見出し画像

先延ばしのアイス

ちょっと踏ん張らなきゃいけない時期を乗り越えて、久しぶりにコンビニでアイスを買った。

チョコレートの、冬限定の、SNSでみて気になってたやつ。

冬のアイスは食べるタイミングが難しい。

帰宅直後は身体が冷え切っていて食べる気が起きないし、お風呂に入ったあとは湯冷めをしてしまうから早く布団に入りたい。

ちょっとアイスを食べるにはお腹がいっぱいすぎるかも?昨日飲みすぎたから胃によくないかもしれない。

そしてなんだかんだタイミングを逃した挙句、「明日の私に楽しみを取っとこう」という結論に至る。

今無理してバタバタと食べるより、明日の私に食べさせてあげたほうがきっとごきげんになれる。



そんなこと昔はできなかった。冷凍庫にアイスがあるってだけでなんかソワソワして、その日食べるのが楽しみでしかたなかった。

誰かが私より先に冷凍庫を開けて食べてしまうのではないか?と謎の不安に襲われていたし、「今日買ったアイスは今日食べなきゃ」という謎の義務感もぼんやりと抱えていた。

それが今、明日のごきげんまで考えられるなんて!冷静に、先延ばしの判断ができている!私ってほんとうにすごい!大人になったなあ!天才だなあ!

なんて能天気なことを考えているせいで、ずっと私のアイスは今も暗くて寒い冷凍庫にいて、ずっと柔らかく溶ける瞬間を先延ばしにされている。



大人になって、わがままに、マイペースに生きることが、良くも悪くも前より得意になった。

もちろん子供の頃から散々好き勝手遊んで自分のペースで生きてきたけれど、自由と責任を手にした今だからこそ、「私」のペースを最優先で生きられている感覚がある。

大人なんだもん。
食べるも食べないも私の自由なんだもん。

なるべく、無理をしない。
自分のペースで生きる。
今やりたいことをして
食べたい時に食べて
寝たい時に寝る。

そうやって、ごきげんを保ちながら過ごすことを最優先に考えた1年だったなあと、年末が近づくにつれて振り返る。



あと数日後に25歳になる。

数字を見て、「四半世紀かあ」とつぶやいた父の声が忘れられない。

どこまでも、有難い人生だなあとつくづく思う。

ちょっとずつ、先延ばししながらも、大人に、なったんだなあ。

いいなと思ったら応援しよう!