おばあちゃんのちらし寿司
おばあちゃんが亡くなった。4月末のことだった。
痴呆がすすんで施設に入ってたおばあちゃん。それでも、会いに行くとちゃんと私のことも旦那くんのことも、もちろん子供たちのこともわかってくれてた。娘の名前(お花の名前)だけは、違うお花とよく間違えてたけれど。
ほーかほーか。よーきたのぉー。ありがとう。いつもかけてくれた言葉。
いつもと言っても、おばあちゃんに会いに行くには少し遠かったこともあって、行けても年に1、2回。ここ最近は、子供達の予定も詰まってて、なかなかスケジュールが組めておらず。
でも、行くと必ずこの言葉をかけてくれた。こんなに喜んでくれるなら、頻繁に会いに行かなきゃなー。と思ってた矢先、コロナ。コロナ。コロナ。
コロナ対策で、面会が出来なくなった。必要最低限の面会のみ。昨年は、高齢者施設のため、かなり厳しく制限された。
誰も会いにきてくれないとおばあちゃん、寂しいだろなー。と心配した。食事も各自の部屋でもなってたらしい。
そんな中で生活してたから、少し落ち着いて、母が面会行った時にはもう、痴呆がかなり進んでしまってた。実の娘(母)のことさえわかったりわからなかったり…コロナがなければ……と憤りを感じた。
今年の始め、私たちが会いに行った時は、ガラス越しの面会だった。私たちは中に入らせてもらえなかったのだ。
その面会がものすごく寂しかった。おばあちゃんはもっと寂しいだろうなー。と思った。
亡くなる1週間前、面会は1日2人まで。指定の時間で。15分のみ。という条件の中、私たちも一目会いに行っておこうと、予定を立ててた前日、母から、LINE。
今朝、おばあちゃんが息を引き取りました。
あー。会いに行けなかったかぁ。
不思議と悔しさや寂しさよりも先に、良かったな。と思った。心は穏やかだった。もちろん寂しさもグッと押し寄せてはきたけど、よくわからないまんま生きてるのってとても悲しい気がしてたから、会えなくても、おばあちゃんが楽になったのが一番嬉しかった。
タイミングよく、会いに行く予定にしてた日が葬儀の日だったから、ゆっくり見送れたし、その日はなんとも素晴らしい、雲ひとつない晴天。暑くもなく寒くもなく、とても気持ちの良い風が吹いていた。
おばあちゃんの人柄だなーって。つくづく思った。痴呆がすすんで、わからなくなっても、会う人会う人にありがとうと言ってたおばあちゃん。
最後は、痩せてたし、痴呆で表情も変わってたけど、おばあちゃんの姿を思い出すと、笑顔で出迎えてくれた元気なおばあちゃんしか出てこない。笑顔が可愛いおばあちゃん。ちょっぴり甘めで具沢山なちらし寿司をいつも作って出迎えてくれたおばあちゃん。お嫁さんと犬猿の仲だったおばあちゃん。それでも一緒に暮らしてたおばあちゃん。会いに行くといつもお小遣いをくれたおばあちゃん。いろんな苦労をしてたのに、いつも笑顔で迎えてくれたよね。おばあちゃんの方言が大好きだったな。
今までありがとう。これからもずっと空から見守っててね。時々、娘の名前を間違えながらね。
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