母ちゃん記念日。
約13年前、息子が生まれた。
(今日が誕生日ではないからね。約、だよ。)
1ヶ月程早産で、息子は生まれた。
出てきてすぐ紫色だった。
泣き声を上げない。
フゴフゴ言っていた。
息、できてる…?
やっと会えた嬉しさよりも、不安の気持ちしかなかった。
すぐに先生たちに連れて行かれた。
私はベッドの上で力尽き、体温がどんどん低下し、寒くてベッドが揺れるほどに震えていた。
そんな私に誰も構ってくれないほど、息子の処置に慌てていた。
呼吸障害だった。
すぐにGCUに連れて行かれた。
『お母さん、ごめんね。赤ちゃん、ちょっと苦しそうだから処置のため今夜は連れて行くからね。お母さんはゆっくり休んでね。赤ちゃんは大丈夫だからね。明日、会いに行ってあげようね。』
優しく言ってもらえたが、不安でしか無かった。
翌日、産後の傷口が痛む体を引きずって、息子の病室まで会いに行った。
保育器の中で、沢山の管に繋がれていた。
いろんな機械に囲まれていた。
息子は、とても、とても可愛かった。
私の人生でこんなに愛おしいものは見たことがなかった。
保育器の丸い穴から手を入れてみた。
息子の小さな手に触れてみた。
ひんやりしていた。
『あ…。私、お母さんになったんだ…。』
そう思った。
あの日から今日まで、泣いたり笑ったり怒ったり悩んだりしながら家族の形が出来上がった。
本当は兄弟も作ってあげたかった。
母ちゃんの体が言うこと聞かずでごめんね。
周りからも散々お節介を言われ続けた。
『一人っ子じゃ可哀想よ。』
あのね、そんなこと、誰よりも私が一番よく知ってるんだ。
ごめんね。それでも作ってあげることはできなかった。
私は神様から頂いたたった一人の息子をしっかり育てようと決めた。
ずっとずっと体は小さかった。
幼稚園や学校からもらってくる身体測定の折れ線グラフはいつも平均以下をなぞっていた。
『食事、ちゃんと与えてますか?』
そんなことを言われたこともあった。
小さな頃はアレルギーも酷かった。
離乳食は市販のものを使ったことがない。
全て手作りした。外出の時も。
喘息もあった。
気圧の変化に弱く、夜中に苦しそうで私も夫も心配で眠れない夜もあった。
でも、元気に、すくすくと育ってくれた。
今日まで、いろんな経験をして、いろんな人と触れ合って、沢山の学びを得た。
そして今朝、最近目線が並んだな、と思い、
いつも身長を書き込んでいる壁の前に立たせてみた。
家族みんなで笑顔になった。
『わっ!おめでとう。』
『おー。おめでとう。』
『え?あ!やったね!かーちゃん追い抜いた!笑』
三人でたくさん笑った。
たくさん笑ったあと、二人を送り出した。
今日は母ちゃん記念日。
一生に一度の母ちゃん記念日。
あんなに小さかった息子が今日、私の身長を追い抜きました。
今一人、泣きながらこの記事を書いています。
今日は何を作ろうかな。
やっぱり、、ハンバーグかな。笑
家族って、いいな。