悪魔の目的地 第四十二話
【R18】
月が変わり、定休日。
私は隣駅にあるアパートへ引っ越した。
荷物はほぼ宅急便で送ってあったので、あとは手荷物だけだ。
とはいえ、なかなかの量だった。
両手にそれを抱え、電車に乗った。
2階に大家さんが住んでいたため、菓子折りを持って挨拶に伺った。
とても親切な年配のご夫婦だった。
23歳、初めての一人暮らし。
心が躍った。
その日のうちに近所のリサイクルショップへ行った。
店員さんに話を聞きながら、割と新しく状態の良い冷蔵庫、洗濯機を買った。
店の人が軽トラで運んでくれた。
エアコンは部屋に取り付けられている。
服を小さなクローゼットへ全てしまい、台所や洗面所も整えた。
一人暮らしって、なんだか楽しい!
今まで寮はみんなの物がごちゃごちゃと置いてあった。
今度からは自分だけのスッキリしたスペースが作れるんだ。
スーパーやドラッグストアも行き、必要なものはその日のうちに全て買い揃えた。
そして夜になった。
整った部屋と、馴染みのある猫足の丸テーブル。
野菜炒めとビールで一人の空間を楽しんだ。
この夜のことはとても印象深く、その時の感情まで今でも鮮明に覚えている。
新生活、気持ちも新たに、また今日から頑張ろう。
そう決意していた。
数日後、平岡さんが泊まりに来た。
『すげぇ。なんか新鮮。あみの部屋だ。笑』
『ようこそ私のテリトリーへ。笑』
『女の子の部屋って感じする。』
『一応、女の子ですから。笑』
簡単な手料理を振る舞った。
平岡さんはそんなことでも喜んでくれた。
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