選手主導は簡単でないから、強い
夏の甲子園、慶應義塾高校が勝ちましたね!
そこで、注目されているのが、選手主導の練習。
練習とは、やらされていては意味がないと思うので、選手主導とはものすごく大切なことだと思います。
では、バレーボールで選手主導の練習をする際に大事なことは何か。
私は、まず選手自身が自分のプレー、あるいは戦い方など、現状に疑問を持つことが必要だと思います。
なぜ、アタックが決まらないのか。
なぜ、レシーブが上がらないのか。
なぜ、勝てないのか。
この「なぜ」と感じることは、選手のスキル向上にものすごく大事な要素であると思います。そして、この疑問というのは、自分で解決してこと、自分のスキルへと繋がると思います。
そして、指導者はこの「なぜ」の答えに上手く結びつくよう道を整えてあげることが重要であると思います。ついつい色んなことを伝えてしまいたくなりますが、簡潔に伝えてこそ、選手の頭の中にインプットされます。
最初から答えを教えないからこそ、選手自身が考え、自分になにが足りないのか理解することができるのだと思います。
選手は、一人の人間であり、他の誰でもありません。
その人の可能性を引っ張り出してこそ、優秀な指導者と言えるのだと思います。
では、選手のスキルを向上させるためには、どのようにして、自分自身を分析していけばいいのか。
仮説を考える
まず、最初に練習を始める前段階として、自分のやりたいプレーをイメージします。
例えば、アタックを打つ際に、今までの助走を変えてみるとします。助走一つにしても、沢山の入り方があると思います。相手のブロックをだます助走をするのか、自分が一番ジャンプできるような助走をするのか。どのような助走が自分にとってベストなのかを考えます。
そして次に、考えた助走で入ることで、ディフェンスがどう動くか仮説を立てます。
この仮説を立てることによって、実際練習した際に、得られるスキルというのは大きく変わってくると思います。自分で仮説を立て、その結果が上手くいけば自信へと繋がり、失敗となれば、なぜ失敗したのか理解することができます。失敗を理解できれば、同時に改善策も見つけることができると思います。つまり、失敗を失敗のままに終わらせないために、仮説を立てる必要があるのだと思います。
実験開始
では、事前に考えた仮説を立証していきます。
練習は、実験です。実験は、失敗してもその失敗を得て、サイド実験を繰り返すことで、新しい発見を得ることができます。
ここで、指導者が失敗を攻めてしまうと、その実験は途中で終わってしまい、新たな発見があったかもしれませんが、その発見を見つけずに終わってしまいます。
どんなに失敗しても、自分の考えた上での失敗は、必ず成功に生きてくると思います。
練習でできないことは、当然試合でもできません。だからこそ、練習でいかに自分のできないことにチャレンジするがスキルアップには欠かせないと思います。
フィードバック
では、練習後、仮説を考え実験を行ってみた結果、どうだったのかをフィードバックします。ここで必要なのが客観的視点です。プレーを客観的に見ることで、きちんと自分の現状を把握することができます。
客観的な視点は、ビデオで自分のプレーを撮るなどして、見ることができます。この客観的視点をもとに、自分の改善点を探し、次に生かしていくのです。
やりっぱなしというのが一番、もったいないです。
このフィードバックを行うことで、しっかり自分のプレーをインプットすることができます。
インプットをしなくては、せっかく練習したことも次の練習には忘れてしまい、練習が積み重なっていきません。誰であっても、忘れることはあります。そのため、忘れないためにも、毎日少しずつフィードバックをし、積み重ねていかなくてはいけないのだと思います。
練習以外の時間が勝敗を分ける
誰であって、練習の時はみんな頑張ると思います。では、チームでレギュラーに入る人と入らない人、試合に勝つチームと負けるチーム、どこで差がつくのかと考えたとき、私は練習以外の時間で差がつくと思います。
そして、練習以外の時間で、自分自身をどれだけコントロールできているかが、選手自身の意識の高さに繋がると思います。このように意識が高い選手は、練習といって、拘束する必要もありません。
効率のいい練習とは、まず選手の意識の上に成り立っているのだと思います。練習を行うまでの準備ができているため、少ない練習時間で成果を得ることができるのです。
効率化を図って、ただ練習時間を短くしても意味がないと感じます。練習を効率化するのであれば、それなりの準備が必要であると思います。
考えることが勝利への近道
試合で戦うのは、選手自身です。
どんなに指導者がアドバイスをしても、最終的な判断は選手がするのです。やらされている練習しかしていない選手は、肝心な場面での判断ができないと思います。しかし、日々考え、練習を行っている選手は、その肝心な時の判断が優れています。つまり、勝負強い。
慶応義塾高校が今回、優勝したのは、選手一人ひとりにこの勝負強さがあったのではないかなと思いました。