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コロナ禍で失職した話
こんにちは、今日は初めてエンジニアとして毎日楽しく働いていた日々から奈落の底に突き落とされたときの話をしたいと思います。
2020年1月、晴れて私はフロントエンドデベロッパーのインターンとして開発者のキャリアをスタートさせました。職場はオランダのビール会社ハイネケンの傘下であるベンチャー企業Beerwulf、ビールのオンラインショップを運営しているEコマース企業でした。
フロントエンドチームは、ヘッドであり私のメンターでもあったシーグ🇿🇦、UXデザイナーのアマンダ🇨🇦、プロダクトオーナーのアダム🇹🇼と私🇯🇵の4人で国際色溢れるメンバーです。アダムはニュージーランド育ち、他2人は言うまでもなく英語ネイティブなおかげで私の下手くそな英語でもちゃんと理解してもらえて助かりました🙏
2020年はちょうどフロントエンドチームが開発チームから分離したところで、フロントエンドをより強化していくという方針のもと私がインターンとして採用されました。社内のデザインガイドラインの刷新も始まり、私にとって最初のプロジェクトはアマンダの作ったデザイン案をコードに落とし込んでいくことでしたが、当時はCSSをいじるのが一番好きだったので一日中SCSSに触れる生活を何週間もできて天国のようでした。
そしてやはりEコマースの楽しいところは、消費者の目を引くようなカラフルな配色と自分の仕事がすぐに目に見えること。毎日が新鮮で充実していて、常に新しいことを吸収していきました。
デザインの刷新が終わると次はコードのリファクタリングと最適化。私は実はリファクタリングも大好きなのです。特にSCSSコードを200行削減できたときは達成感でいっぱいでしたし、JavaScriptのリファクタリングもたくさんやらせてもらえました。そして、コードのリファクタリングがいかに大事かというプレゼンを社長のいるミーティングでさせてもらえる機会がありました。最適化はHTMLをひたすらバリデーションし、エラーを潰していく作業です。エラーフリーのコードでファイルサイズがこれだけ減って、サイトがこれだけ速くなったよっていうプレゼンもしました。そういえば。
だいたいこの辺で6ヶ月間のインターンも後半を迎え、終わりまで残り1ヶ月半を残した頃シーグから突然電話がありました。
「インターンはいつまで?実は君にフルタイムのポジションを用意しようと思っているところなんだ。一応それが君の希望かどうか知りたくて」
WOOOOOAAAAHHHHHHHHHH!!!!
って叫んだと思いますよ。たぶん。そのとき私もパートナーも在宅だったので、彼と一緒に相当喜びました。このまま好きな職場で働き続けられるのは嬉しいし、自分の頑張りが認められたことはもっと嬉しい。
「ただし、今はコロナのせいでハイネケンが採用を凍結しているからまだ確定できない。でも君の場合はすでに社内で働いているし何とかなると思う」
と一応但し書きが。ちょっと引っかかるところはあるものの、やはりインターンではなくフルタイムの社員になれるのは本当に嬉しいこと。その後の仕事にもより一層気合が入りました。
次のプロジェクトはA/Bテスト。
A/Bテスト(英: A/B testing)とは、主にインターネットマーケティングで行われる、施策判断のための試験の総称である。
つまり、通常のサイト(Aパターン)とテストしたい部分を変えたBパターンのサイトを50%ずつの確率で流し、結果を見るというものです。A/Bテストを考えるのはUXリサーチャーの仕事で、彼らが考えたテストを私が実装しました。Qubitというツールを使い、変えたい部分(ボタンの色やキャッチコピー、背景写真など)を編集して通常サイトに埋め込む作業です。このツールはGoogleアナリティクスに連携してあるので集計されたデータをUXリサーチャーが見て、結果次第で本番のサイトに取り入れるかを決めています。また、Qubitは振り分けの確率を自由に決められるので次のリリースまで待てないバグは100%にして修正していました。このA/Bテストの作成もとても面白くやりがいがありました。
これとほぼ同時進行で、もうひとつ面白いプロジェクトがありました。コンテンツチームはCMSを使ってブログ記事を書いたりプロモーションページを作ったりしているので多少のHTMLを編集する機会があります。ただし、彼らはコンテンツのプロであってコーダーではないのでフォントの不揃いが見られ、またUIコンポーネントの誤用によりデザインにバラつきがありました。そこで、HTMLタグを適切に使うことができるようそれぞれのタグの役割やページ内で使って良い部分(例えばH1タグは記事内に一つのみで、ページの最上部)などを全てまとめたExcelシートを作り、ドキュメントも書くことにしました。まずはアダムにコンテンツチームのメンバーを呼んでもらい、HTMLタグやコンポーネントについて知っていること、知らないことを理解するためにヒアリングから始めました。そして、アマンダが作ったデザインガイドラインに沿ってコンポーネントやSCSSの設定を直し、タグとコンポーネントの使い方を全てドキュメントに書き、それに従うと美しいUIができるようにしました。とてもとてもやりがいのある仕事でした。
さて、インターンもあと2週間という頃またシーグから知らせがあります。
「実はこれまで上層部とずっと交渉を頑張ってきたんだけれど、ハイネケンからどうしても許可が降りなかった。だから君を採用することができなくなったんだ。本当にすまない」
えええええええええええ😱
そのとき私は悔しくて悲しくて、仕事中だったけどわんわん泣きました。最後の2週間、どうしていいか途方に暮れる日々。とはいえ何もしないわけにはいかないので仕事を探し始めることにしました。シーグはとても熱心にいろんなことを教えてくれ、最終日の前日まで交渉を頑張ってくれましたがそれでも叶わず。インターンが終わっても次の仕事が見つかるまではメンターでいてくれるというありがたい提案をいただき、私は6ヶ月のインターンを終えました。
実はフルタイムオファーがおじゃんになった次の日、プログラミングスクールで仲良くなった友達に誕生日メッセージを送ったのです。そして近況報告で仕事がなくなったことを伝えると
「私の職場で今募集しているけどSAP開発で良ければ受けてみる?」
と思いもしなかった返事が。すぐさま彼女に私の履歴書を送り、とんとん拍子で面接が決まり採用されました。不思議な運の巡り合わせのおかげで同じチームで一緒に働き始め、今に至ります。できることならまたBeerwulfに戻りたいと思ったこともありましたが、その後数ヶ月以内にフロントエンドチームが一人残らず転職したのでもう悲しくありません。
最後までお読みいただきありがとうございました。本当は悲壮感たっぷりの暗い話にしようと思っていたのですが、ただの思い出話になってしまいました。私のためにインターンのポジションを作って採用してトレーニングまでしてくれたシーグには感謝してもしきれません。
👉私が学んだ教訓をここに記しておきます
✅ 卵は一つのカゴに盛るな
投資の鉄則として有名な言葉ですが、口頭でのオファーを100%信用せず仕事探しをすればよかったと思いました。
✅ 働いている会社にどれだけ決定権があるか知る
私の場合ハイネケン傘下のベンチャーのスタートアップフェーズだったため業績は上がっていてもまだ赤字で、どんなに採用したくてもハイネケンがダメと言えばダメでした。
✅ 人とのつながりを大事にする
そもそもインターンができたのはイベントに顔を出してたまたまシーグに出会ったからであり、今の職場で働けているのは友人に誕生日メッセージを送った成り行きで募集していることを知ったからです。私のオランダでの仕事は完全にコネです。