける性犯罪は加害意識のない男性にも無関係ではない。犯罪が無ければ冤罪は生じない。
話が逸れたので男性に対しての発言はこれで終わる。どこかで女性が困っていた時に思い出して助けてあげてくれると嬉しい。
しかしこの程度のことは、きっと日本に住む多くが考え、理解していることだと思う。
何年も何年も、何人もの女性が発言し、発信し、自分の顔を公にする危険性を冒して、戦ってきてくれた。
それでも大して世の中が変わっていないということがヤバい。
よくTwitterで日本の欠点とそれを改善する海外の利点を挙げる話題に、「そんなに日本が嫌なら出ていけ」「海外に住め」「海外在住の癖に日本に口出すな」などの野次が見られる。
まったくその通りである。
わたしには日本社会の性犯罪に対する反応の鈍さと犯罪者を保護する寛容さが他の何よりも受け入れがたい。
だから海外への逃亡を企てる。
今後数年で、少なくとも性犯罪を社会が許さず、警察が正しく機能し、性犯罪被害者に同情や憐憫や適切な身体と精神へのケアではなく罵倒が投げかけられることのない世界を探す。
これは完全な見切り発車だ。そのためにいくつかの障害はあるだろう。
たとえば、いまのぬくぬくゆるい半ニートみたいな仕事を捨てなくてはならないかもしれないし、
湯船に毎日入れなくなるかもしれない、
日本ほど毎日の食事がおいしく食べられないかもしれない、
生活費や医療費が高すぎるかも、
Wi-Fiが遅くて困るかも、
娯楽の選択肢が減るかも、
言葉の壁もあるだろう、
もちろんお金もたくさん用意しなくてはいけない、
苦手なことをたくさんしなくてはいけないかもしれない。
それでもわたしはその他の何よりも、
将来子どもが生まれて万が一性被害に遭って、
それを告発すれば被害者なのに真偽を疑われ、
罵倒され、
謝罪を求められたりする世界で生き続けるよりは遥かに良い選択だと今は信じられる。
今後も日本脱出計画について書いていけたらと思う。
どうかわたしの原動力になっている恐怖が薄れて、この異常で耐え難い社会を受け入れてしまわないようにと願う。
(いつか日本がもっと性犯罪を憎む社会になってくれたら、それはとても喜ばしい)