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【スイス・日本人がフランス語の現地校へ】 10.子連れスイス生活 4つの良いこと・悪いこと第2回(半年後)
渡航して直ぐに感じたスイスの良いこと 悪いこと3つの記事を投稿してから約半年が経過しました。当時とはまた異なる視点や発見も出てきたので改めて良いこと、悪いことを今回は子育ての視点も踏まえ記載してみたいと思います。(内容は全て個人的見解です)
スイス生活 良いところ
1) 治安・安全
当初と変わらず日本にいた時と変わらない感覚で日常生活を過ごせています。夫が秋休みに入院した際も、子供2人と筆者の3人で電車で遠出をしましたが、電車もバスもほぼ定刻、特に危険を感じることもなく行くことができました。隣国のフランスであればスリを気にしたり、ドイツであれば電車の遅延もかなり多い事情を鑑みるとスイスの治安面は子連れ家族にとっては安心できる環境であることは間違いありません。ちなみに筆者は夏休みにフランス&ベルギー旅行の際、ブリュッセル駅のエレベーター内で鞄を開けられスリ被害に遭う手間のところでした。その時は、子供達のリュックサック2つを両手に持っており自身のショルダーバックへの注意が薄れているまさにその時でした。(スイスに戻ってきた時にホッとしたのを覚えています。)スイスは空き巣は頻繁にあると聞きましたので日常生活において最低限の注意は払っています。
2)教育・多様性
前回はまだ子供たちの学校が始まっていなかったので記載しませんでしたが、スイスの学校は多言語国家だけあってスイスの母語(フランス語やドイツ語)が話せない子供たちの受け入れに慣れています。そして現地校には欧州を始めとした多国籍の子供たちで溢れています。そのせいか子供たちは異なる文化や国籍の受け入れにとても寛容な印象を受けました。筆者が住む地域や子供たちが通う学校にアジア人はかなり少ないのですが、今のところ息子や娘が差別発言や対応を受けたことはなく、逆に息子は日本語を書いて!と頼まれたりと、学校生活を通じて多様性を学び、自身が日本人であることのアイデンティティを育む環境で生活ができていることは他言語を学ぶ以上に貴重な機会だと思っています。
もう1つは、カントン(州)によって制度は異なりますがVaud州(ヴォー州)は日本でいう年中にあたる4歳から義務教育が始まります。学年の区切りが8月〜7月のため日本で年少だった6月生まれの娘も学年が繰り上がり義務教育1年生としてスイスの現地校生活をスタートさせました。学校は半日、遊びがメインであるものの自分の名前や数字を書く練習も少しずつ始まります。そして年長にあたる1つ上の学年2Pと合同クラスのため上級生が1Pの子供達のサポートをしてくれます。この2年を経て小学校1年にあたる3Pに進級します。スイスで幼稚園の2年間が義務教育になったのは、家庭環境や言語のバックグラウンドが様々な子供達が3P(小学校1年)への進級をスムーズに移行させるための小1の壁対策だそうです。日本では、保育園・幼稚園の選択に悩んだり、小学校の急激な環境変化に親子共々苦労をすると聞いていたのでこの制度はとても有効的だと思いました。
3)デジタル環境
このタイトルだけを見ると「全てが日々の生活の中でデジタル(IT化)されていて便利な国だ!」と思うかもしれませんが、スイスは想定以上にデジタル化がなされていません。スイス移住時に様々な手続きを行いましたが申請後の連絡は基本的に”郵便”です。学校からの連絡も手紙が原則、連絡帳も手書きです。以前、小児科の先生が子供たちの母子手帳の解読に困り全てをコピーしようとしていたので、スマホのGoogleレンズの翻訳機能を教えてあげたところ病院中の職員が驚愕していたりと、スイスのデジタル環境は途上の過程ではあるようです。
なぜ「良いところ」に記載したか?答えはこのような環境が影響しているのか小学生ぐらいの子供で個人の携帯電話を保持していたり、スマホをずっと眺めているような光景はほとんど見ません。このトピックについてインド人とアメリカ人と話したのですが、彼らの国と比較してもスイスのデジタル環境は支配されていない(明らかに少ない)ということを話していました。バスや電車の公共機関でもスマホを子供に見せている親も稀にいますが多くはありません。学校の授業で音楽を聴いたりする際はパソコンを使うようですが、スイスの公立学校にタブレットの個人支給がなされるということはだいぶ先の話になるのかと想像しています。冒頭に記載したように生活において不便な点もありますが、子供の視点から見るとデジタル環境に染まっていないところは(今のところ)利点として考えています。
4)欧州の各国に触れる機会
スイスにいるとヨーロッパの他国に容易に行くことができます。ローザンヌから最も近いのはフランスの水で有名なエビアンという街なのですが、船で30分もかからず行くことができます。また格安エアラインも複数あり、ジュネーブ空港からはeasy jet を利用し欧州や中東、アフリカの様々な都市に行くことが可能です。日本からなら行きづらい避暑地の島も多くあります。学生時代欧州含め世界を旅しましたが、改めて見てみると欧州の各国・都市の文化や歴史、人々の生活は異なり、それらに子供たちと触れる機会があるのはスイスに限らず欧州に住んでよかった点だと思います。我が家は、夏休みにパリオリンピック旅行(ナント、リール、パリ、ベルギー)と北欧船横断旅行(スウェーデン、フィンランド)に行き、フランスの複数都市には船や電車で何度か行っていますがフランスは主に食品の買い出しがメインです。特に北欧旅行で大型船バイキングラインでの宿泊や食事をした思い出が印象に残っているようです。
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スイス生活 悪いところ
1)食事(魚)
我が家は日本では魚を多く肉は豚肉を食べ、牛肉や鶏肉は積極的に摂らない生活をしていました。理由は、夫の健康の点、環境に関するドキュメンタリーを見たこと、子供達がシーフードが好きだったからです。
スイスは海がないので魚の選択肢もかなり少なく、スーパーに並んでいるのはサーモンか白身のタラがメインで青魚はほとんどなく鯖の缶詰があるくらいです。更に物価高のスイスで魚や肉は特に高価です。肉に関しても鶏肉>牛肉>豚肉の順で多く販売されています。
魚を含むシーフードはフランスやスペインに旅行をした時に食べると決め普段はほとんど食べていません。たまに鯖の缶詰を使ってパスタを作ることはありますが、魚の摂取のハードルが高いのはスイスで生活していて不便に感じることの1つです。
ちなみに肉は豚ひき肉を買って豆腐と混ぜてつくねを作ったり、豚のロースを塩麹につけて野菜と焼いたりしています。子供たちが学校を頑張ったご褒美に唐揚げも作りますが、こちらでは鳥胸肉がメインで鳥もも肉は骨付きで販売しています。(一部のスーパーのみでもも肉の骨なしが売っていますが歩いて30分以上かけて買いに行く必要がありとても疲れました)。ちなみに日本では揚げ物は片付けが面倒だったのと、子供たちがまだ小さくそこまで多くの量を食べなかったので惣菜で買っていました。これから子供たちが大きくなるにつれてもっと肉が食べたい!というのかもしれません。参考までに旬の野菜は安価で新鮮なものが多く美味しいです。
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2)子供の衛生面
8月のブログで書いた通り、街の清潔さは他欧州と比較してもスイスはとても綺麗だと思います。ただ子供の衛生面に関して気になる点が出てきました。それは手洗いや公共施設の子供の衛生面について、
・学校で朝のおやつを食べるときは手を洗わない。(多分)トイレに行っても洗っていない。昼食時は洗う時もあるらしい。
・夏に公園にある噴水のじゃぶじゃぶ池に水遊びに行った時、泳いでいる子供の横で、砂場で遊んでいた全身砂だらけの赤ちゃんをじゃぶじゃぶ池に入れて体を洗っている人がいたり、一緒に犬までも入っていた。(スイスでは犬は家族同然ですが…)
・公園の蛇口のある水飲み場でも犬が水を飲み、同じ蛇口で子供たちが口をつけて飲んでいた。
・ギリシャ人のママから聞いたのは彼女が職場のママ達に「公共のプールなどでおしっこをしてはいけないという教育をしているか?」と聞いたところ、ほとんどのママはNO。多分、子供たちは普通にプールでおしっこをしていると思うとのこと。(彼女曰く、プールでう○ちが浮いていることもあるらしいと言っていました。)
当初、日本の手洗い習慣や、筆者自身が動物アレルギーがあることから、日本人の自分だけが過敏に感じすぎていることで海外では普通のことなんだと、もやもやしながらも思い込んでいました。ある日、息子の親友のご両親(お父さんイタリア人、お母さんギリシャ人)にこの話を打ち明けたところ、彼らも移住当初は同じように戸惑ったということを聞いて驚きました。というのも医者であるお父さんによるとイタリア、ギリシャ、フランス、スペインなどの地中海沿岸地域は気候が温暖のため菌(ウイルス)が繁殖しやすいこともあり、日本のように手洗いを始め衛生面には気を配る習慣が日常的にあるそうです。一方、スイスは山岳地域で菌(ウイルス)が繁殖しづらい気候のせいか、多少不衛生でも病気にはなる可能性が少ないことが慣習の違いに影響しているのではないか?という話をしてくれました。ギリシャ人のママはスイスに来た当初は子供が小さかったこともあり、スイスの慣習に戸惑ったそうですが移住して5年が経ち徐々に慣れていったそうです。
もう1つスイスは喫煙がどこでもできるので、公園のベンチや子供の近くでタバコと吸っている大人がおりその点も少しマイナスです。
3)冬の硬水問題
スイスは硬水ですが地域によって硬度は異なるようで、我が家が住む地域は飲んでも味が気にはならず、水回りも水垢が気になるほどはないので硬水の硬度はそこまで高くないのかもしれません。そのまま飲んでもお腹を下したりすることもなく、料理に使っても味に違和感を感じたことはありません。(硬水のせいでお腹を壊す場合は、ブリタなどの浄水器の使用が良いかと思います。)
ただ、冬になり子供達の硬水による肌乾燥が気になるようになってきました。息子も娘も(筆者も)肌が弱くアトピー持ちなので保湿は欠かせません。ただ保湿を毎朝晩しても息子は頭皮が痒くなったり、娘も体全身を痒がるようになりました。筆者も顎のニキビが増えて治りません。
水道水を軟水化・塩素無害化できるシャワーヘッドを取り付けたり、洗顔はせずに拭き取り洗顔に変えるなど硬水&乾燥対策が必要です。
子供たちは保湿に加え、冬の間はシャンプーを2日に1回に変更してみる、朝の洗顔を止めるなどして水の接触を減らすことで少し様子を見てみようと思います。(病院では硬水のせいか乳児を毎日お風呂に入れることは推奨されないとギリシャ人ママが言っていました。)
4)学校は勉強をする場所、日本の先生方への感謝
スイスでは「学校は勉強をする場所」という考えがあり日本であるような入学式や運動会、授業参観などのイベントをはじめ、クラブ活動や給食もありません。子供が大きくなってスポーツや音楽など何か活動を始めたいと思っても習い事で対応するのが基本です。しかし特にサッカーのような人気のスポーツクラブは申し込もうとしても、ウェイティングリストで空きを待つところも多く課外活動(習い事)のハードルがとても高いです。
給食についてもスイスでは学校から給食の提供はなく、学童サービスで申し込めば対応が可能ですが、日本のように当たり前のように温かい給食が毎日配膳されるありがたみを初めて感じました。また息子は中度の卵アレルギーがあり0歳から治療を続け、今年の4月、6歳の年長になったタイミングでようやく卵除去食から通常食への許可が医師より出ました。除去食の期間は、1人だけ他の通常食の子供達とは離れたテーブルと席に1人座り距離を保つこと、毎月保護者と栄養士との献立の面談など、食物アレルギーの子供の管理は徹底されていました。卵アレルギーの治療はわずかな卵を摂取するところから徐々に卵を増やしながら体の反応を見ていくという、とにかく前進・後退の長い道のりのですが、保育園の栄養士さんは息子が食べやすい(かつ卵だと気付きにくい)卵レシピを教えてくれたり、筆者の相談に乗ってくれたりと5年近くいつも側で支えてくれた大きな存在でした。
参考までに、息子の卵アレルギーが解除されたというのは保育園や小学校の給食で提供される卵(火を通したもの)の一定量を食べても体への影響がないという基準で医師より解除されたものです。先日、リヨン旅行で半熟卵がのっているリヨンサラダで使ったフォークで息子の食事を取り分けたら、後になって腹痛と口周りの赤み反応があったので半熟卵の可能性が高く、まだまだ体が完全に卵を受け付ける免疫ができたわけではありません。
スイスで学童の給食に参加することになった際、学童の給食の担当者には以前卵アレルギーだったこと、そして生卵や半熟卵を使うメニューはあるのかを確認しました。基本は火を通した卵だそうですが、息子は明らかな卵料理は苦手だということもあり、オムレツがメニューの日は食べられないと伝えると他の代用品(と言ってもハムとかチーズですが)を出してくれることになりました。ただ日本にいた時のような徹底した管理下での配慮はありません。仮に中〜重度の食物アレルギーがある場合だと事前に受け入れの可否や管理方法を確認をした方が良いかもしれません。食物アレルギーとは異なりますがスイスの学童給食には宗教面から「通常食」と「ベジタリアン食」の2種類のメニューがあります。
また学校では日本のように礼儀やマナーは教えてくれません。息子は食後、口周りの汚れは服で拭き、水は蛇口からそのまま飲むようになってしまい益々現地化されています。保育園時代を振り返ると、トイトレも先生が一緒になって伴走してくれたり、給食もお皿やお茶碗を持って食べるマナーやお箸の正しい持ち方など、日本の学校の良さやありがたみも同時に感じているところです。(その分日本は学校の先生方の負担も大きいのは確かだということも感じます)
また期間が経ったら振り返ってみたいトピックスです。