世界一かわいい小6男子
息子が通うスイミングスクールに、同時期に入って顔見知りになった男の子が2人いる。当時毎週送迎しに来ていたので、練習後はお腹減るやろうと思い、毎回お菓子をあげていた。知らないおばちゃんからお菓子を渡されたら大抵の子は、大丈夫です、と拒否するのだが、このふたりは同じスイミング仲間のお母さん、というだけですんなりと懐に入り、毎回嬉しそうにお菓子をもらってくれるのだった。
それがまた子供らしくてかわいい。しばらくお菓子を食べながらあーでもないこーでもない、たまに愚痴が出たり出なかったり、学校でもない家でもない、なかなかほっこりした時間で好きだった。
やがて息子のスイミングの曜日が変わったり、ひとりで自転車でいくようになると、その子たちと会うことがなくなった。たまにその曜日に息子が振替で行くことがあると、お母さんは来てないの?と聞いてきたで、と報告を受け、ああ、お菓子がほしいんやろなあと言ったら、いや、お母さんに会いたがってたで、と。かわいすぎるやないか!そんなんなんぼでもあげるわ!お菓子ポイントためててよかったー、は嘘だが、単に息子と仲良くしてる子にはお菓子をあげたくなる。うちに遊びにくる学校の友達にもそうしている。息子と友達ということはもううちの子みたいな感覚だ。それに、お菓子をついついあげてしまうのは、おばちゃんの特権である。これが20代くらいの若い女の子だと少しミスマッチに感じるが、中年のオバハンクラスになると堂々と、お菓子食べるか?とナチュラルに配れてしまうのだ。中年になってよかったことのひとつにあげて良い。
昔近所のおばちゃんや散髪屋さんに行くと必ずお菓子をもらった。それが嬉しかった。今、その町のおばちゃんの役割をしているのだ。
先日振替のスイミングの日、雨が降っていたので久しぶりに送迎にいった。練習後あの子たちは自分の息子よりも早く出てきて、わたしの横に陣取り、ナチュラルに懐に入ってきた。催促はしないがカバンをじっと見つめている。はいはいとお菓子を配る。かわいい子らやなあ、と眺めていると、後方から声がする。
「自分の親をスルーして自然に菓子もらいにいってるやないか」と笑ってやってきたのは、お迎えに来たひとりの子のお父さんだった。
息子も出てきて、しばらく和やかな談笑タイム。全員小学校バラバラやのに、ご縁でこうやって過ごす時間はなんとも言い難い思い出となる。帰りにハロウィン撮影コーナーの前を通ると、さすがに小6やし、来年中学やし、スルーするやろね?と思っていたら、なんの躊躇いもなく3人とも置かれていた仮装グッズを手にとり、ポーズを決め出したので、急いでシャッターを切った。撮った写真を見せると三人とも腹を抱えて大笑いした。なんてかわいい小6なんだ!ていうかほんまに来年中学か?
ひとりの子のお父さんも苦笑いで、まだこういうの撮らせてくれるんやな、と呟いていた。
またきっとこの子たちにあったら、おつかれさん、お腹空いてるか?とカバンの中からお菓子をとりだすのだろう。そして昔スイミングでおばちゃんにお菓子もらったなあとどこかの記憶の断片として残るのだろうか。
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