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【スイス・日本人がフランス語の現地校へ】 9.子供たちの変化(学校生活3ヶ月) 

スイスに来て5ヶ月、そして8月後半から始まった子供の学校生活も3ヶ月が経過しました。今回はスイスの現地校での学校生活を通じて見えてきた
子供たちの変化、そして外国語の習得という点にフォーカスを当てて記載したいと思います。


3ヶ月で見えてきた子供達の変化

1: フランス語の環境に抵抗がなくなった

この3ヶ月で子供たちは、フランス語の環境に身を置くことへの抵抗感がほぼなくなったように感じます。
息子は水曜日を除く平日の朝8時半から午後3時40分まで、娘は平日午前のみを学校で過ごす、この時間が子供たちにとっては完全なフランス語環境での時間となります。勿論、言語の壁はまだまだありますが、フランス語を聞くことにだいぶ慣れてきたようで学校での先生の話も理解できる場面も増えてきたようです。そしてフランス語の語彙も増えてきました。文章での自己表現はまだ難しいのですが「早く!」「見て!」「来て!」のような短い表現は自宅でもフランス語で話すこともよくあります。更に息子には筆者のフランス語の発音を聞いた際「なんか違うんだよ」と正しい発音を教えてくれることもあります。

2: わからない時にわからないと言える

息子も娘も日本にいた時から、周りを観察するタイプで慎重派、更にスイスという異国での生活が始まり暫くは学校で声を発しなかったはずです。
これは息子の場合ですが、わからない時は先生に「Je ne comprends pas」と言えるようになったそうです。お友達の会話がわからない時には、肩を上げて、わからないとジェスチャーで表しているそうです。(本当か分かりませんが、娘もわからない時は先生にわからないと言えるとのことでした)。このようにわからないという自己主張ができるようになったことは、日本人かつ控え目な子供達からするととても大きな前進です。

3:日本人であるというアイデンティティ

これも息子の場合ですが、ある日クラスメイトに「日本語で名前を書いて!」と依頼され、みんなに日本語の名前を書いてあげたという日がありました。クラスメイトに車のおもちゃをもらった時は、お礼に折り紙で手裏剣を作ってプレゼントをしました。また徐々にクラスメイトと関わることでクラスメイトはスイス人の他、フランス人、イタリア人、スペイン人、エクアドル人と多国籍であることがわかりました。スイスでの学校生活を通じて、自分が日本人であることのアイデンティティを自覚し、異文化を肌で感じています。親としては外国語を習得することよりも、多様な価値観や異文化に触れる機会は子供たちの人生においてかけがえのない時間であると感じています。

フランス語上達のキッカケは仲間

特に6歳の息子のフランス語はこの3ヶ月で飛躍的に伸びました。3ヶ月前まで日本語しか話せなかった息子のフランス語の上達には友達に囲まれ学校生活が楽しく充実していることが大きな理由です。
先日、担任の先生から「読書の時間、息子は本がまだ読めないので誰かヘルプをしてくれる人はいるか?と聞くと、クラスの皆がやりたいと手を挙げてくれる。彼はクラスのみんなから愛されているよ。」と言われたことがありました。登校時、お友達と会えばお友達と一緒に登校したいという場面も増え、下校時は友達と肩を組んで玄関に現れ、帰る時は頭を撫でてもらい兄弟のように募ってくれる友達、公園でクラスの女の子に会えば「こちょこちょするよ〜」と追いかけられ息子が逃げ回っている姿、どれも愛おしく嬉しい瞬間でした。そして先日は息子の親友の自宅にも招待されました。
息子がクラスに溶け込め、皆に受け入れられるようになったのには、日々、彼の努力があったのです。

挨拶は万国共通

我が家は「チャレンジすること」を大切にしており、日々実践し振り返りをしてきました。また、夜寝る時は嬉しかったこと、楽しかったことを1人3つシェアする習慣を続けています。
チャレンジというと難しく聞こえるかもしれませんが息子、娘ともに学校が始まってから継続的にチャレンジをしているのは「挨拶」です。学校が始まったばかりの頃は、先生にBonjour と挨拶をする、次は隣の席のクラスメイト、そして徐々に人数を増やしていき「今日は○人と挨拶する!」というような形でチャレンジを継続してきました。
ある日、息子が朝の整列時、後ろにいたクラスメイトに肩を叩いて挨拶をしたのですが、相手は恥ずかしかったのかプイッと背を向けられ無視をされたことがありました。たまたま筆者もその瞬間を見ていたので、気持ちが揺らぎましたが、その晩、相手の反応はコントロールできないこと、そして息子がチャレンジしたことを褒め、励ましました。その翌日、息子はまた同じクラスメイトに挨拶を試みたようで「返してくれたよ」と嬉しそうに教えてくれ、息子のチャレンジする勇気に感心しました。挨拶を続けることで、周りを明るくし自分にも周りにいい影響を与えることを実感しており、挨拶チャレンジは今も継続しています。息子の親友の自宅に招待された時、親友は彼の両親に息子のことを「親切(kind)で礼儀正しい(polite)男の子が日本から来たんだ」と話したそうです。笑。これは挨拶の影響も大きかったはずに違いありません。

ポケモンは最強である

息子の話になりますが、息子のフランス語が飛躍的に伸びた2つの理由の1つが「ポケモンカード」です。ポケモン、マリオ、ハローキティー、日本のキャラクターは世界で大人気です。ある日、クラスメイトが息子に1枚のポケモンカードをくれました。息子は1枚も持っておらず、かつ日本語のカードだったこともあり息子はとても嬉しかったようです。彼は息子の親友になりました。日本の祖父母から日本語のカードを送ってもらい、またフランスの本屋でもいくつかポケモンカードを入手し(ご褒美手法は良くないのはわかっていますが)1週間学校を頑張ったらとカードを渡しました。こちらではカードゲームはせずただカードを交換し合うだけですが、クラスメイト以外の友達とも交流が始まり息子の友達の輪が一気に広がりました。
ちなみにスイスの学校ではおもちゃを持参してはいけないルールはないので、子供達はぬいぐるみ、ミニカー、カード等のおもちゃを持参し授業中以外に遊んでいます。毎日、教科書の持ち運びはないのでリュックには、おもちゃとおやつしか入っていません。。

学童での昼時間

息子のフランス語が飛躍的に伸びた2つ目の理由は学童での昼時間です。スイスのお昼休憩は11:50~14:00と約2時間あり、通常は帰宅して自宅で食事をとります。傍ら、働く親も増えているため学童のサービスがあり昼食を学校敷地内で取ることができます。我が家は申し込みが遅かったので暫くウェイティングリストでしたが学期の途中から水曜日を除く平日、お昼の学童に参加することができるようになりました。
好きなメニューもあれば苦手なメニューの日もあるようですが、普段あまり食べられない魚をはじめお肉もお腹いっぱい食べられると言うことで学童の給食をとても楽しんでいます。友達とサッカーやサッカー盤などで遊ぶ時間も十分にあることで、息子は友達との距離を縮めました。
ちなみに娘は学童には入れていません。娘の学年はまだ低学年ということもあり、学校内の学童ではなく別の保育施設に移動して昼食学童を取るようです。人数制限もあり競争率が高く、共働きではない場合の受け入れはかなり難しいようです。来年2Pに進級すると午後のクラスも始まるので受け入れが許可されるかはわかりませんが、週何日か申し込みを検討したいと思います。

計算から生まれた自信

7月に渡航した時は夏休み期間だったので、スイス生活に慣れる、旅行をするための家族時間を過ごしました。日本では1ヶ月以上もの長期休みを家族で過ごすことはなかったので今思うと本当に贅沢な時間でした。子供達の生活リズムをつけるため、午前のワーク時間に計算ドリルを始めたのですが日頃の継続もあってか慣れてきました。娘も数字を書く練習をしています。
スイスの現地校の国語(フランス語)は難しく先生のサポートが必要ですが、算数は日本と比較するとかなり容易で、スイスの小学1年生はまず数字を大きい順に並べる、大小マークをつける所から始まりました。学校で足し算でタイムを競う授業があった際、息子のあまりの計算の早さに先生もクラスメイトもとても驚いたそうです。(日本だったら普通のレベルです)「皆んなからブラボーと言われたよ!」と嬉しそうに教えてくれました。フランス語は難しいけれど、計算だけはクラスで1番になれるよう毎日続けていこうと夏から頑張り続けた息子の成果が現れ、自信になった事柄でした。クラスメイトからも「こいつやるな!」と思われたに違いありません。

まだまだ言葉の壁はありますが、先生やクラスメイトとの交流を通じて、学校が子供たちにとって「自分の居場所」になりつつあることがこの3ヶ月を通じて得られた1番の大きな変化だと思います。


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