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【詩】夕立

夕立 いつかは降らなければ良い
だんだんと強まる雨足 好きになれなかった
びしょ濡れになった セーラー服 襟もスカートも 
ぐしゃぐしゃになった 時間かけてセットした髪型
最悪だ と普段の四分の一のボリュームで呟いたとて
それで 即座に ピタッと 降り止む訳でもないし

夕立 いつか消滅してしまえ
遠くで聴こえる雷鳴の轟 寿命が縮まりそうな心地
肌にべったりと張り付いたシャツ 心底気持ち悪い
あんなにきれいだった空の赤紫も橙色も薄紅色も どす黒くなっちゃって
まるで うっかり墨をぶちまけたような感じ
急いた歩幅は 上手なバランスをとれないまま

夕立 いつかの記憶を呼び起こす
窓辺から眺めた景色という景色の全て
なんだか 全身を震わせ、わななかせ 泪が伝っているよう
誰かの泣き叫ぶ音の粒が エコーして 私の心に伝染しそう
透明なガラスに映った 私の頬に 空の落涙が張り付いている
ありふれた黄昏時 込み上げた 感情の切れ端を 押しやった

 


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